9月の iPhone イベントで「サプライズの要素がなくなった」と書いた Marco Arment がまた強烈なコメントをしている。
10月のアップルイベントは「ヒドかった」と・・・
Marco.org: “Off” by Marco Arment: 24 October 2013
* * *
ヒドかった
今週のアップルイベントはちょっとヒドかった(a bit off)。
Something felt a bit off about this week’s Apple event.
* * *
サプライズなし
サプライズがなかったせいもあるが、それはアップルのせいではない。どのアップグレードも、ステキではあったが、いずれもインクリメンタルで予想可能だった。どの価格設定にもサプライズはなかった。唯一の例外はゾンビー iPad 2 があと1年は出回るということ。しかも臆面もなく去年と同じ価格で・・・
Part of it was the lack of surprises, which isn’t Apple’s fault. All of the product upgrades, while nice, were incremental and predictable. None of the pricing was a surprise. In fact, the only unexpected product announcement is the zombie iPad 2 sticking around for another year, shamelessly at the same price as last year.
* * *
プレゼンテーションもヒドかった
幹部連のプレゼンテーションもちょっとヒドかった。平板でエネルギーが感じられず、アップル自体が今回の発表にあまりエキサイティングでなかったのではと思えるほどだった。(ハッキリした例外は Craig Federighi で、適度にエネルギーもあり、いちばん洗練されていた。)ライバルに対するジョークや皮肉もぎこちなかった。きっかり台本どおりのセリフだが、プレゼンターはしばしば台本から外れ、スラスラとはいかず、ぎこちなく言い直すこともあった。不自然なスピーチではなかったが、よく言っても緊張しているという感じだった。
The presenting executives seemed a bit off, too. Their energy was flat, as if Apple wasn’t particularly excited about these announcements either (with the notable exception of Craig Federighi, who was properly energized and most polished). Most of the jokes and digs at competitors were awkward. The lines were so tightly scripted that the presenters often stumbled off-script slightly, and rather than rolling with it naturally, they’d just jump back and awkwardly retry the line. Nothing about the speeches seemed natural — at best, the presentation felt uptight.
* * *
焼き直し
製品紹介はこれまでの焼き直しがほとんどだった。冒頭の「点」のビデオだってみな何か月も見て知っている。[注1] マイクロソフトのタブレットがダメなことは誰でも知っている。こんなに彼らが落ち込んでいるときにマーケットリーダーが一撃する必要はない。誰もアンドロイドのタブレットでウェブブラウジングをしないことはみな知っている。電話のものを引き延ばしただけのアプリだから。顧客満足度で iPad がナンバーワンであることもみな知っている。ハードウェアにソフトウェア、サービスにテクノロジー、そしてリベラルアーツだろう?
The product messaging was almost entirely just rehashing old talking points. We’ve seen the Dots video for months. [1] We know Microsoft’s tablets suck, and the market leader doesn’t need to kick them while they’re this down. We know that effectively nobody browses the web on their Android tablets full of stretched-out phone apps. We know the iPad is number one in customer satisfaction. Hardware, software, services, technology, and liberal arts, right?
[注1]アップルイベントで出来合いのビデオを見せられる時間が確実に増えていると思うのは自分だけだけだろうか? ひとつや二つならまだ許せる。しかし今回はツーマッチだ。これはライブイベントなのだ。ビデオを見るためだけにわざわざ遠くからやってくるヤツはいない。ビデオはあくまでプレゼンテーションの脇役で、主役ではない。
1. Is it just me, or has the premade-video time been steadily increasing in Apple events? One or two, fine. But this felt like too much. It’s a live event — nobody needed to travel out there to watch videos. Videos should support the presentation, not lead it.
マーケティング主体のビデオは実体がなく、誠実でもない。その場にいる人間からもっと話を聞きたいのだ! このイベントが巨大なコマーシャルではなく、現実問題に向き合う(relevant)業界イベントであることを期待したい。
Highly produced marketing videos don’t feel substantial or sincere. We want to hear more from the humans who are right there in the room! Let us continue to believe that these are relevant industry events rather than giant commercials.
* * *
ひと様々な使い方
iPad の使い方がひと様々であることもみな知っている。消防士が iPad でスペースシャトルを打ち上げるのだって! 農夫が風力タービンを作り、作曲をする! なのにアップルはみんながどんな使い方をするか見るのが待ちきれないだって?
We know that people are using iPads in all sorts of different ways. Look, firefighters are launching space shuttles with an iPad! Farmers are building wind turbines and composing songs! And Apple can’t wait to see what we do with our iPads.
