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[Charlie Rose と孫正義氏:photo

孫正義氏が Sprint の買収に手を挙げたとき、正直言ってその真意がよく分からなかった。

米国テレビネットワークに実質初デビューした Charlie Rose のインタビューから、Sprint や T-Mobile 買収の動きの背景にある考え方が見えてくる。

このインタビューが刺激的なのは iPhone の日本独占販売権の話だけではない。ソフトバンクの対米戦略が見えてくる点が興味深いのだと思う。

Businessweek: “SoftBank’s Masayoshi Son on Persuading Steve Jobs, U.S. Wireless” by Charlie Rose: 13 March 2014

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iPhone の日本独占販売権

Charlie Rose:あなたは日本で最初に iPhone を提供するキャリアになりたいとスティーブ・ジョブズを説得しました。電話をかけたのですか? それとも実際に彼にと会ったのですか?

You persuaded Steve Jobs to let you be the first carrier to offer the iPhone in Japan. Did you call him up? Go see him?

前回ご紹介

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インターネットと文化の違い

Rose:世界はますますインターネットに接続されるようになっています。そのネットワークを構成する会社をあなたはたくさん所有しています。文化的な違いは関係ありますか?

The world is increasingly connected, and you own companies in many parts of it. Do differences in culture matter?

[省略]

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デジタル時代の可能性

Rose:デジタル時代の可能性が大きいと考えているのですか?

You see that much potential in the digital age?

[省略]

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米国へのメッセージ

Rose:米国のワイヤレス業界に関するどんなメッセージを米商工会議所に対して持ってきたのですか?

What’s your message to the U.S. Chamber of Commerce about the wireless industry here?

:モバイルインターネットは21世紀の最も重要なインフラです。私にはそれがハッキリ分かります。しかし米国は LTE 速度の調査では16か国中第15位です。米国が唯一勝っている国はフィリピンだけです。米国がそんなに遅れていていいのでしょうか? 米国は20世紀にはほとんどすべてのインフラ(自動車、電力、テレビ)で世界一でした。

That the mobile Internet is the most important infrastructure for the 21st century. To me it’s so clear. However, the U.S. is No. 15 [in LTE speed] in a survey of 16 countries. The only country the U.S. beat was the Philippines. So is that a good enough situation, with the U.S. lagging behind? The U.S. has been No. 1 for infrastructure for almost everything in the 20th century: the automobile, electricity, television.

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2大企業の支配

Rose:それは AT&T と Verizon が市場を支配しているからだと考えているのですか?

And you believe that’s because Verizon (VZ) and AT&T (T) dominate the market?

:そうだ。彼らはマーケットシェアの 75% 以上、法人マーケットの 80% 以上を握っています。彼らはしこたま利益を上げており、現在の状況に満足しています。それを私は非難するつもりはありません。もし私が彼らの立場なら私だってハッピーでしょう。しかしそんなに恵まれていて、真の意味での競争を仕掛ける強力な挑戦者もいないので、リラックスできるのです。業界全体の利益でいうと 90% を握っています。そんな所へ戦うこともできず、十分な規模も持たない小ちゃな2人がやってくるのです。状況は変わるべきだと自分は考えます。

Yeah. They have more than a 75 percent share of the market and more than 80 percent of the corporate market. They make a ton of money, so they’re very comfortable with where they are. And I don’t blame them. If I were in their shoes, I would be happy. But because they’re in such a happy position, without real competition from a strong challenger, they can relax. Of total industry profit, they [take in] 90 percent. So here comes two little ones who are not able to fight, without enough scale, and I think the situation needs to change.

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Sprint に加えて T-Mobile を買収できたら?

Rose:昨年買収した Sprint に加えて T-Mobile を獲得できたら、キャリアとしてどんなことが出来ますか?

If you could add T-Mobile (TMUS) to Sprint (S), which you acquired last year, what would you be able to do as a carrier?

