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[スティーブ・ジョブズの秘密主義:image

アップルの秘密主義といえばスティーブ・ジョブズとは切っても切り離せないと考えられがちだが、あながちそうではなかったという Ken Rosen のエピソードが Quora に載っている。

How does Apple keep secrets so well? | Quora

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すべてがオープンだった NeXT 時代

私は[Ken Rosen]6年間 NeXT にいたが、その間秘密主義については大きな変化があった。

I was at NeXT for six years. During that period, we went through a profound transition about secrecy.

初めのころはすべてが誰にとってもオープンだった。みんなの給与表のバインダーが CFO[最高財務責任者]の部屋に置いてあり、いつでも見ていいと言われた。そんなことをした者はほとんどいなかったけれど・・・。「NeXT の内部ではすべてがオープンだ。その代わり NeXT の外では何も語らない」とスティーブ・ジョブズはいった。「誰かがリークするまではこれを続ける。秘密が守れないと分かったら、すぐさま他の会社と同じやり方に戻す」と彼らしいいい方でつけ加えた。オープンさというガチョウを殺したいとは誰も思わなかった。[注]
[注]kill the goose that lays the golden eggs:金の卵を産むガチョウを持っていた男が一度にたくさんの金を手に入れようとガチョウを殺してしまったというイソップ物語から、目前の利益に目がくらんで将来の利益を犠牲にすることの意。

In the early days, everything was open to everyone. There was even a binder in the CFO’s office with everyone’s salary. We were told we could go check it out any time. Few cared to. Steve told us, “Inside NeXT, everything is open. Outside NeXT, we say nothing.” In wonderful Steve fashion, he added, “This will continue until the first leak. As soon as we prove we can’t keep a secret, we go back to being like every other company.” No one wanted to be the one to kill the open goose.

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シロウトめ

記者たちはしつこく駐車場まで追いかけまわすものだった。そんなひとりを無視したとき、歩き去る自分に向かってそいつがこういったのを覚えている。「ワオ、お前たちはジョブズがそんなに怖いんだな」と。このシロウトめ。

Reporters would stalk the parking lot outside. After blowing off one guy, I remember him trying to goad me as I walked away with the line, “Wow, he really has you guys scared, hmm?” Amateur.

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最後の審判

もちろん最後の審判の日はやって来た。たぶん NeXT 以外のひとならリークの何たるかはちゃんと心得ていたのだろうけれど・・・。スティーブが NeXT とは比べものにならないほど大きなアップルに復帰したとき、同じことをしようとはこれっぽちも考えなかった。

The day of reckoning came, of course. Maybe someone else from NeXT remembers exactly what that leak was. I’m sure Steve never considered for a moment trying the same thing when he re-entered the monumentally larger Apple.

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秘密主義と連帯感

秘密を共有したことで我々の連帯感は一層高まったのだと思う。もちろんそれが続いた間はの話だけれど・・・

I believe the shared secrecy worked as an additional bond…for as long as it lasted.

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秘密主義といっても昨今のものとはだいぶ雰囲気が異なっていたようだ。

他にも Quora ではアップルの秘密主義に関わる興味深いエピソードをいろいろ載せている。

その最たるものは前にも紹介した「Marklar:MacOS X はこうして生まれた・・・」だろう。これには「Mac 互換機の『VAIO』が生まれていたかもしれなかった」という後日譚までついている。

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Update:「7人のインディアン部族」(七印部落)について》

[映画「スティーブ・ジョブズ 1995~失われたインタビュー~ 」特別映像 | YouTube

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スティーブ・ジョブズの実像を語るとき欠かせないものが2つある。

ひとつは実の妹による手記。ジョブズの実像にもっとも肉迫したのではないかと思う。

もうひとつが『失われたインタビュー』(“Steve Jobs: The Lost Interview)。長い間紛失したと信じられてきたものだ。

アップルを逐われた不遇の時代のジョブズ肉声のインタビュー。

YouTube のインタビューをロンドンで繰り返し見て、これは日本語に訳してみたいと思った。翻訳なんかしばらくやりたくないと思っていたときだったから皮肉だ。

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台本(transcript)を探してみたがなかなか見つからない。

