[新しく加わった Button Shapes:image]
かつて弱視者の立場から iOS 7 インターフェイスの使いにくさについて触れたことがある。
「本来障害者のためのアクセシビリティだったハズなのに、それを一般のひとが使わざるを得ない状況は皮肉なことだと思う」とも書いた。
開発者に配布されたばかりの iOS 7 Beta 2 では、視覚障害者への配慮が図られているようだ。
Cult of Mac: “The Five Biggest Changes Apple Made To iOS 7.1 Today” by Buster Heine: 13 December 2013
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[シェードボタンとアンダーラインボタン:image]
ボタンかテキストか
iOS 7 では表示されるテキストが単なるラベルかそれともボタンなのかという混乱が生じている。これに対しアップルは応急処置を施したようだ。iOS 7 beta 2 ではアクセシビリティにボタンの形状をハッキリさせる新しい機能が加わった。ほとんどの場合は、ボタンにグレーのシェードをつけるだけだが、テキストにアンダーラインするだけの簡単なものもある。メッセージの Send ボタンや AirPlay メニューのデバイスなどがその例だ。
Confused whether some of the text floating around in iOS 7 is just a label or a button? Yeah, you’re not alone and it looks like Apple has a quick fix. iOS 7 beta 2 introduces a new Accessibility feature that turns on button shapes. While most buttons get a grey shading, other button shapes consist of a simple underlining of text – like the Send button in Messages and devices in the AirPlay menu.
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この新しい機能に対する開発者の反応は必ずしも好意的ではないようだ。
しかし、自らも視覚に障害を持つ Steven Aquino はこの新しい機能を高く評価している。
Steven’s Blog: “Thoughts on ‘Button Shapes’ in iOS 7.1 Beta 2” by Steven Aquino: 13 December 2013
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ユーザビリティ(使いやすさ)の勝利
この変更にたいするコメントのほとんどは(自分が読んだかぎり)、ボーダーラインの醜さに驚いたデザイナーたちからのもので、アップルはなぜこんなものを追加したのかと問題にしていた。純粋にデザインという観点 — 美的観点からいえば、新しい形状を批判するのはまったく妥当なことだ。じっさいに醜い。しかしこの新しい機能が加えられたということ自体が切り札なのだ。たとえボタンがどう見えようと、コントラストをハッキリさせてほしいという切実な願いに対応したという意味において、ユーザビリティ(使いやすさ)の決定的勝利なのだ。それは多分 — そして当然のこととして — アクセシビリティを必要とする視覚障害者コミュニティから賞賛されるだろう。
Most of the commentary I’ve read on this change has been from designers who are upset that the borders are ugly, and they question why Apple chose to add them. From a pure design perspective, aesthetically speaking, it’s perfectly reasonable to criticize the new shapes. They are indeed ugly, but the overall importance of this new addition trumps the way in which they’re presented. That is to say, regardless of how the buttons look, the sheer fact that they add a level of desprately-needed contrast makes the buttons a huge usability win, and likely — rightfully — will garner much praise from the visually impaired segment of the accessibility community.
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アップルは賞賛さるべき
アクセシビリティという観点からすると、新しい Button Shapes は iOS 7 のインターフェイスに明快さを取り戻そうとするものだ。この種のビジュアルな手掛かりは、視覚障害を持つ多くのユーザー(自分も含む)にとって非常に重要だ。この変更が加えられる前は、テキストがコントロールできるものか、それとも単なるラベルに過ぎないのか必死で判別しなければならなかった。iOS 7 の Button Shapes は「これはボタンだ。だから押して!」というレベルのユーザビリティ、すなわち iOS 6 のスタイルに耳を傾けようとしている。・・・これらのボタンは iOS 7 を現在のものよりはるかに使いやすいものにするだろう。深刻な問題を解決しようとするアップルの努力は真に賞賛されるべきだ。障害のある自分だけでなく、健常者にとっても・・・
From a AX [accessibility] perspective, what the new Button Shapes do is restore a sense of explicitness to iOS 7′s interface. These types of visual cues are so important to many visually impaired users, myself included. Whereas previously I struggled in identifying whether a label was an actionable control or simply a label, iOS 7.1′s Button Shapes hearken back to the iOS 6-style, This is a button. Tap me!, level of usability. […] These buttons will make iOS 7 infinitely more usable than it is today, and Apple absolutely should be applauded for addressing a serious issue — not only for me, but even for the normal-sighted as well.
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この問題に対する Marco Arment のまとめが単刀直入で核心を衝いている・・・
Marco.org: “Thoughts on Button Shapes in iOS 7.1 Beta 2” by Marco Arment: 15 December 2013
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まだある iOS 7 デザインの欠陥
もうひとつトグルボタンを加えることによってアップルが iOS 7 の視覚的ユーザビリティを改善しようとしているのは喜ばしいことだ。しかしながら、「Button Shapes」、「文字を太くする」、「コントラストを上げる」、「オン/オフラベル」、「視差効果を減らす」といったオプションが必要とされること自体、iOS 7 のデザインに重要な欠陥があることを示している。(少なくとも beta 1 の極薄フォントは今回は出荷されなかった。)
I’m glad Apple’s improving iOS 7’s visual usability by adding yet another toggle, but the need for Button Shapes, Bold Text, Increase Contrast, On/Off Labels, and Reduce Motion shows significant flaws in iOS 7’s design. (At least the ultra-thin fonts in beta 1 didn’t ship.)
