《Update:シャープはアップルの孫請けになった》
[アップルの話題は中国から:image]
アップルが Hon Hai[鴻海精密工業]の2番目に大きい株主になるかもという、中国発の興味深いウワサがある。
M.I.C. Gadget: “Apple Might Become the Second-largest Shareholder of Hon Hai (aka Foxconn)” by Star Chang: 03 April 2012
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Hon Hai の資金調達
iPhone/iPad の中国組み立て工場 Foxconn の親会社である台湾の Hon Hai Group[鴻海精密工業:Hon Hai Precision Industry Company Ltd.]は、30 億ドルの増資を計画しており、そのうち 3390 万ドルは GDR[Global Depositary Receipt:海外株式預託証書]で調達する計画だという。Hon Hai 最大の顧客であるアップルがその資金を提供するのではないかと考えられている。
Taiwan’s Hon Hai Group, which owns the Foxconn assembly plants that produce iPhones and iPads in China, is planning to raise more than US$3 billion by issuing less than US$33.9 million in new GDR (global depository receipt) shares. It is reported that Hon Hai’s largest client, Apple, is expected to become a major investor …
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2番目に大きい株主
アップルは何十億ドルものキャッシュを抱えている。復配と自社株買いに加えて、アップルは Hon Hai の株式を取得し、同社との戦略的提携を強化する可能性を否定していない。Hon Hai の資本調達は台湾 IT 企業としては歴史上最大のものだが、資本を提供するのがどこになるか市場の見方は分かれている。もしアップルがその潤沢なキャッシュを使って Hon Hai の GDR 株を取得すれば、同社の9%以上、すなわち10億株を取得することになる。それによりアップルは、Hon Hai とシャープの組立ラインを獲得し、Hon Hai の2番目に大きい株主となる。
Apple has many billion cash in hand. In addition to distributing dividends and buying back stocks, Apple did not rule out the possibility of acquiring Hon Hai’s shares and expanding its strategic alliance with Hon Hai. While Hon Hai’s fund raising attempt is expected to be the largest in the history of Taiwan’s tech industry, market sources are mixed about who its buyers will be. If Apple uses all its cash on purchasing Hon Hai’s GDR shares, it will be able to secure more than 9 percent stake in the manufacturer, or about 1 billion shares. In doing so Apple would acquire the assembly lines of Hon Hai (and Sharp) to become the second-largest shareholder of Hon Hai.
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シャープを加えてサムスンに対抗
なぜアップルはそうするのか? 日本のエレクトロニクスの巨人シャープは先週 Hon Hai との戦略的提携を発表した。両社は共同して LCD パネル工場の操業を安定化し、Hon Hai の調達力を生かして LCD パネルおよび LCD テレビ市場での価格競争力を高めることなるだろう。新 iPad のディスプレイはシャープが提供するといわれている。新 iPad の組み立てを Foxconn が行なっていることから、この提携により Hon Hai・アップル両社は生産強化、コスト引き下げ、生産効率の改善によってサムスンや LG に対抗することが可能になる。したがってもしアップルが2番目に大きい株主となれば、実質的に Hon Hai への影響力を増し、間接的にシャープに影響力を及ぼすことができるようになる。
So why Apple might be doing this ? Last week, Japanese electronics giant Sharp has announced a strategic deal with Hon Hai. The two companies will combine to stabilize LCD panel plant operation and use the purchasing power of Hon Hai to strengthen its ‘cost competitiveness’ in the LCD panel and LCD TV markets. Sharp is reported to be supplying display panels for Apple’s new iPad tablet. With Foxconn handling the assembly of the new iPad, the deal is set to help both companies increase production, lower costs and improve its efficiency so that it can compete with Samsung and LG. So if Apple become the second-largest shareholder of Hon Hai, Apple can substantially increase the influence on Foxconn, at the same time Apple also has the power to affect Sharp indirectly.