要点をまとめた「The Eight Greatest Quotes from Steve Jobs: The Lost Interview」(失われたインタビューから8つの引用)という記事がみつかっただけ。

それを iPad mini を使って四苦八苦しながら訳出してみた。

8つの引用(The Eight Greatest Quotes)

1. 製品に体現されたカルチャー
2. コンテンツ
3. プロダクト畑の人間
4. コンピュータサイエンス
5. ダイナミック・レンジ(処理能力の差)
6. 真に優れた連中
7. 何故と聞く
8. 成功

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しかしどうもピッタリこない。

インタビューで率直に語るジョブズ像が直接伝わってこない。とくに質問を受けてから答えるまでの沈黙の間合いが魅力なのに、要約ではその感じが出ない。

ここはやはりインタビューそのものでなければと思った。

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そして見つけたのが七印部落[注:Update 参照]氏の試みた中国語字幕の台本だ。

その中から筆者にとって興味深かった点をいくつか訳してみた。

『失われたインタビュー』から4つ

1)アップルを逐われた経緯
 (ジョブズが自らのことばで語ったのは初めてではないか)
2)外からみたアップルとマイクロソフト
 (冷めた目で両者を比較する)
3)ネクストでやろうとしていること
 (オブジェクト指向技術が眼目だった)
4)ウェブがコンピュータの未来にもたらすもの
 (すでに未来はウェブにあることを見抜いていた)

ジョブズの成功の秘密がアップルを逐われた時代にあったことは誰もが感じている。このインタビューはそのことを確信させてくれる。

公認伝記本ではあまり取り上げられなかった視点だ。

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なぜ自分がアップルが好きなのか考えてみると、結局はジョブズが好きだったのではないかと思う。

最近のアップルニュースというと、ほとんどがアジアのサプライヤーからのリークの追っかけで、かつてほど輝きがなくなった気がする。

そんなとき『失われたインタビュー』で改めて原点に戻ってみるのもいいかもしれない。

日本語字幕版の一部も YouTube で見れるようになった。

分かりやすい日本語字幕がジョブズの語りとピッタリ連動して、さすがプロの翻訳には脱帽だ。

こんなすばらしい日本語で全編を見れるのだからうれしい・・・

★ →[ビデオを見る:YouTube
★ →[字幕版を見る:YouTube

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《Update》「7人のインディアン部族」(七印部落)について(9月8日)

『失われたインタビュー』についてはお隣の中国も等しく関心を抱いていたようだ。

今年5月の人民日報(人民网)に興味深い記事がある。

乔布斯18年前已准确预言今天互联网 | 人民网
[ジョブズは18年前に今日のインターネットを正確に予言していた | 人民日報]

「七印部落」は個人ではなく、インターネット上の仮想翻訳チームだった!

人民日報の記事中の「七印部落」に関する一節(仮訳):

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30人以上のネチズンが中国語翻訳に協力

三十多位网友合作译成中文

5月3日までは『失われたインタビュー』の中国語版はなかった。ネットワーク翻訳チーム「7人のインディアン部族」が『失われたインタビュー』の中国語字幕版を「优酷网」[Youku:中国最大手の動画共有サイト]にアップロードすると1日34万回ものアクセスがあった。

《遗失的访谈》此前一直没有中文版本,直到5月3日,网络翻译团队“七印部落”将带有中英文字幕的《遗失的访谈》上传至优酷网,一天之内就有了34万多次的播放量。

7人のインディアン部族(七印部落)はインターネット上の仮想翻訳チームだ。メンバーは全国にまたがり、余暇を利用して翻訳作業に当たる。翻訳の対象は主としてシリコンバレーの最新 IT およびインターネット情報に集中している。

