Feeds:
投稿
コメント

Posts Tagged ‘Daniel Eran Dilger’

GettyImages.Stream.app

[Stream アプリ:AppleInsider

最も充実したデジタルコンテンツのライブラリとして知られる Getty Images が、自社コンテンツの検察ツール Stream を公開している。

これはすべて Swift だけで書かれたアプリだという。

Daniel Eran Dilger が開発者とのインタビューをまとめているが、Swift のケーススタディとしてたいへん興味深い。 

Apple’s new Swift programming language takes flight with Getty Images, American Airlines, LinkedIn, and Duolingo | AppleInsider

     *     *     *

すべては WWDC から始まった

Getty Images が「Stream」を開発したそもそもの始まりは、同社のアプリ開発部門のマネージャー Raphael Miller が昨年の WWDC で2日間のハッカソン(hackathon)に参加したことだった。その結果 Getty Images のデジタルライブラリを検索する iOS・OS X アプリ Stream が生まれた。

     *     *     *

さまざまな開発者

経験を積んだ Objective-C の上級開発者はもちろんすぐ Swift を使えるようになったが、そうでない若い開発者 — 1〜2年程度の C# 経験者や Java を習っただけの大学出たて — にとってはとくに取っつきやすいのが注目されたと Miller はいう。Ruby に習熟したウェブ開発者もまた、これまでとはシンタックスが異なる Objective-C より Swift の方が使いやすそうだったとも。

新規開発者にとっても Swift をアップルプラットフォームのデフォルト言語にすれば、Mac の Cocoa や iOS の Cocoa Touch API を理解し、習熟しやすくなるという。

     *     *     *

少ないコードで多くのことを

Miller は Swift のことを「より高性能な(pretty performant)」言語だという。開発者の生産性を高められることが主たるメリットだ。冗長な Objective-C にくらべ、Swift の簡潔さは「少ないコードでより多くのことをやる」ことが可能で、「日常的なことをすばやく片づけられる」という。この点は Ruby の開発者にとってとくに魅力的だ。その結果「少ないコードでより多くのプログラミングができる」からだ。新しいコンセプトのプロトタイプを素早く作るのに Ruby が使われることが多い。

     *     *     *

コンシューマアプリの分野

開発者の生産性を高めるという Swift のメリットはコンシューマ分野でとくに重要だ。新しい機能でアプリを新鮮に保ち、目に見える機能強化を行なう必要があるからだ。Swift なら「素早く片づけて」、新しい機能を求めるユーザーの要求に素早く答えられる。

     *     *     *

エラーを省き効率的

また Swift は一般的なエラーを含むコードのコンパイルを許さない。「早い段階でどこが間違っているのか教えてくれる」と Miller はいう。開発者には「コードを入力している段階でなぜうまく動かないのか教えてくれる。」このため欠陥を含んだコードをコンパイルすることで無駄な時間を使わずに済むのだ。

     *     *     *

すべてのアプリを Swift 化

Miller によれば、初期の Swift は「かなり未完成」だったが、「リリースの度に良くなった。」 コンパイラの問題や Objective-C と Swift をミックスする問題により「まだ Xcode がクラッシュすることも時々ある。」 しかし Swift だけで書かれた Stream の成功を見て、彼のチームは「Getty Images のアプリをすべて Swift コードに変換しようとしている。」すべてのアプリの 50 〜 60% を Swift 化することを目標に掲げていると。

     *     *     *

社内の関心を呼んだ

Getty Images としては Android アプリの開発も、クロスプラットフォームの計画もないという。だから移植の問題もない。しかし Swift の社内ワークショップを開いたことで社内の他の開発者たちも注目している。マイクロソフトの C# を使うバックエンド API プログラマーや Ruby に馴染んだウェブ開発者などがそうだ。

Swift のおかげで「みんながやってくる」ようになったと Miller はいう。とくにモバイル開発への興味がそうさせるのだと。Objective-C のシンタックスが近づきにくいのと違って、Swift はモバイルアプリのスキルを身につけようとする既存のデベロッパにとって「シンタックス的にこわくない」ので親近感が増すのだという。

