新しい iPhone がプラスチック製になるというウワサを聞いたとき、これは間違いなく中国やインドを対象とした廉価版モデルだと思い込んでしまった。
今年初めての新製品発表となる9月10日のアップルキーノートを見て、中国向けでもなく廉価版でもないと分かってだいぶガッカリした。
しかしなぜアップルが売れ筋の iPhone 5 の席を奪ってまでも iPhone 5C にしたのか、キーノートを見てもなかなかピンとこない。
プラスチック製であることにジョニー・アイブが 5C の紹介ビデオで “unapologetically plastic”[unapologetically:悪びれずに、弁解なしに 、意図的に]ということばを使ったこともなんとなく引っかかった。
なるほどと疑問が氷解する思いがしたのは MG Siegler の感想を読んだときだった・・・
・TechCrunch: “Forget “Cheap”, The iPhone 5c Is Clearly The iPhone Jony Ive Wanted For iOS 7” by MG Siegler: 10 Sepbtember 2013
・TechCrunch Japan: “iPhone 5cは「廉価版」にあらず。Jony IveがiOS 7搭載用としての理想を追求したデバイスだ“: 12 Sepbtember 2013[Maeda, H 訳][以下、Maeda, H 氏の日本語訳がたいへん分かりやすいのでそのまま使わせていただく。]
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iPhone 5C にはジョニー・アイブの思いがある
新iPhoneの発表イベントを見て、さらにiPhone 5cのビデオを見てみれば、AppleがiPhone 5cに込めた思いを理解できるはずだ。その「思い」とは、すなわちJony Iveによるものだ。[Maeda, H 訳]
After sitting through Apple’s unveiling today and more importantly, watching the product videos, it seems decidedly more clear to me why Apple actually made the iPhone 5c. I think it comes down to the star of those videos: Jony Ive.
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古いデザインのままの iPhone 5S
しかしiPhone 5sはiPhone 5とほぼ同じデザインを踏襲している。すなわち、Iveがハードウェアのみに関わり、ソフトウェアのデザイン面に関わるようになる前に生み出されたものであるのだ。[Maeda, H 訳]
[…] But remember that it is largely the same design as the iPhone 5, a device dreamed up by Ive before he was in charge of the design of software for Apple as well as their hardware.
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ジョニー・アイブが思うがままにデザインしたのが 5C
つまり、IveがiPhone 5を生み出す時点からiOSのデザインに関わっていたのなら、きっとiPhone 5をこのようにデザインしただろうというものが、まさにiPhone 5cであると思うのだ。昨年冬の組織改編から、より広い範囲でのデザインを担当するようになり、それでIveは思うままのデザインを実現してきたのではないだろうか。[Maeda, H 訳]
In other words, I view the iPhone 5c as the iPhone 5 that Ive would have built had he been in charge of iOS design at the time of its creation. And thanks to the executive shake up last winter, I believe he now got to do just that.
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初代 iMac を思い出す
今年の夏、WWDCにてiOS 7がはじめてお目見えしたとき、そのカラフルなパレットUIに皆が驚いたものだった。しかし、長くApple製品を使っている人(あるいは長くAppleおよびIveに注目している人)は、初代iMacを思い出し、確かにこれもAppleないしIveのやり方だと納得したのだった。13種類のカラーバリエーションを用意して、Apple再生に大いに役立った。まさにカラーこそAppleのウリとなっていたのだ。[Maeda, H 訳]
When iOS 7 was first unveiled this summer at WWDC, many were shocked at the colorful new palette. But longtime Apple observers will recall that this is actually nothing new for Apple and Ive. The original iMac, the product which rebooted Apple, came in thirteen very colorful variations. In fact, that was a key selling point.
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思いの丈を詰め込んだ
Iveは、自分でデザインしたソフトウェアの入れ物としてのハードウェアをデザインし、iPhone 5にとってかわるiPhone 5cに自分の思いのたけを詰め込んだのだ。[Maeda, H 訳]
[…] Ive wanted to try his hand at designing a phone to perfectly envelope his software and he got his wish.
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ジョニー・アイブの iPhone
iPhone 5cは「Jony IveのiPhone」とでも言うべきデバイスだ。色彩豊かで、そして美しく、何らかの代替物としてではなく、プラスチックの魅力を前面に押し出したデバイスだと言える。
This is Jony Ive’s iPhone. It’s his return to colors and “beautifully, unapologetically plastic.”
「ハードウェアとソフトウェアがお互いに高め合ってひとつのデバイスとして結晶しているのです」。[Maeda, H 訳]
“It’s the vivid realization of hardware and software together in one device.”
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スティーブ・ジョブズ復帰後のアップルを救ったあのカラフルな iMac をデザインしたのは他ならぬジョニー・アイブだった。
iPhone 5C が実際に店頭に並んだとき、その思いは消費者に伝わるだろうか・・・
確かにiOS7のUIは5cに合うかもしれない。
良くも悪くも、正に独りよがりのiPhoneですね。
SJが窓から放り投げた(らしい)TAMも彼独自のデザインでしたし…
素材やデザインに重きを置きすぎて、ユーザーエクスペリエンスを二の次にしているようで、これから先が心配です。
ブログが再開され、大変嬉しく思っています。着眼も多くのマスコミの視点とは違う鋭い考察のものを紹介してくださり、なるほどと気付かされることがとても多いです。iPhone5cの価格付けに関して歴代のiPhone価格のグラフとかこのIvesの記事とか、目から鱗が落ちます。
ジョニー・アイヴの思いはある程度理解できるとしても、iPhone5cのあのクスんだカラーバリエーションには、初代iMacのような心ときめかせるモノが無いのです。例によって、店頭で実物を見ればまた感想も変わるのでしょうか?
じっくり読ませて頂きました。
iOS7と通じるあの鮮やかなデザインは、これから巣立とうとする若雛のような初々しさがありますね。
iOS7は徹底的に始めての人に使いやすくなるようによりチューニングされていると思います。
カレンダーやアプリを開く動作一つとっても、押した所からアニメーションが始まって、次の画面に遷移していきますし、擦りガラスのようなレイヤー構造のおかげで自分がどこの位置にいるのか誰でも視認できるようになりました。
そのUI,UXの中心となるのが、あの5cにもあるような、鮮やかな色彩です。
白とそれ以外の色によってアプリ内の操作が統一されたように、
白や黒との対比によって本体の色がOSとシームレスに繋がっていますものね。
今後も楽しみにしています。
[…] (^_^)v: これ聞くの忘れてた。iPhone 5s/5cの人気カラー&容量アンケート。 ジョニー・アイブの iPhone:MG Siegler | maclalala2 今回もジェバンニ一晩。iPhone5s/5cの大阪弁PVが公開されました! : […]
謎解きをしたりゲームをしたりしている場合ではないと思う。廻りくどい背景や理由、前世代への遠慮はいらない。前のデザインの踏襲も急激な変化への遠慮、思慮であるならば、また記事の内容が限りなく事実に即しているのであれば今回ほガッカリした事はない。ただ最高にシンプルでクールな製品を求めているだけです。廻りくどい事はあらゆる混乱を生むだけかと。