* * *
iPad の使われ方を知らないだって?
ホントのところ彼らはちゃんと知っているのだ。iPad がどんな使われ方をするか誰でも知っている。だって iPad は3年以上もみなが使っているのだから。どうやら iPad はほとんどのひとが基本的なウェブ作業(Eメール、ブラウジング、Facebook)や読書、中でもちょっとしたゲームに使っているらしい。ホリデーシーズンになれば、ちょっとしたゲーム機として iOS デバイスがしこたま売れる。アップルはゲームのことをひと言も触れなかった。[注2] それってゲームは iPad の使い道としてよく知られているためか、それともみんなが iPad を買う最大の理由をアップルが知らないためか?
But they already know. Everyone knows what people do with iPads, because iPads have been heavily used in public for over three years. It looks like most people use iPads for basic web tasks (email, browsing, Facebook), reading, and, importantly, casual gaming. Going into the holiday season, in which tons of iOS devices are usually sold that will primarily be casual-gaming devices, Apple hardly even mentioned games. [2] Is that because they don’t need to, since games are already a popular iPad use, or because they’re not in touch with one of the biggest reasons people buy iPads?
[注2]それにまた今年は iPod Touch についての言及もなかった。iPad Mini のせいで需要が減るからかもしれないけれど・・・
2. There’s also no new iPod Touch to address that market this year, although the iPad Mini probably somewhat reduced the demand for the Touch.
* * *
予約すらできない
イベントがうまくいって、みんなが新しい iPad を買う気になったとする。おあいにくさまだ! — 予約注文すらできないのだ。iPad Air が発売されるのはイベントの10日後だが予約はできない。需要が殺到すると思われる Retina iPad mini は発売日がいつになるのかすら分からない。「11月後半」だというけど・・・[注3]
Suppose the event worked, and we’re all jazzed up to buy the new iPads. Well, too bad — you can’t even preorder either of them yet. The iPad Air will be released 10 days after the event with no preorders, and the one likely to be in much higher demand — the Retina Mini — doesn’t even have a release date yet, except “later in November”. [3]
[注3]もしかしたらブラックフライデー[Black Friday:米国では伝統的に感謝祭(Thanksgiving Day:11月の第4木曜日)明けの金曜日「ブラックフライデー」がクリスマス商戦の開始の日とされる]に合わせて Retina Mini を売り出すのかもしれない。1年でもっともよく売れるこの日にアップルストアにひとびとの注目を集めようということかもしれない。
3. Maybe they’ll release the Retina Mini on Black Friday. It would get a lot of people and attention to Apple stores on the biggest shopping day of the year.
* * *
アップルの基準に満たなかった
Mavericks も iLife も iWork も、またインクリメンタルなアップデートの Retina MacBook Pro もどれも良さそうに見えるが、今回のイベントはアップルの基準に満たないと思わざるを得ない。
Mavericks, iLife, iWork, and the incrementally updated Retina MacBook Pros look good, but I can’t help but feel like the event wasn’t up to Apple’s standards.
* * *
イベントへの反応はひと様々だとしても、これはなかなか手厳しい。
年に一度の製品発表なのに、WWDC から何か月も待たされたのに — という思いが滲み出ているようだ。
これに John Siracusa を加えたギーク3人組のポッドキャスト「Accidental Tech Podcast: A Weird One」はアップル批判続出だ・・・
★ →[原文を見る:Original Text]
昔のアップルを知らない人、iPhone以降からapple製品を買い始めた人には
いつもサプライズが必要だし革新的製品が3ヶ月おきに必要なんですね。
そうするとマイクロソフトやグーグルは毎日革新的な新製品を出してるのかな。そうじゃないですよね、彼らはappleを追ってるだけ。
こういう子供じみたコメントが表に出て来ちゃう時代は不幸でもありますね。
SJの他界直前の革新的製品ラッシュが皆を狂わせたのでしょう。ハードルが上がりすぎたようですね。
無理もない。
本当に潰れそうだった会社が、世界一にまで針を振り戻したんですから。
Appleイベントに対する期待度を上げ過ぎなのではと思います。
Appleはそんなに驚愕のプレゼンを頻繁に行って来たのでしょうか?