     *     *     *

アップルに望むこと

Swift について将来アップルに何を望むかと尋ねられた Miller は、「サンプルコードがもっとあると有難い」という。「これはよくある問題だが Objective-C ではこうやるのを Swift ではこうやる」と教えてくれるようなサンプルコードだ。また異なるタスクについて Swift を使うメリットを教えてくれる費用対効果分析も。

Asked what he’d like to see from Apple related to Swift in the future, Miller said, “it would be nice to see more sample code” demonstrating, “here’s a common problem, here’s how you’d do it in Swift vs Objective-C,” and outlining a cost benefit analysis of using Swift for different tasks

「Objective-C はこれまで長い間使われてきたので最適事例も多々ある。」 Swift については最適事例はまだ集積されていない。理想的には、「Swift を設計した連中」が Swift の効果的利用法をいちばんよく知っているのだから・・・

“Objective-C has been around so long, the best practices are out there,” Miller stated. For Swift, there’s less best practice architecture available, and ideally the best insight on how to use Swift most effectively would come from “from guys who designed it.”

     *     *     *

実際に自社アプリを開発した者のことばなので具体的で説得力がある。

この記事をまとめた Daniel Eran Dilger は、この他にも American Airlines や LinkedIn、Duolingo のケースも触れているので、類似の分野の開発者にとってはこれまた参考になりそうだ・・・

広告

Read Full Post »

apertura-virus-apple-650x315

最近取り上げられることの増えたセキュリティ脆弱性を正しく理解するために・・・

WireLurker, Masque Attack malware only a threat for users who disable Apple’s iOS, OS X security | AppleInsider

WireLurker and Masque Attack aren’t viral and can’t infect users unless they intentionally disable their security and manually install apps bypassing Apple’s builtin trust verification systems for iOS and Macs.

Apple Blocks Chinese iPhone Hacks | WSJ

Apple downplays Masque threat, ‘not aware’ of any users affected | San Jose Mercury News

Read Full Post »

10822-3262-AAPLOctober2014

[アップル本社の正面玄関:AppleInsider

今月のアップルイベントにまつわる興味深いエピソードを Daniel Eran Dilger が紹介している。

Editorial: A friendlier Apple Inc now invites media through its Infinite Loop front door | AppleInsider

     *     *     *

正面玄関から案内されて

今週のアップルイベントでは最新の iPad や Mac が発表されたが、招待されたメディア関係者が Town Hall に向かうのに案内されたのはいつものアップル本社裏口ではなかった。彼らは正面玄関で出迎えを受け、部外者の入れない中庭を通って案内されたのだ。

At this week’s Apple Event showing off the company’s newest iPads and Macs, invited members of the media weren’t directed around the back of Apple’s Infinite Loop campus to the Town Hall door, as usual. They were greeted at the front door and led through the private campus courtyard.

アップルとしては珍しいこの本社ミニツアーは、1990 年代後半の復活以来アップルを取り巻いていた過剰でパラノイアともいえる秘密主義を緩和しようとする試みの一環だった。

The uncharacteristic media micro-tour of Apple’s headquarters is part of a new experiment in dialing down the company’s reputation for excessive, nearly paranoid-level secrecy that it has maintained since its recovery in the late 1990s.

     *     *     *

開かれたアップル

メディア関係者を正面玄関から内庭を横切って案内したのは(Caffe Macs のグルメ朝食、プレゼンテーション前のバリスタを含め)、よりフレンドリーで、より開かれたアップルを象徴するジェスチャーだった。 

Inviting the media through its front door and walking them across the inner courtyard of its campus (to a gourmet spread of Caffe Macs breakfast foods and a row of attentive baristas before the presentation) was a symbolic gesture representing a friendly, more open company.

     *     *     *

同じような兆候はこれまでもにもあったという。守秘義務契約(NDA)を結んだ者でないと入れない WWDC に外部のオブザーバーを招いたり、メンバー限定の WWDC セッションビデオを公開して開発者がお互いに議論するのを認めたことなどだ。

     *     *     *

大きな力を獲得したアップル

今やアップルはマイクロソフト、HP、それにグーグル全部をひとまとめにしたより大きな存在となった。昨年はこれら全部の会社をひっくるめたのより大きい純利益を稼ぎだしている。

Apple is now like Microsoft, Intel, HP and Google put together. And last year it earned more net income than all of them put together.

