《Update:フラット化はデザインの潮流》
[iPhone 5 イベントでの Jony Ive と Tim Cook :photo]
Mark Gurman が iOS 7 のフラットデザインについて久しぶりに力の入った記事を書いている。
9to5Mac: “Jony Ive paints a fresh, yet familiar, look for iOS 7” by Mark Gurman: 29 April 2013
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iOS 7 の新しいデザイン
近々発表される iOS 7 を実際に見たひとやその説明を受けた複数の人々によると、この OS の新しいユーザーインターフェイスデザインは、新規 iOS ユーザーにとっては魅力的だが、古くからのユーザーにとってはいささか違和感がある可能性もあるという・・・
According to multiple people who have either seen or have been briefed on the upcoming iOS 7, the operating system sports a redesigned user-interface that will be attractive to new iOS users, but potentially unsettling for those who are long-accustomed to the platform…
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「非常にフラットだ」(very, very flat)
[Windows Phone の UI:image]
ソースのひとりによれば、新しいインターフェイスは「非常にフラットだ」(very, very flat)という。これまでの iOS のバージョンの全てにわたって見られた光沢(gloss)、輝き(shine)、skeuomorphism が新しいインターフェイスではすべてなくなっていると別なひとはいう。さらに別なソースによれば、新しい OS の「フラットさ」(flatness)はマイクロソフトの最近の Windows Phone「Metro」のユーザーインターフェイスのレベルに達しているという。
The new interface is said to be “very, very flat,” according to one source. Another person said that the interface loses all signs of gloss, shine, and skeuomorphism seen across current and past versions of iOS. Another source framed the new OS as having a level of “flatness” approaching recent releases of Microsoft’s Windows Phone “Metro” UI.
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特段難しくなるワケではない
一部のひとにとっては新しくアップデートされた見かけが変わって驚くかもしれないが、iOS 7 のこれまでのバージョンと比べて特段難しくなってはいないといわれる。iPod がカラー化したときと同じで、慣れるのが難しいワケでない。iOS 7 の見かけは異なっても、コアとなるアプリやロックやホームスクリーンといったシステムの基本のほとんどについては今と同じように操作できる。
While the look of the updated system may be surprising to some, iOS 7 is reportedly not more difficult to use than earlier versions of software platform. There is apparently no new learning curve in the same way there was no learning curve when the iPods went color. While iOS 7 does look different, its core apps and system fundamentals (like the Lock and Home screens) mostly operate in a similar fashion to how they do today.
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コード名「インスブルック」
[Podcasts アプリの新旧:image]
iOS 7 のコード名は「インスブルック」(Innsbruck)だとこの OS に詳しい3人はいう。インターフェイスの変更は、新しくなったツールバー、タブバー、その他システム全体にわたる基本的インターフェイスに加えられただけでなく、アップルのネイティブアプリのアイコンがすべて新しくなっているという。この次世代 OS で動く iOS デバイスでは、視角や周りの人からは見にくいように偏光フィルター (polarizing filters)を備えているともいわれている。
is codenamed “Innsbruck,” according to three people familiar with the OS. The interface changes include an all-new icon set for Apple’s native apps in addition to newly designed tool bars, tab bars, and other fundamental interface features across the system. iOS devices running the next-generation software reportedly have polarizing filters to decrease viewing angles of on-lookers.
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「全部が一覧できる」(glance-able)
[OS X の Notifications パネル:image]
これまでの iOS バージョンで見られた複雑なインターフェイスデザインという特徴はなくなっているが、それに加えてアップルはソフトウェアの Notification Center のような「全部が一覧できる」(glance-able)情報やオプションパネルを加える方法や、将来的に新機能を実装する際のやり方についても検討中だといわれる。最終的にそのような新しい機能が iOS 7 に追加されるかどうか、また新しい機能を将来実装する際のやり方をどうするのかについえは未だ決まっていない。しかし初期のアイデアのひとつとしては iOS デバイスのディスプレイ上を左から右へスワイプすることで実装することが考えられていた。これは Mountain Lion の Notification Center が Mac トラックパッドを使う際のジェスチャーによく似ているが、iOS でどんなジェスチャーになるのかは未定だ。
In addition to losing the complex interface design characteristics from earlier versions of iOS, Apple has been discussing and testing ways to add more ‘glance-able’ information and system options panels, like Notification Center, to the software. While it is still uncertain if Apple will end up including such new functionality in iOS 7, or how the Company will implement the potential addition, one of the early ideas was to implement the new panels via swipes from the left and right side of an iOS device’s display. This would be similar to the gesture on Apple’s Mac trackpads for accessing Notification Center in Mountain Lion, but what, specifically, the iOS gesture could access is uncertain.
