[三宅一生をマネした・・・:photo]
すっかりトレードマークとなった黒のタートルネックをなぜ Steve Jobs が愛用するに至ったか、Walter Isaacson の伝記本の一節を Gawker が紹介している。
Gawker: “Steve Jobs on Why He Wore Turtlenecks” by Ryan Tate: 11 October 2011
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三宅一生をモデルにして
2週間後に発売される Isaacson の伝記『Steve Jobs』によれば、アップルの従業員に制服を着せようとしたボスの試みはブーイングで退けられたという。そこで Jobs は有名デザイナー三宅一生が着ているものをモデルにして作った個人用制服に甘んじざるを得なかった。
[…] According to Isaacson’s book Steve Jobs, due out in two weeks, Apple employees jeered their boss’s scheme for a corporate outfit. So he had to settle for a personal uniform, modeled on shirts he saw noted designer Issey Miyake wearing.
以下はその伝記本の一節・・・
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絆のような存在
1980 年代初めに日本へ旅したとき、Jobs はソニーの盛田昭夫会長に工員がみな制服を着用しているのはなぜかと尋ねた。戦後、着るものとてなかった時代、どの会社もソニーのように社員に着るものから与えなければならなかった。年が経つにつれて、ユニフォームは自らのアイデンティティーを示す個性的なものとなった。とくにソニーのような会社ではそうだ。それはまた社員をソニーという会社に結びつける絆のような存在にもなったのだと盛田会長は語った。「そんな絆みたいなものがアップルにも欲しいと思った」と Jobs は回顧する。
On a trip to Japan in the early 1980s, Jobs asked Sony’s chairman Akio Morita why everyone in the company’s factories wore uniforms. He told Jobs that after the war, no one had any clothes, and companies like Sony had to give their workers something to wear each day. Over the years, the uniforms developed their own signatures styles, especially at companies such as Sony, and it became a way of bonding workers to the company. “I decided that I wanted that type of bonding for Apple,” Jobs recalled.
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ブーイングの嵐
スタイルを尊重するソニーは、その後有名デザイナー三宅一生にユニフォーム製作を依頼した。リップストップナイロン生地できた袖付きジャケットで、袖のジッパーをはずせばベストになるものだった。そこで Jobs は三宅一生を訪ね、アップルのためにベストをデザインしてくれるよう頼んだ。「サンプルを持ち帰ってみんながこのベストを着たらどんなにすばらしいだろうと説いてみた。そしたら一斉にブーイングの嵐だ。だれもその考えが気に入らなかった」と Jobs は語る。
Sony, with its appreciation for style, had gotten the famous designer Issey Miyake to create its uniform. It was a jacket made of rip-stop nylon with sleeves that could unzip to make it a vest. So Jobs called Issey Miyake and asked him to design a vest for Apple, Jobs recalled, “I came back with some samples and told everyone it would great if we would all wear these vests. Oh man, did I get booed off the stage. Everybody hated the idea.”
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一生涯着れるだけ
そうしたわけで、Jobs は三宅と友人になり、定期的に彼を訪ねるようになった。そして自分のユニフォームを作ってみたいと考えるようになった。日常的に快適にすごせる(彼の主張する主義とも合致する)のがひとつ、もうひとつは個性的なスタイル(signature style)を伝えられるという点だ。「そこで、一生が着ているタートルネックが気に入ったので、私のために何着か作ってくれと頼んだ。そうしたら彼は百着近く作ってくれたんだ。」その話を聞いてびっくりした私を見て、彼はクローゼットにたくさん置いてあるのを見せてくれた。「これが私が着ているヤツだ。一生涯着れるだけ持ってるよ。」
In the process, however, he became friends with Miyake and would visit him regularly. He also came to like the idea of having a uniform for himself, both because of its daily convenience (the rationale he claimed) and its ability to convey a signature style. “So I asked Issey to make me some of his black turtlenecks that I liked, and he made me like a hundred of them.” Jobs noticed my surprise when he told this story, so he showed them stacked up in the closet. “That’s what I wear,” he said. “I have enough to last for the rest of my life.”
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Isaacson の伝記本には、今まで語られたことのない Jobs 自身のことばによるエピソードが満載されていそうだ・・・
★ →[原文を見る:Original Text]
[…] ジョブズが黒のタートルネックを愛用したわけ « maclalala2 […]
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ジョブズが黒タートルを着た理由が今明らかに。きっかけは日本―【私の論評】私たちは、ジョブズ氏のように、日本的なものを再度見直し、自らの活力としていく姿勢が今こそ必要だ!!
http://yutakarlson.blogspot.com/2011/10/blog-post_15.html
こんにちは。ジョブズ氏の黒タートルファッションすっかり有名になりました。しかし、このもともとの形が、日本的なユニフォームの発想であり、しかも、もともとのデザインが三宅一生氏のものであったことはあまり知られていないようです。さらに、ジョブズ氏は、伝説のスピーチで「死を意識した生き方」を提唱しています。これは、『葉隠れ』にも代表される、日本の武士道にも相通ずる考え方です。私は、日本でも、多くの人が、アメリカ人の中でもかなりユニークだと思われるようなジョブズ氏の本当の姿を見ることなし、アングロ・サクソン的価値観の側面ばかりをみて、それがジョブズ氏の本当の強さと思い込んでいるようで残念でなりません。私たちは、ジョブズ氏のように、日本的なものを再度見直し、自らの活力としていく姿勢が今こそ必要だと思います。そうして、社会を少しでもより良くするように日々努力していく姿勢が不可欠だと思います。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。