:いいですか、私たちにはある程度のスケールメリットが、規模が必要なのです。いったんその規模に達したら、ヘビー級の3人の闘いになります。見せかけではない、真の意味での闘いがしたいのです。もし T-Mobile との合併が認められたら[?]、自分としては徹底的な価格競争を仕掛けることになるでしょう。自分はナンバーワンになりたいのです — 分かりますか? ですから世界でもっとも優れたネットワークを作るために、徹底的した価格競争とネットワーク競争をするでしょう。お話したように、米国は世界15位です。これは恥ずかしいことです。私は米国の状況を批判しているのではありません。今や自分もその責任の一端を背負っているのですから。私は世界一のネットワークを米国市民に提供したいのです。

Look, we need a certain scale, but once we have enough, it’s a three-heavyweight fight. I’d like to have a real fight, not a pseudo fight. And if I can’t have a real fight, I’ll go in for a massive price war. I want to be No. 1, right? So I would go for price competition very aggressively and network competition to create the world’s best network. As I told you, the U.S. is No. 15. I’m ashamed of that. I’m not here to criticize the U.S. situation. I’m here to say I now own part of the responsibility, and I would like to provide U.S. citizens with the world’s No. 1 network.

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コンテンツにも手を出す?

Rose:あなたが世界最大のキャリアを作りたい、そしてコンテンツプロバイダーになりたいと望んでいるというのは本当ですか?

Is it true that you want to build the world’s biggest carrier and then become a content provider, too?

:コンテンツも、アプリケーションも、それはプラットフォームの上に実る果実であり、咲く花なのです。私たちはインフラを提供し、果実や花を育てる手伝いをしたいのです。ですから、John Malone のケーブル会社 Liberty Media のようなものです。

Content, applications—those are the fruits and flowers on the basis of the platform. So we want to provide infrastructure, and then we want to help those grow. So it’s like John Malone’s cable company, Liberty Media (LMCA).

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以上の Businessweek の要約は一部パラフレーズされたり、省略されたりしているので、直接孫氏のビデオ発言を聞くことをお勧めする。

シリコンバレーに居を構えた孫氏は「負け犬メンタリティは棄てろ」と Sprint の尻を叩いてテコ入れしている。

また先発2大キャリアに対抗するため、Sprint(業界第3位)と T-Mobile(第4位)を合併させようとしていることもよく知られている。

3月11日の米国商工会議所での講演も、ワシントンへのロビー活動の一環だろう。

そんなタイミングで孫氏が米国テレビネットワークにデビューした。

Charlie Rose のインタビューは孫氏の対米戦略を知る上でも格好の材料を与えてくれる。

孫氏特有の雄弁かつ分かりやすい語り口は一見に値する。

答えにくい、難しい質問をユーモアを交えてかわすところも大したものだ。

しかしこのインタビューはいわば米商工会議所での講演の前哨戦だった。

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[米商工会議所での孫氏:SoftBank

米商工会議所での孫氏の講演

孫氏の米商工会議所での講演[英語]のストリーミングそのものをソフトバンクのサイトで見ることができる。

The Promise of Mobile Internet in Driving American Innovation, the Economy and Education」と題するそのプレゼンテーションでは孫氏の対米戦略が明確に語られる。

しかも孫氏を紹介するのは前駐日大使 John Roos 氏という豪華さ。この講演の本気度十分だ。

インターネットの遅さというアメリカ人なら誰でも持っている不満を切り口に、随所にユーモアをちりばめて非常にアメリカ人受けのするプレゼンテーションではないかと思う。(ストレートすぎて気がかりなところもなきにしもあらずだが・・・)

日本人のプレゼンテーションという意味だけでなく、ソフトバンクの世界戦略を知るうえでもこれは見逃せないチャンスだ。

ワシントンでの孫氏の講演がどのような反響を呼ぶのかたいへん興味深いところだ・・・

★ →[原文を見る:Original Text

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《追記》時間のない方のために

どうしても Charlie Rose のインタビュー全体[32 分]を見る余裕のない方のために:

今回孫氏が登場するビデオはつぎの3つだ。

1)CNBC のニュース[3 分 45 秒]
2)Charlie Rose のインタビュー[32 分]
3)米商工会議所の講演[1 時間]

いきいきとしていちばん楽しいのが2)の Charlie Rose のインタビュー。孫氏の魅力満開といったところ。

孫氏の世界戦略を知るうえでは3)の米商工会議所講演が重要。英語のプレゼンテーション資料、日本語の講演スクリプトも付いているのでありがたい。

どうしてもそれだけの時間を割けない方は、1)の CNBC ニュースだけでもぜひご覧ください。米商工会議所講演のポイントが 3 分 45 秒にまとまっている。

どれでもお好みに合わせて見ることができる。

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