これほどの地位をもってすれば、かつては不可能だったことでも出来るようになったのではないか。たとえば A8 や A8X のなどのチップ製造設備でチップメーカーとして世界最大の製造能力を保持すること、あるいはテクノギーク以外のひとをも対象とするファッション製品を売り出すこと、など、など・・・

With Apple’s current position, it now has options to do things it hasn’t been able to do before. Like reserve incredible manufacturing capacity at the world’s largest chip fab for its new A8 and A8X. Or introduce the first product from a tech company that can be sold as a fashion product to people beyond tech bloggers.

     *     *     *

せめてロードマップぐらいは公開しても

自社の製品サイクルに活力を与えるため、アップルが未だ秘密主義を必要としていることは分かる。しかしもう十分大きくなったのだから、ロードキル[roadkill:車にはねられて道路に転がっている動物や人の死骸]になることなど懸念せずに自社のロードマップを公開する偉大さを備えてもいいのではないか。

Apple still needs to maintain secrecy in order to drive its product cycles. But now it’s big enough to open up and achieve a new stature as company that can publish public road maps without worrying about ending up roadkill.

新しく獲得した力をアップルがどう使うのかとても興味深い。

It will be interesting to see what Apple does with its newfound power next.

     *     *     *

たったこれだけのことでも話題になるほどアップルの秘密主義は悪名高い。

アップル本社ビル玄関の向こうがどうなっているか、それすらもあまり知られていない。

表玄関から中庭に入るとどんな感じなのか、AppleInsider のビデオがその一端を垣間見させてくれる。

せめて大きなロードマップぐらいは明らかにして欲しいとたしかに思う・・・

Read Full Post »

canaccord-ranking

[米キャリアのスマートフォンランキング:chart

本当のところ iPhone 5C の売れ行きはどうなのか多くのひとが関心を抱いている。

機種毎の販売台数は企業秘密だが、米国の取り扱いキャリアでのランキングは明らかになっている。

Daniel Eran Dilger が iPhone 5S/5C が発売された昨年9月以降の Canaccord のランキングから、5C は「失敗作」どころかその正反対だといっている。

AppleInsider: “Apple’s iPhone 5c ‘failure flop’ outsold Blackberry, Windows Phone and every Android flagship in Q4” by Daniel Eran Dilger: 22 March 2014

     *     *     *

ベストセラーの iPhone 5S

激しくアップルを批判するひとたちは、もはやアップルが「十分革新的ではなくなった」と非難することで 2013 年の大半を費やした。しかし最新のハイエンド iPhone — Touch ID を備えた 64-bit の iPhone 5S — は他のどのプラットフォームのフラッグシップモデルより遥かに多くを売り上げ、世界のベストセラー端末になっている。

Apple’s fiercest critics spent most of 2013 complaining that the company wasn’t “innovative enough,” but its latest high-end iPhone, the 64-bit iPhone 5s With Touch ID, managed to outsell every other flagship smartphone on any platform, by far, becoming the world’s best selling handset.

     *     *     *

「5C 失敗作」プロパガンダ

事実アップルのハイエンド iPhone 5S は、スマートフォン購入者がより安いものを選ぶようになったと思われているにも関わらず、大きな成功を収めた。このためアップル批評家たちは iPhone 5C が「失敗した」という架空の話に飛びつかざるを得なかった。売れ行きが非常に「惨めな」 iPhone 5C は、見かけ上米国のトップキャリアの半分で成功を収めているサムスンの Galaxy S4 の売上げを上回り、発売開始の最初の月からそれ以外のすべての Android フォンを米国のトップ売上チャートから完全に駆逐してしまった。

In fact, Apple’s high-end iPhone 5s has been so remarkably successful, in spite of the supposed cheapening trend in smartphone buyers’ tastes, that Apple’s critics have been forced to pounce upon the supposed “failure” of the iPhone 5c instead; a phone that sells so “terribly” that it also outsold the ostensibly successful Samsung Galaxy S4 on half of America’s top carriers, and pushed every other Android phone out of the top U.S. sales charts entirely, from the first month it went on sale.

