[スライド式MacBook mini by Isamu Sanada]
GoGo! Machead! の「ジョブズ以外のAppleの重役が語る情報に信憑性はあるのかな・・・?」という記事はなかなか興味深い。
Jobs 代行の Tim Cook がネットブック構想などいろいろな話をしたという記事なのだが、gogo-machead 氏は「最終決定者であるスティーブ・ジョブズが休養中とはいえ、ジョブズの目が黒いうちに社外の人間に多くの事を語るとはちょっと想像しにくい」と疑問を呈する。筆者もまったく同意見だ。
問題になるのは次の下りである。
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「アップルにはネットブック構想がある」
→ 英国 Macworld 誌の記事:
Macworld.co.uk: “Apple still has ‘ideas’ for Mac netbook, says analyst” by Nick Spence: 17 February 2009
“Tim Cook stated that since Steve Jobs announced his leave of absence, he was spending more time on new products, how Apple could take the iPhone into new markets and examining iPhone’s business model,” said Sacconaghi, who is ranked the top computer analyst by Institutional Investor magazine.
→ Computerworld.jp の訳:
Computerworld.jp: “アップルのCOO、Macネットブック‘構想‘の存在を示唆“: 18 February 2009
「クック氏は、ジョブス氏の休職に伴い、より多くの時間を費やして、新製品について検討したり、新しい市場にiPhoneを投入する手だてを考えたり、iPhoneのビジネス・モデルを検討したりするようになっていると述べた」(同氏)
ちなみに、Sanford C. Bernstein & Coは、個人投資家および機関投資家の資産(現在の総額850億ドル相当)を運用する投資運用管理会社で、サコナギ氏は、Institutional Investor誌でトップ・コンピュータ・アナリストと評価されている人物だ。
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実は、最初にこの記事を目にしたとき、「より多くの時間を費やして、新製品について検討し」ているのは Steve Jobs だと読んでしまった。「心を遊ばせる」という例の Woz の発言が頭に残っていたためだ。
やっぱり Jobs は休んでいても新製品や将来戦略を考えるだけの元気があるのだとホッとした。
しかし、よく読むと Steve Jobs ではなく Tim Cook であることははっきりしている。
でもそれでは、忠実な副官タイプのイメージを持つ Tim Cook 像とどうもしっくりこない。本当に彼がそんな発言をしたのだろうか。
なにしろこの発言をもとに、アナリストの Toni Sacconaghi が「iPhoneの価格改定、新しいスマートフォン・ハンドセットの提供計画とともに、ネットブックについていくつかの”構想”が存在する」と予測するわけだから・・・
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そもそも Jobs 不在のアップルでなぜ3人と会ったのか、何時どんな会合だったのか、アップルの話は正確にはどんなものだったのか・・・いろいろ疑問が湧いてくる。
ネットを調べてみると、それらしい記事がひとつだけ見つかった。
Barron’s Online: “Apple Confident On Q2 Guidance, Bernstein Says” by Eric Savitz: 12 February 2009
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アップルのブリーフィング
Bernstein Research のアナリスト Toni Sacconaghi は、今朝[2月12日]のリサーチメモで、アップル役員によるブリーフィングが今週行なわれたこと、第2四半期(3月末まで)の見通しについて「自信を持っているように見えた」と述べている。今週 Sacconaghi は Tim Cook(COO)、Peter Oppenheimer(CFO)、Phil Schiller(SVP-Product Marketing)に会ったが、3人とも「自信のある、確固たる調子で述べた」といっている。
Bernstein Research analyst Toni Sacconaghi asserted in a research note this morning that Apple (AAPL) officials in a briefing this week “appeared confident” about its guidance for the fiscal second quarter ending in March. Sacconaghi met this week with COO Tim Cook, CFO Peter Oppenheimer and SVP-Product Marketing Phil Schiller and says the three “projected a confident and unwavering tone.”
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どうやら3月期の見通しに関するアップルのブリーフィングに出席したということのようだ。それなら財務担当の Oppenheimer まで含まれているのも分る。
Sacconaghi メモの内容のうち関連するものはつぎのとおり。
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新製品:
・新製品についてはアップルは何も詳しい話をしなかった。
• Sacconaghi says the company gave no details on new products.
ネットブック
・Sacconaghi によれば、ネットブックの類いは「すぐには登場しないようだ。」しかしアップルがその可能性を検討していることは明らかだ。アップルには現在「アイデア」があり、いずれ同社にとってチャンスになるかもしれないと Cook が語った。
• A netbook offering “does not appear imminent,” but he says that the company is clearly thinking about the possibilities. He reports that Cook said Apple has “ideas here,” and that it could eventually offer an opportunity for the company.
iPhone Nano
・アップルは Sacconaghi のいう「iPhone Nano」は検討していないようだ。新しい iPhone が出るとすればブラウザと App Store との連携を含むものとなるだろう。
• Sacconaghi says the company does not appear to be pursuing his idea of an “iPhone Nano,” and that any new phones will likely include both a browser and ties to the App Store.
低価格 PC
・アップルには PC の低価格帯分野に直ちに参入する計画はないようだと Sacconaghi は「いささかがっかりしたように」いう。1200 ドル以上のデスクトップについては米国におけるアップルのシェアは 80% に達する。「我々としては米国市場の飽和によるリスクを懸念している。」
• He says that “somewhat disappointingly,” the company does not have any imminent plans to address lower price points in the PC space; he says that in the U.S. the company has 80% market share in the U.S. desktop market above $1,200. “We worry that saturation is increasingly a risk for Apple in the U.S.,” he writes.
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2月12日のメモを見る限り、「アップルにはネットブックのアイデアがある」というブリーフィング内容は昨年10月の Jobs の発言を踏まえたもので、特段目新しいものではない。Jobs が留守になったから Tim Cook がしゃしゃり出てきたというわけでもなさそうだ。
それから1週間後に冒頭の「ネットブック構想」の記事が出ている。食い違いの原因はどこにあるのか。喋った役員か、伝えたアナリストか、それとも記事を書いたライターか?
すぐにもネットブックが出るのかと思ったらぬか喜びだった・・・
★ →[原文を見る:Macworld UK(和訳)]
★ →[原文を見る:Barron’s Online]
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とうとう、Appleも第2四半期の業績はやや落ち込みそうな状況です。
斬新なネットブックは早く出したいとは考えていると思いますが、現行Leopardでは低ハードスペックのネットブックでは無理でしょう。
Snow Leopardが出ればネットブック(もっと斬新的な)が出るのは間違いないと見ています。
私事ではありますが、当ブログは記事の配信を終了しました。今でも時々、貴ブログからのアクセスをいただいており、お知らせいたします。
このコメント欄から当ブログへリンクさせる私の設定は今回で最後とします。
コメントは今後も折を見て、させていただくつもりですので宜しくお願い申し上げます。
記事配信の終了は全て私の意思であり、何かの圧力が有ったことは一切ございませんので申し添えておきます。
有り難うございました。
> TORIO さん
ブログをお辞めになるというので 驚いています
ご事情は分りませんが 長い間ご苦労さまでした
当ブログにも 多々コメントを寄せていただき ありがとうございました
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