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「フラットデザイン」といわれてもなかなかピントこなかったが、Mark Gurman の記事はいろいろヒントを与えてくれる。案外これまであちこちで散見していたものがシステム全体に集大成されるということかもしれない。
改めて WWDC のデザインを見直すと、フラットデザインの新アイコンを積み重ねたようにも見えてくる。
長文の元記事はなかなか読み応えがあるが、Ive と Cook が一緒の写真[冒頭写真]の他にジョブズ と Scott Forstall が一緒の写真も添えられていて、skeuomorphism からフラットデザインへの変化がジョブズなきあとの新しい第一歩を象徴しているかのようでこれまた興味深い・・・
★ →[原文を見る:Original Text]
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《Update》フラット化はデザインの潮流
フラットデザインは Jony Ive のお家芸かと思ったら、実は時代の潮流なのだと Nick Bilton[NY タイムズ]が書いている。
NYTimes.com: “The Flattening of Design” by Nick Bilton: 23 April 2013
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先頭を切るマイクロソフト
大胆な意見に聞こえるかもしれないが、数年前ならデザインの最先端ではクールでないものの代表格だったマイクロソフトが、今やそうではないのだ。
It might sound audacious to think that Microsoft, the arbiter of uncool, was at the forefront of design a few years ago. But it was.
マイクロソフトは数年前に「フラットデザイン」に注力することに決めた。すべてがスムーズで真っ平らに見える視角効果の一種で、他のどのテクノロジー企業にもユーザーインターフェイス業界にも先駆けるものだった。
It turns out the company’s decision to focus on “flat design,” a type of visual scheme where everything has a smooth and even look, was a few years ahead of the rest of the technology and user interface industry.
子供が粘土のかたまりを押しつぶすようにマイクロソフトがインターフェイスのフラット化を図っていたとき、アップルやフェイスブックなどのライバルたちは skeuomorphism に傾注していた。skeuomorphism とは例えばノートを取ることを現実世界のノートのようなスパイラルリングで綴じたノートに見えるような形でウェブサイトやアプリをデザインすることだ。
While Microsoft was flattening its interfaces as if it were a child pushing down on a bulge of putty, its competitors – including Apple and Facebook — were focused on skeuomorphism, a type of look in which, say, a note-taking feature on a Web site or in an app would look like a spiral-bound notebook, a reference to the real world look of a notebook.
そして今や誰もがフラットデザインの方向へ進み始めた。
Now everyone seems to be following in those flat footsteps.
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[フラットデザインの例:image]
Nick Bilton が掲げているフラットデザインの例はなんともショッキングだ。
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スマートフォンの制約
デザイナーがデザインスタイルの変更を余儀なくされた最大の原因はスマートフォンという制約だった。
One of the biggest drivers for this stylistic change is being forced upon designers by the constraints of smartphones.
きょうびの画像はグラデーションのレイヤーや洗練されたタイポグラフィなど煩雑すぎる。ユーザーは非常に限られたスペースにぎっしりと詰まった情報の中をナビゲートすることを余儀なくされる。スマートフォンのスクリーンでは、キラキラ輝く精緻な CD 画像より音符だけのフラットなアイコンの方が遥かに早く内容を伝達できるのだ。
When today’s graphics are too busy — layered with gradients and elaborate typography — people are forced to try to navigate a clutter of information in a very small space. On a smartphone screen, for example, a flat icon of a musical note can tell a story much quicker than an intricate picture of a shiny sparkling CD.
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スマートフォンの持つ小さなスクリーンの制約は分かるが、独自のデザイン哲学を持つと思っていた Jony Ive がマイクロソフトが先導するフラットデザインの後を追うと聞くと複雑な気持ちになる。
Susan Kare の詩情豊かなビットマップアイコンで育った世代としては、skeuomorphism も決して悪くないと思っていた。Retina ディスプレイでスクリーンが精緻化すればなおさらだ。
旧 OS の System 7 から Mac OS X へ移行したときに感じた違和感 — とくにメタリックなデザイン — に馴染むまでの何ともいえない違和感を思い出す。それがまた繰り返されるのだろうか?
変化に馴染むのに時間がかかるのは構わない。しかし — 実物を見るまで即断はできないけれども — Ive のヒューマン・インターフェイス(Human Interface)がマイクロソフトの Metro UI と同じ方向を辿るというのは、これはもう何といえばいいか・・・
★ →[原文を見る:Original Text]
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フラットUIでは各々のアプリケーション・個々のボタンの差異が不明瞭になり、特にライトユーザーにはかえって混乱を引き起こします。Windows8の普及不振をみれば一目瞭然です。「取り敢えずWindows」という人たちを引き寄せたのは、紛れもない各々の個性を明確にしたUIだったのではないでしょうか?
確かにヘビーユーザーには過剰な演出効果であるかも知れません。ライトユーザーを次のステップに誘う為のフラットUIというアプローチなのかもしれません。ですが、もしアップルが示すであろうフラットUIがあるとするならば、それはWindowsUIに似たモノではないでしょう。
誰かの希望的観測のような事前情報が当たる(iPadmini発売)最近のアップルならありえるかも知れませんが、私はフラットUIを望みません。
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フラットデザインで思い浮かぶのはINFO BARのデザインです.今度の機種で一新され、抜きん出た印象です.リナックスのGUIにもフラットなデザインがありますね.
でも私自身の期待は「ジュラシック・パーク」に出ていたUNIXの3D系のデザインです..フラットな形態が3次元的に重なっているのが見たいです。ハンス・ホフマンの抽象絵画みたいな。。