     *     *     *

唯一の論拠

「5C は失敗した」というプロパガンダを裏付ける最大のデータは、アップルの安い方のモデルがハイエンドモデル 5S の売上げに及ばなかったという点だ。まるでアップルが 100 ドル安い 5C の方を売りたがっていると言わんばかりに・・・

The primary data point supporting the “5c Failure” propaganda campaign is that the cheaper model hasn’t been able to outsell Apple’s top of the line 5s, as if Apple would prefer to sell the 5c and collect at least $100 less per sale.

     *     *     *

相対的な比率に過ぎない

iPhone 5C に対する批判はどれもすべて 5S 対 5C という機種の相対的組み合わせ(model mix)に集中していることに注目すべきだ。Android や Windows フォンメーカーだったらまったく話題にならないものだ。そもそもどのメーカーも販売機種の価格帯別売上げの詳しい数字は出していない。販売台数の全体の数字すら公表しているメーカーはほとんどいない。

Note that the war on iPhone 5c focuses entirely upon Apple’s smartphone model mix, a topic that has never raised any interest among any Android or Windows Phone smartphone makers, none of whom detail the unit sales of each price tier in the phones they sell. Few smartphone makers even provide an official figure for the overall numbers of units they sell.

     *     *     *

現実から目をそらすための目くらまし

アップル機種の組み合わせに対する懸念を大きく取り上げるのは現実から目をそらすためのものだ。アップルがプレミアムスマートフォン市場で主導権を握っている現実が明らかになるにつれてその激しさが増している。プレミアムスマートフォンにおけるシェアは中国では 80% 以上、日本では 76%、米国では 45% に達している。

Grave concerns about Apple’s product mix were raised as a distraction from reality, and continue to grow in their fevered pitch as the reality of Apple’s leading market position in premium smartphones becomes more evident, from taking 80 percent of premium phone sales in China to 76 percent of all smartphones in Japan and 45 percent of all smartphones sold in the United States.

     *     *     *

真っ赤なウソ

iPhone 5S と並ぶ世界で2番目に人気のあるスマートフォンを「失敗作」と呼ぶのは、過激などころか、真っ赤なウソだ。

[…] calling the world’s second most popular smartphone behind iPhone 5s a “flop” isn’t just a radical opinion, it’s a lie.

     *     *     *

気になっていた iPhone 5C の売上げについて正面から取り上げた記事。

ほんとに売れていないのか、それとも相対的に売れ行きが及ばないだけか — たしかに微妙なところではある・・・

★ →[原文を見る:Original Text

Read Full Post »

Update 2:お気に入りライターの変遷》
Update:ジャーナリストに一対一で説明するアップル》


[Mountain Lion:image

今回の「Mac OS X Mountain Lion」の発表はその時期が意表をついただけでなく、発表の仕方がこれまでとは異なっていた。

Daniel Eran Dilger が興味深い記事を書いている。マイクロソフトのやり方に近づいている、と・・・

AppleInsider: “Mac OS X Mountain Lion release signals shift in secrecy at Apple” by Daniel Eran Dilger: 16 February 2012

     *     *     *

1週間早くジャーナリストへ

Mac OS X の歴史上初めてのことだが、アップルは開発者に対するリリースより1週間早く、ジャーナリストに対して OS の製品ブリーフィングとプレリリースコピーの提供を行なった。これまでアップルは NDA[Non-Disclosure Agreement:守秘義務契約]に署名した開発者にのみプレリリースソフトウェアのアクセスを限定してきた。

For the first time in Mac OS X’s history, Apple has presented journalists with a product briefing and prerelease copy of the operating system one week before making it available to developers. The company has historically reserved access to its prerelease software exclusively for developers who have signed a Non Disclosure Agreement.

     *     *     *

アップルの秘密主義

長年 Windows に対してマイノリティだったアップルは、様々な秘密主義のベールの下に会社を運営することを強いられてきた。製品発表をドラマチックに盛り上げ、他社がすぐには追随できないようにするためだ。しかしモバイル機器については iOS のおかげで他社より5年先を行くことができるようになり、また PC 売り上げの成長も相まって、製品発表戦略においてもアップルは明らかにリーダーの地位を確保するに至っている。

For years, Apple remained a minority alternative to Windows, forcing the company to operate under shrouds of secrecy in order to pull off dramatic product unveilings that its competitors couldn’t immediately copy. However, with the five year head start in mobile devices afforded by iOS, as well as its commanding lead in PC sales growth, Apple is now in a clear leadership position for unveiling product strategies.

