何が発表されるかおおむね予想はついていたとはいえ、やっぱりアップルイベントは楽しい。
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同時進行
アップルイベントというと、発表された内容を細大漏らさず伝えるのが技術メディアの役割だ。
イベントの内容を時々刻々伝えてくれる The Verge、超人的なスピードでテキストをタイプする Macworld のライブはお馴染みだ。
今回のスペシャルイベントは、招待状をもらって会場に潜り込めなくても、世界中の誰でもイベントの様子を同時進行で見ることができた。
これからは技術メディアもなかなかやりにくくなりそうだ。
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Yerba Buena Center:
会場となった Yerba Buena Center はさすがに大きくて、その分期待も高まる。
ジョブズのための予約席があるのかどうかはよく分からなかった。
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新しいハードウェア:
ハードとしては MacBook Pro、Mac Pro、iPad Air、Retina iPad mini が新たに登場。
いずれも実機の紹介はなく、スライドとビデオだけ。
Mac Pro には 4K ディスプレイ3台接続可能としながら、期待されたモニターの発表はなかった。
Mac Pro の紹介ビデオで片手で持てるサイズが印象的だった。
メインかと思われた iPad 関連は最後の20分足らず。
ネーミングの変わった iPad Air。一世代飛ばして A7 を搭載した Retina iPad mini は John Paczkowski の予想どおりだった。
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ソフトウェアのデモ:
ステージで実際のデモが行なわれたのは OS X Mavericks と GarageBand、Pages だけ。
今日のキーノートで客席がいちばん沸いたのは「無償」(Free)と「本日出荷」(Today)のときだろう。
基幹となるソフトが全て無償、ダウンロードも本日可能というのはたしかに大きなサプライズだ。
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ハードの出荷日:
MacBook Pro:本日
Mac Pro:年内(December)
iPad Air:11月1日
Retina iPad mini:11月下旬
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ファッション:
ジョブズのタートルネックと異なり、ダークシャツの裾を出して着るのがすっかり定番になったようだ。
Craig Federighi が Mavericks のデモで奥さんに「Phil is my fashion guru!」とメッセージを送ったときは会場の笑いを誘った。
ボディーの引き締まった Tim Cook や伊達男の Craig Federighi はともかく、典型的中年体型の Phil Schiller や Eddy Cue はちょっとつらそう・・・
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これで年末に向けてアップル製品が勢揃いした。
今年はこれで終わりでしょうか…
来年もまた同じルーティンワークなのでしょうか…
iPadラインアップにiPad2を残したところにアップルらしさが出ていると思う。なぜ一つ前のiPad4でなく三世代も前のnon-retina iPadを残すことにしたのか。すこしでも見栄えのする手持ちの駒を出せばいいじゃないか。スペックを重視する他のメーカーならけっしてとらない戦略だ。
おそらくーーーパフォーマンスと価格のバランスを考えたのだと思う。iPad3/4はなまじretina displayを実装しているためパフォーマンスでむしろiPad2より劣るしコストもかかる。ユーザーには微細な画面の違いより使い勝手のほうがずっと重要だと考えたに違いない。だから逆に新iPad miniにはretinaでもサクサク動くようにA6を飛び越えA7チップを奢っている。ユーザーエクスペリエンスなんて数字にならないものにあくまで固執する愚直さがいい。
ジョブズの呪縛から解かれていくアップル、を強く感じた今回のイベントです。今後に期待です。