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魅力的なものと使いやすさのバランス
使いにくいけれど魅力的なものをデザインするのは簡単だし、魅力的ではないけれど使いやすいものをデザインをするのも簡単だ。難しいのは二つのバランスを取ることだ。iOS 7 では魅力を追求するあまり多くのユーザビリティを犠牲にしてきた。
It’s easy to design something attractive that’s not very usable, and it’s easy to design something usable that’s unattractive. The challenge is striking a balance, and iOS 7 made too many usability sacrifices to achieve attractiveness.
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もし iOS 8 で・・・
このことはアップルにも分かっている。だから来年どうなるのかが興味深い。もし iOS 8 からこれらのオプションを取り除くことができなければ、それはデザインの失敗だ。
Apple knows this, so it’ll be interesting to see how it’s revised next year. If iOS 8 can’t remove any of these options, it’s a design failure.
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遅ればせながらビジュアルな意味でユーザビリティを高めようという動きが出てきたことは大歓迎だ。
コントロールバーの白黒反転など視覚的な意味での使いやさを高めることは、iOS 8 を待たずともやっていただきたい・・・
★ →[原文を見る:Buster Heine]
★ →[原文を見る:Steven Aquino]
★ →[原文を見る:Marco Arment]
もともとiOSにあったユーザビリティが損なわれたのです。iOS7で。
それをアクセシビリティで補う。
それを賞賛する。
馬鹿げてる。
あったものを取り除き、また加える。
FCPやiWorkでもやっていることですが、あまりに馬鹿にしていませんか?
後から追加できるならなぜ先にやらない?
というか、元来あるべきものがない状態でリリースなどあり得ない。
(そういえばMac OS Xも最初のうちは…)
あるべくしてあったものを取り払ってまでReデザインしたものはあまりにもお粗末過ぎる。
先日の記事のREMIXではないですが、時代に乗って取り入れるユーザビリティはパクっても結構。しかしユーザビリティを犠牲にしたREMIXなんて…
新MacProの外部拡張性しかないデザインに恐怖をおぼえます。
> 元来あるべきものがない状態でリリースなどあり得ない。
ベータ版を否定するような発言に聞こえますが、ハードウェアと違い、後から修正が用意なソフトウェアにおいては迅速なリリースとフィードバックに基づく改良のサイクルを積み重ねていく方が良いものができます。その好例がGmailなどではないでしょうか。
正にそれはβ作戦ですが、今一般の方が使っている最新のiOSは、元来あったボタンデザインを撤廃した正規版なのです。
β版を開発者や有志に渡し、そこで追加・改訂・改良するのを否定はしません。昨今のプログラムの多様化でバグフィックスをアップデートで対応するのは仕方ないでし、ユーザーにはそちらの方が良い面は多いでしょう。
ですが機能追加もアップデートでやっていい風潮は如何なものかと。それが過去の風貌に戻るような事案だと特に。
それに、機能追加が無償アップデートで当たり前に行われるようなら、アプリ開発者の方々も右に習えと…。
ちょっと逸れましたが、
一度決めた決定を覆す勇気は評価します。が、この程度では賞賛には値しないでしょう。
ボタンデザインに関しては、そのあたりまえのユーザビリティが通常は必要ないという、あまりにも傲慢な、ルックスだけのGUIデザインが、今後を間違ったベクトルに向かわせているようで、怖いのです。
自分はAppleの取り組みを評価します。
一つの場所に留まらず、次の高みを目指して茨の道を進む。変化させれば必ず賛否両論が有る訳で、それらのフィードバックから何を選択するかが重要ではないかと考えます。
自分にとってiOS7はとても心地の良いOSだと感じています。見た目は洗練され、よく使う項目はコントロールセンターで一発選択、マルチタスクについても非常に分かり易い。
この辺りは他のOSの利点を上手く取り込んでいると思います。
正直な所、ホーム画面の視差効果は何の意味が有るのか疑問ですが。
「ユーザビリティの低下」を自分は感じていません。とても使い易いと思います。
iOS6と比較して問題だと感じるのは安定性。これは間違いなく低下しています。アプリの落ちる頻度が高くなっている。
今回の話題、デザインを維持しつつ使い勝手を落とさない。視力が弱い人にも同様の使い勝手を提供する事について。
前もって全ての調整機能項目を網羅する事はそれほど難しい事では無いと思います。しかしそうすると非常に煩雑な設定画面となり、Appleの目指すシンプルなユーザビリティからは掛け離れたものになってしまう。
ユーザインターフェイスとはとてもデリケートなものであり、匙加減一つで使い易くも使い辛くもなる。
その落とし所を常にストイックに追い求めているのがAppleの魅力で有ると自分は考えます。
なので自らの落ち度を認めて改善を試みている姿勢を評価する訳です。
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以前よりもユーザーに優しくなっているように感じています。
シンプルが故にばっさり色々なものを切り落とすけど、ユーザーが必要としているならアップデートで対応できる柔軟性を持ってくれたんだなーと。
もはやどの関連企業も100点満点を目指しているけど、アップデートで機能の追加もバグFixもできるからいろいろな挑戦ができるんだと思っています。デザインの追求や新しい試みは今後も続くと思います。
FCP XやiWorkに関してもだいぶ挑戦的なアップデートでしたが、「おっ」と興奮する部分も「まじか」と落胆する部分と良くも悪くもソフトに力を入れてもらえることを期待しています。
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