     *     *     *

Lion でも

昨年の Mac OS X Lion は Steve Jobs が 2010 年10月に行なったプレビューで公開されたが、新しい OS にメディアが事前にアクセスすることは出来なかった。

Last year’s release of Mac OS X Lion was first publicly unveiled in a preview delivered by Steve Jobs in October 2010, but the media wasn’t given an advanced look at the new software.

新 OS リリースは NDA(守秘義務契約)の下におかれたが、開発者の多くがビルドのリークを行い、それがファイルシェアリングネットワークを通じて広がるのでほとんど実効性がなかった。その結果、Lion についての広報をコントロールできず、新機能の多くがリークされ、Lion リリース時点ではもはやサプライズではなくなったことにアップルは気づかされた。

Instead, Apple kept the release under NDA, a strategy that was largely ineffectual as many developers continued to leak builds that were widely disseminated through file sharing networks. As a result, rather than being able to manage the messaging of Lion, Apple found that many of its new features were leaked out to the point where they weren’t surprises anymore when Lion was actually released.

     *     *     *

NDA(守秘義務契約)の欠陥

Mac OS X Lion の NDA(守秘義務契約)は、ジャーナリストがコメントすることを妨げただけでなく、一般大衆(多くの場合アップル批判者に率いられる)が変更の意味を十分に理解しないまま批判的に検討する結果となった。アップルの NDA は開発者がリリース前にコメントすることも妨げた。

Apple’s NDA policies for Mac OS X Lion were largely just preventing journalists from commenting on the product while allowing the public (often led by Apple’s detractors) to critically examine it, without a full understanding of what the changes meant. Apple’s NDA also prevented developers from commenting on the new software until it was released.

     *     *     *

今回は異なる

Mountain Lion についてアップルはこれまでの伝説的な秘密主義を少し改め、プロモーションの方法を変えて、iPhone 以降のハードウェアと同じやり方のプロモーション — すなわち事前にジャーナリストに見せて、その機能のいくつかを事前に説明するという方法をとった。

For Mountain Lion, Apple has turned down its legendary secrecy and has instead started promoting its software the same way it has promoted hardware since the iPhone, offering journalists an early and curated demonstration of its features.

     *     *     *

これまでも前例はある

未発表のアップル新製品のプレビューが行なわれたのは Apple TV が最初で、その数か月後の 2007 年初めに iPhone でも同じことが行なわれた。どちらの製品も発売の数か月前に Jobs 自身が詳細な説明を行なった。アップルとしては珍しいことだった。

Apple’s first major preview of an unannounced product in recent years was Apple TV, followed by the iPhone a few months later at the beginning of 2007. Both products were detailed by Jobs several months before they were available for sale, an uncommon event for Apple.

他のアップル製品については、新型マックも、iPhone の後継機も、iPad や iPad 2 についても、これまでと同じく発売直前に発表するという典型的なやり方がとられた。

Other products, including most new Macs, successive iPhones, the iPad and its iPad 2 successor, have all typically been unveiled to the public just before they were available for purchase.

     *     *     *

iOS デバイスではすでに

最近の iOS デバイスやマックについては Jobs は新しい試みをしている。いろいろなジャーナリストにプレリリース機を渡して、事前のレビューをさせたのだ。今やアップルは Mountain Lion のソフトウェアについても同じ戦術を試みている。すべてを秘密主義のベールで包む代わりに、間もなく公開される機能についてはちゃんとしたチャンネルで期待を高めようと希望しているのだ。

With the release of recent iOS devices and Macs, Jobs tried something new: he issued prerelease units to a variety of journalists to review in advance. Apple is now trying the same tactic in software with Mountain Lion, hoping to build anticipation for upcoming features through legitimate channels rather than trying to keep everything a secret.

