[Foxconn 工場を訪れた Tim Cook:photo]
アップルをめぐって中国事情が急展開しているように見える。
アップル叩きの原因となった Foxconn の深圳工場を Tim Cook が訪問している。
その直前に FLA[Fair Labor Association:公正労働協会]が Foxconn 工場の監査結果を発表。アップルと Foxconn の両社は賃金や労働環境の改善に取り組むことで合意した。
李克強副首相が中国の「労働者に一段と配慮するよう求め」、アップルが「法を順守し誠実に事業展開する」と約束したことと軌を一にする。双方が原理原則の尊重を宣明したわけだ。
そしてその直後の深圳訪問ということになる。
一連の動きに対する現地工員の反応をロイターが伝えているのが興味深い。
Reuters: “Apple supplier Foxconn cuts working hours, workers ask why” by Chris Buckley and Don Durfee: 30 March 2012
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超過勤務が減ると稼ぎも減る
「実質賃金が減るのではないかと心配しています。労働時間が減れば稼ぎも減ることになる」と中国南部の海南省からで出稼ぎにきた23歳の工員 Wu は語る。
“We are worried we will have less money to spend. Of course, if we work less overtime, it would mean less money,” said Wu, a 23-year-old employee from Hunan province in south China.
また、4年前に海南省から出稼ぎにきた25歳の工員 Chen Yamei がいうには、「ここに来たのは働くためで遊びに来たワケではありません。いくら稼げるかが大変重要なのです。」
“We are here to work and not to play, so our income is very important,” said Chen Yamei, 25, a Foxconn worker from Hunan who said she had worked at the factory for four years.
「超過勤務は月 36 時間までしかできないと言われたばかり。これじゃみんなとても不満です。月 60 時間程度が妥当なのに 36 時間じゃ少なすぎます。」彼女の月収は月 4000 元ちょっと(634 ドル)だという。
“We have just been told that we can only work a maximum of 36 hours a month of overtime. I tell you, a lot of us are unhappy with this. We think that 60 hours of overtime a month would be reasonable and that 36 hours would be too little,” she added. Chen said she now earned a bit over 4,000 yuan a month ($634).
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欧米と中国の発想の違いが如実に出ているように思える。
副首相との会談が原理原則に関するものだとすると、こちらは個々の労働者とっても確かに実利があるかという話だ。原理原則だけでなく実利主義の観点が貫徹しているところが中国らしい。
アップル叩きに端を発した今回の騒動が中国労働者にとっても改善につながるのかどうか、成果が問われるのはこれからだろう。
あれほど Foxconn 騒ぎを煽ったメディアは今度はどう反応するのだろうか。
Mike Daisey が突撃取材のウソを白状したいま、メディアの視点は中国労働環境の改善が賃金上昇圧力として製造業全体に及ぶという視点に切り替わりつつあるように見える。
原則と実利をカバーする視点が問われるべきは果たして誰か・・・
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私は日本人ですし日本の企業に務めてますが、労働組合に求めるのは労働時間短縮では無く残業した分ちゃんと金を払って欲しいということ。
生活に困らない人達には分からないのかなあ。
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