ジョブズの時代でも片手で数えられるぐらいしか無かったと思うのですが。
確かにジョブズのワンマンショーは常に楽しめるものでした。でも内容的に革新的だった事はそれ程無かったと記憶しています。
Appleのイベント後は必ず同様な批判が湧き出し、その後の結果を以って沈黙する。その繰り返しです。
販売時期にしても、既にiPadの需要は世界中に拡がり、有る程度の準備期間が無ければ需要に応えられない規模に成長した結果なのは明白です。
今回の記事も粗探しの域を越えていないと感じます。
ただ前回のiPhone5sから何故事前予約を取りやめたのかだけは謎です。これも需要の大きさに関係があるのでしょうか。。。
確かに興奮の度合いはすくなかった。
iPad air もiPadminiretinaも、素晴らしかったが、何か力不足を感じた。
アップルに過度の期待をし過ぎている一部消費者やアナリストがバカなだけです。
ジョブズ亡き後でも、革新的製品が簡単にポンポン出るようだったら、
どの企業も苦労なんかしません。今後も革新的商品はほとんど出ないでしょう。
今が普通だってこと、何で気づかないんだろう。
ジョブズ復帰後の約15年で革新的製品はiMac,iPod,iPhone,iPad。3、4年で1製品。没後2年。特別、停滞しているとは思えない。イベントについてもジョブズ生前の2年くらいは精彩を欠いていたと思っている。この没後2年はジョブズ時代の1人舞台から各担当のチームワークになり各人が生き生きとこなしているように見えてむしろ好ましい状態に感じる。結局、現在のappleのイベントに批判的な人はジョブズファンでありジョブズ時代へのノスタルジーではないのかという気がする。
毎年革新的な新製品が出るわけではないのでその点は問題にしない(それにしてもリーク情報が多過ぎる気がするが)。ただ、Macro Armentが指摘してるように、プレゼンのレベルは今までより低かったと思う。練習が足りないのか、集中力が足りないのか、言い間違い、言い淀みの多さが気になった。1回1回のプレゼンに狂人的エネルギーを費やしたジョブズのsoulが薄らいでいるように感じてしまうのは大袈裟だろうか…。
発表と同時の予約が出来なかったのもガッカリだった。製品が出るのが数ヶ月先なら分かるが、10日位先の話なのに。使いたい、持ちたい気分が高まっている時に「ポチッ」と出来ないと、冷静に考える時間が出来て、まともな判断(購入見送り)をしてしまう(ある面良いことかも)。
毎年新しいカテゴリーのディバイスをバンバン出すなんてことはあり得ない訳で、「SJ以降限界が見えた」「既存商品の改良に留まった」などという日本のマスコミの紋切り型には辟易としています。むしろ私は今回のプレゼンテーションが、SJ亡き後久しぶりに盛り上がったのですが。
関係ありませんが、MARVERICKのAppleTVへのミラーリング可能化と、27inc. Display のカタログからの抹消は、噂されるApple TV (Display)へのヒントかと思いますが、如何でしょうか。つまり、………。
昔はワクワクしながらAppleの発表を見たり、翌日の朝に起きてサイトを見たりして、がっかりすることなんて良くあったからなぁ。こんなもんだと思うんだが・・・。
まあクックのプレゼンはお世辞にも上手いとは言えないよね。特にオドオドとした不自然な話し方はひどい。CEOにはもっと堂々とした人がなるべきだと思うのだが。
フェデリギは別格。特にデモ紹介に関してはジョブスより上手いのでは。
イチローも、香川(本田)も、一般的なプロ選手並みのパフォーマンスで許されるはずが無いというところで戦う。
Appleだって同じだと思いますね。
それができないというのなら、他のディベロパーより先進的で革新的だなんて看板は即刻下ろすべきでしょう。
もっとも、他社の先進技術をつまみ食いしながら、うまいこと良い商品に仕立て上げるというやり方で来てる企業なのだから、そもそも革新的ではあっても、先進的ではないわけですが。
私は盛りだくさんすぎたのではないかと感じました。大勢出てきて、大急ぎで言うべきことを言い切った、という感じがします。
インクリメンタルなアップデート製品ばかりだからそれができたとも言えるでしょうし、むしろだからいろいろ詰め込んだのかも知れませんが。これらをいくつかのイベントに分けたら(ipad と mac は別とか)やはりインパクトに欠けたかも知れませんが、次から次へと出てきたので、それなりに迫力はあったと思います。
いずれにせよ、私は結構ワクワクして購買意欲は高められましたし、その後しばらくは同僚と盛り上がって楽しめました。
そもそもiPodもiPhoneも、発表後は批判のオンパレード、iPodでは革新的なデバイスがこれかと大批判を浴びていたはず。アナリストの方々はずいぶん物忘れが激しいですね。