     *     *     *

マイクロソフトと同じやり方

マイクロソフトはその歴史を通じて終始このやり方をとってきた。しかし発表時期がどんどん遡り、2年以上も前にソフトのプロモーションを行なうようになったので、この戦略は「ベイパーウェア」と貶されるようになった。Mountain Lion はこれに対して4か月後にはリリースされるものと期待されている。

Microsoft has done this throughout its history, although it has typically worked to unveil its plans far further out, often starting to promote its software plans two years in advance, a strategy denigrated with the term “vaporware.” In contrast, Mountain Lion is expected to ship less than four months from now.

     *     *     *

このあと Dilger は、20年目に入った Mac OS X プラットフォームが18か月サイクルの開発目標をとるようになったことについても詳しく述べている。

アップルの成功と成熟、トップの交代は秘密主義の壁にも穴をあけそうだ・・・

★ →[原文を見る:Original Text

     ❖     ❖     ❖
     ❖     ❖     ❖

《Update》ジャーナリストに一対一で説明するアップル

技術各紙やブログが、アップルの解禁を受けて一斉に Mountain Lion について報じる様は壮観だ。

Daring Fireball [John Gruber]
The Loop [Jim Dalrymple]
Macworld [Jason Snell]
The Verge [Nilay Patel]
Engadget [Brian Heater]
AllThingsD [Arik Hesseldahl]
TechCrunch [MG Siegler]
CNET [Josh Lowensohn]
The Wall Street Journal [Jessica E. Vascellaro]

アップルの作戦が図に当たったということだろう。

どの技術メディアの誰をアップルが念頭においているのかも垣間見えてはなはだ興味深い。

なかでもバツグンにオモシロいのが John Gruber だ。

アップルの説明会の雰囲気がどうだったのか、まるで映画の一場面を見るように描写している。

Daring Fireball: “Mountain Lion” by John Gruber: 16 February 2012

     *     *     *

John Gruber の体験

「これまでとはちょっと違ったやり方をしています」と Phil Schiller は私にいった。

“We’re starting to do some things differently,” Phil Schiller said to me.

一週間ほど前、快適なマンハッタンのホテルのスイートに座っていた。数日前にアップル広報から私的な「製品ブリーフィング」を行なうからといって呼び出されたのだ。何の会合なのか、何についてなのか見当もつかなかった。どんな流れになるかさえさっぱり分からなかった。自分にとってまったく初めてのことだったが、アップルにとってもそうだと思う。

We were sitting in a comfortable hotel suite in Manhattan just over a week ago. I’d been summoned a few days earlier by Apple PR with the offer of a private “product briefing”. I had no idea heading into the meeting what it was about. I had no idea how it would be conducted. This was new territory for me, and I think, for Apple.

iPad 3 がらみの話でないことは分かっていた。それならカリフォルニアでの全力投球のイベントになるはずだ。もしかして MacBook の Retina ディスプレイかとも考えたが、まったく当てずっぽうだったし、間違っていた。それは Mac OS X — いまやアップルが OS X と呼んでいるものだった。その会合自体はアップルの製品発表イベントと同じように進められた。ただし劇場スタイルの講堂とステージの代わりに、ソファと、イスと、iMac と、それにソニーの HDTV に繋がれた Apple TV だけだった。部屋を埋めるライターやジャーナリスト、アナリストの代わりに、私と Schiller とあとアップルから2人だけ(製品マーケティングの Brian Croll と広報の Bill Evans)。(少なくとも私の経験では、よく連携をとった製品マーケティングと広報の連中の区別は外見からは分からない。)

I knew it wasn’t about the iPad 3 — that would get a full-force press event in California. Perhaps new retina display MacBooks, I thought. But that was just a wild guess, and it was wrong. It was about Mac OS X — or, as Apple now calls it almost everywhere, OS X. The meeting was structured and conducted very much like an Apple product announcement event. But instead of an auditorium with a stage and theater seating, it was simply with a couch, a chair, an iMac, and an Apple TV hooked up to a Sony HDTV. And instead of a room full of writers, journalists, and analysts, it was just me, Schiller, and two others from Apple — Brian Croll from product marketing and Bill Evans from PR. (From the outside, at least in my own experience, Apple’s product marketing and PR people are so well-coordinated that it’s hard to discern the difference between the two.)