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いずれサムスンを斬る
いちばん大切なことは、サムスンとの提携関係をアップルが解消するチャンスが出来ることだ。結局サムスンはアップルに部品供給してカネを儲け、それでアップルとよく似た製品を作っている。その結果両社のビジネスには緊張が加わり、サムスンとの関係解消を図る方途をアップルが探るようになった。いまや Hon Hai が資金調達を図っているので、アップルとしては同社に投資するだけで多くのメリットが得られるわけだ。アップルは本件について真剣に検討すべきだ。
Most importantly, Apple has the chance to pull off Samsung’s partnership. After all, Samsung is making Apple’s money by providing components, but on the other hand, it launched a similar products to compete with Apple. It has resulted both companies to have some tension in their business relationships, thus Apple is finding way to get rid of Samsung. Hon Hai is now planning for a fund raising, Apple just needs to invest some money into it and will able to get lot’s of benefits. Apple should have some serious consideration about this.
参考:鴻海計畫發行 GDR 募資,Apple 考慮認購以入股 | 科新聞
SOURCE: mpfinance.com, cool3c.com (Chinese translated)
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なかなか興味深いウワサだ。
Hon Hai がシャープの筆頭株主になったとき、なぜアップルではなく Hon Hai なのか不思議に思ったが、確かにこうすればシャープもまとめて支配できる。
折しもアップル決算発表電話会議の日取りが決まった。
Tim Cook の下ではどうやら製品発表ではなく四半期毎の決算発表が重要な舞台になりそうだ。
歴史的な桁外れの業績を出した後なので、通常ならばなかなか難しい局面だが、中国市場に焦点を絞ればその突破口を図ることは可能だろう。
Foxconn 問題を解決した中国訪問の成果に加えて、Hon Hai 買収まで視野に入れれば、これまた Cook にとって絶好の機会となる。
iPad については商標権問題というハードルが残っているが、李克強副首相の「知的財産権の保護拡充に努める」という約束がどう展開していくのかこれまた興味深い。
いずれにしても、Cook の動向や Hon Hai 買収など、世界的関心を集めるアップルの話題の情報源が中国になってきたことは注目すべきだろう。
いまや風は中国に向かって吹いている。
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《Update》シャープはアップルの孫請けになった(4月11日)
同じニュースを英語で読むか日本語で読むか・・・
ニューズウィーク日本版: “鴻海精密によるシャープ買収をどう考えるのか?” by 冷泉彰彦: 11 April 2012
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鴻海精密によるシャープ買収をどう考えるのか?
それにしても、このニュースの伝わり方がそもそも気に入りません。まず、資本提携だとか苦渋の選択だという見出しで「ボカして」いますが、実質的には台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループによるシャープの買収であり、日本の大規模なエレクトロニクスメーカーの一角が、外資の軍門に降ることを意味します。
こうした買収劇を「資本提携」とか「共存共栄策」などという曖昧な言い方で報道するというのは、まるで「敗戦」を「終戦」と言い換え、「占領軍」を「駐留軍」と言い換えてささやかなプライドを満足させた1945年の「敗戦」とソックリです。この点からしても、今回の事態は「第2の敗戦」と言って構わないでしょう。
もう1つ気に入らないのは、報道で「鴻海」という名前ばかり出る一方で、アップル社の完成品組立外注先の「FOXCONN」が、この「鴻海」のグループだということが、ハッキリ説明されていないということです。具体的には、シャープはこれでアップルの孫請けになるわけです。
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日本(語)のニュースを見ているだけでは IT 事情は分からない・・・
★ →[原文を見る:Original Text]
Tim Cook体制のAppleは別の意味でワクワクさせる^^
Jobsはわがままな重戦車だったけど
Cookは靡いて風の流れを読んで鋭く決断を下そうとしている
どちらも世界を変えようとしている二人なのに
人によってこうもやり方が違うとは…Appleらしさ未だ健在ですね♪
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サムスン vs Apple連合軍となってきそうですね。
納得するわ!