握手と社交辞令、おいしいコーヒー・・・そしてたったひとりのためのアップルイベントが始まった。Moscone West や Yerba Buena Center のステージで映してもおかしくないキーノートスライドが私たちの前におかれた大きな iMac に映し出される。本日のテーマ(「今日は OS X についてお見せしたいのです」)のプレゼンテーションが始まった。過去数年にわたる Mac の成功(直近の四半期で 520 万台売れた)、PC 産業全体を凌駕する過去 23 四半期の売上高、Mac ユーザーと Mac App Store のすばらしい伸び、Lion への急速な移行など。

Handshakes, a few pleasantries, good hot coffee, and then, well, then I got an Apple press event for one. Keynote slides that would have looked perfect had they been projected on stage at Moscone West or the Yerba Buena Center, but instead were shown on a big iMac on a coffee table in front of us. A presentation that started with the day’s focus (“We wanted you here today to talk about OS X”) and a review of the Mac’s success over the past few years (5.2 million Macs sold last quarter; 23 (soon to be 24) consecutive quarters of sales growth exceeding the overall PC industry; tremendous uptake among Mac users of the Mac App Store and the rapid adoption of Lion).

そして本番の Mac OS X — じゃなかった、OS X だった — が 年に一度のメジャーアップデートで iOS 風になる。今年の夏アップデートの予定で、いよいよ開発者向けプレビューのリリースがの準備が整ったというわけ。名前は「Mountain Lion」だ。 

And then the reveal: Mac OS X — sorry, OS X — is going on an iOS-esque one-major-update-per-year development schedule. This year’s update is scheduled for release in the summer, and is ready now for a developer preview release. Its name is Mountain Lion.1

たくさんの新機能のうち、今日は10だけを紹介するといわれた。これってまるで本物のアップルイベントのようじゃないかと心中考えていた。Lion のときと同じように Mountain Lion も iPad の方向へ進化している。しかし昨年の Lion がそうだったように、iOS とアイデアやコンセプトを共有することがポイントで、具体的プロセスのデザインやコードそのものを共有するのではないのだ。「Windows」や「マイクロソフト」ということばは一度も出なかったが状況は明らかだ。アップルはキーボード/マウス/ポインターのための Mac ソフトと、タッチスクリーンのための iPad ソフトをハッキリ区別している。Mountain Lion は Mac と iPad を統合する OS に向けたステップではない。むしろ、根本的にはっきりと区別される2つの OS の間で、コンセプトやスタイル、原則を共有しようとする方向に向けた別のステップなのだ。

There are many new features, I’m told, but today they’re going to focus on telling me about ten of them. This is just like an Apple event, I keep thinking. Just like with Lion, Mountain Lion is evolving in the direction of the iPad. But, just as with Lion last year, it’s about sharing ideas and concepts with iOS, not sharing the exact same interaction design or code. The words “Windows” and “Microsoft” are never mentioned, but the insinuation is clear: Apple sees a fundamental difference between software for the keyboard-and-mouse-pointer Mac and that for the touchscreen iPad. Mountain Lion is not a step towards a single OS that powers both the Mac and iPad, but rather another in a series of steps toward defining a set of shared concepts, styles, and principles between two fundamentally distinct OSes.

     *     *     *

こんな感じで記事は続くのだが、アップルギークの Gruber にとってもこれが異例のことだという興奮が伝わってくる。

こんなプレゼンテーションをやってもらえたラッキーなギークが Gruber の他にどれほどいたのか興味のあるところだ。

少なくともアップルのやり方が変わってきていることは間違いなさそうだ・・・

★ →[原文を見る:Original Text]

     ❖     ❖     ❖
     ❖     ❖     ❖

《Update 2》お気に入りライターの変遷(2月18日)


David Pogue のツィート

Mountain Lion が一斉に報じられる中で NY タイムズの遅れが今回は突出していた。

Foxconn 叩きの記事のせいでアップルと NY タイムズとの間に溝が生じたからだとワシントン・ポストは指摘している。

しかし David Pogue は自分のツィートで1週間前から使っていると書いており、Mountain Lion の詳細なフォローもしている。

NYTimes.com: “Apple’s Mountain Lion Makes the Mac More Like the iPad” by David Pogue: 16 February 2012

     *     *     *

David Pogue のイントロ

アップルはマックのことを後回しにしているというのがもっぱらのウワサだったが、木曜日の発表を見る限りそんなことはなさそうだ。今後アップルは毎年1回 Mac OS X のアップデートを行なうのだそうだ。

There had been rumors swirling that Apple was back-burnering the Mac, but that’s hard to believe after Thursday’s announcement: from now on, Apple will update Mac OS X once a year.

今年の夏に「Mountain Lion」というコード名の Mac OS X 10.8 を出すのが始まりだ。ほんの1年前に Lion バージョンを出したばかりなのに。

It will start this summer with Mac OS X 10.8, code-named Mountain Lion, only a year after the Lion version was released.

これから消費者は毎年1回キビシい決断を迫られることになる。最新状態を維持するという特典のために毎年 30 ドル(あるいはアップルが課する料金を)支払うかどうかという決断だ。

Now you’ll have to decide once a year whether or not to succumb to paying annually the $30 (or whatever Apple winds up charging) for the privilege of remaining current.

しかし一番のショックは、Mountain Lion の初期の初期のバージョンを、アップルとしては初めて技術ライターに提供することしたことだ。それも一般公開の数か月前というだけでない。開発コミュニティ(プログラマ)にリリースされるのよりさらに早くなのだ。

The real shocker, though, is that for the first time, Apple decided to give tech reviewers an early, early version of Mountain Lion — not just months before its release to the public, but even before its release to its developer (programmer) community.

     *     *     *

後書きでもうひとこと

混乱をもたらすことなしに毎年夏に一度というペースで、どうやってアップルが Mac OS X に変更を加えることができるのか疑問だ。

You have to wonder how Apple intends to keep up this pace of change to Mac OS X every summer without gunking it up.

また Mac OS X のバージョン番号どうなるのだろうか。すでにバージョン 10.8 になっている。(実際のところアップルの連中はこういっている。Mac OS X 10.10、Mac OS X 10.11、Mac OS X 10.12 と少数点以下2桁になってもなんら問題ないと。)

You also have to wonder how Apple will keep numbering Mac OS X, since it’s already at version 10.8. (Actually, Apple’s people told me: They have no problem with double-digit decimal points, like Mac OS X 10.10, Mac OS X 10.11, and Mac OS X 10.12.)

もっと大きい疑問は、ネコ科の名前をずっと見つけられるかどうかだ。Mac OS X Bobcat や Mac OS X Cougar、Mac OS X Really Fat Tabby なんてことになるのだろうか?

The bigger question is how long it can keep coming up with big cat names. Mac OS X Bobcat? Mac OS X Cougar? Mac OS X Really Fat Tabby?

【編集後記】David Pogue は技術関係の書籍を執筆している。Mac OS のハウツーガイドもそれに含まれる。これらのプロジェクトは当該製品メーカーからの協力を得て書かれたものではない。そのためのコミッションももらってはいない。

Editors’ Note: David Pogue writes books about technology, including how-to guides, among them titles covering the Mac operating system. These projects are neither commissioned by nor written in cooperation with the product manufacturers.

     *     *     *

一読して David Pogue の穏やかならぬ心中がにじみ出ているようだ。

本文の Mountain Lion の紹介の部分はいつもの Pogue らしくとても分かりやすくていい説明になっているだけに対照的だ。

編集後記に至っては、Pogue はアップルとは関係ありませんと NY タイムズがケンカを売っているような感じ。

「一番のショック」云々が、これまで与えられていた(みんなもそう信じていた)アップルの特別待遇から自分が外され、他の技術ライターにその特典が与えられたことに対するホンネが出たわけでもあるまいが・・・

     *     *     *

Steve Jobs の草創期の頃からアップルに関するニュースの御三家といえば NY タイムズ(John Markoff)、WSJ(Walt Mossberg)、ニューズウィーク(Steven Levy)と決まっていた。

Jobs のアップル復帰後も、多少の変動はあってもそれは続いていた。(John Markoff が David Pogue に変わり、Ed Baig が加わったが。)

そんなひとりの Pogue が外されたことをどう捉えていいのか。[注:そうではなかった? こちら参照

Foxconn 報道の影響だけでなく、トップの交代とともにアップルお気に入りのライターにも変化の波が押し寄せたのかもしれない・・・

★ →[原文を見る:Original Text

Read Full Post »