记者了解到,七印部落是一个互联网虚拟翻译团队,成员来自全国各地,大多是利用业余时间进行翻译工作,翻译内容主要集中在美国硅谷最新的IT、互联网资讯。

7人のインディアン部族(七印部落)はマイクロブログ「官方微博」で、この『失われたインタビュー』のため36人のユーザーが参加、5か月を費やして1万 1700 語にも及ぶ英語を聞いて翻訳したと語っている。

七印部落在官方微博上称,这次翻译《遗失的访谈》总共有36位网友参与,大家花费了5个月时间,累计听译11700个英文单词。

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『失われたインタビュー』は中国のインターネットでも注目されていたワケだが、筆者の注目を引いたのは「インターネット上の仮想翻訳チーム」という部分。

みんなが読みたい記事はみんなで協力して自国語に翻訳するという動きがあることが興味深かった。

七印部落」はこのインタビューだけでなく、さまざまなものを翻訳していて、書籍化されたものも多いようだ。

翻訳とは、一部のプロを除けば報われることの少ない日の当たらない作業だ。

ネットを利用した翻訳という共同作業を知って羨ましく、かつ複雑な思いがした。

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[Steve Jobs building NeXT | YouTube

アップル成功の秘密はスティーブ・ジョブズがアップルを追われた時代にあったのではないか・・・いつもそう思う。

そんな NeXT 時代の鮮やかな映像が蘇っている。

Rafael Conde: “Steve Jobs building NeXT” by Rafael Conde: n.d.

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NeXT 草創期のジョブズ

インターネットにあるスティーブ・ジョブズのビデオはすべて見尽したと思っていたときに、この、たぶん一番いいと思われるビデオに出くわした。ジョブズが NeXT を立ち上げた草創期の様子をぜひ見て欲しい。

Just when I thought I have seen every video of Steve Jobs on the Internet I stumbled upon probably the best one. Take a look at Steve in action in the early days of NeXT.

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NeXT Computer には一度だけ触ったことがある。2人一組のハンズオンの機会が与えられたときだった。

NeXT 時代のこと、特に教育とシミュレーションについては前にも出会った。

その頃のこんなすばらしい映像がまだ残っていたのかと思う。

ジョブズがビジョンについて語るところが好きだ。

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“simulated learning experience”

「偉大なる技術を学生の手の届く価格帯へ引き下げる。そして次の5年の間に真の学習体験をひとびとに与える。それが NeXT がやろうとしていることだ。」

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若き日のジョブズは輝いている。 

彼に付き従うみんなもそうだ。

今は歴史となってしまったあの輝かしい時代に名前を刻んだひとびとだ。それぞれが誰であったのか名前を知りたいと思う。

誰が、どういう目的で撮影したのか — 撮影された背景の物語も知りたい。

アップルに心惹かれたのはジョブズがいたからだということを改めて痛感させられる。

今日深夜に迫った iPad mini イベントでも、そんなアップルを彷彿とさせる話を聞きたい・・・

★ →[原文を見る:Original Text

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[Jorge Colombo が iPad で描いたイラスト:illustration

スティーブ・ジョブズの成功の秘密がアップルを逐われた時代にあったことは誰もが感じている。

その時代のジョブズを正面から取り上げた興味深い記事がある。Brent Schlender の「失われた時代のスティーブ・ジョブズのテープ」だ。

5000 語近くにも及ぶ長文なので、興味深かった部分を少しだけ紹介する。

Fast Company: “Into The Wild: Lost Conversations From Steve Jobs’ Best Years” by Brent Schlender: 17 April 2012

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スティーブ・ジョブズの生涯

スティーブ・ジョブズの生涯をオペラに喩えるなら、3幕物の悲劇になるだろう。第1幕はアップルコンピュータの設立と PC 産業の発明、第2幕は荒野を彷徨った歳月、そして第3幕は意気揚々たる凱旋と悲劇的終焉。

If Steve Jobs’s life were staged as an opera, it would be a tragedy in three acts. And the titles would go something like this: Act I–The Founding of Apple Computer and the Invention of the PC Industry; Act II–The Wilderness Years; and Act III– A Triumphant Return and Tragic Demise.

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第2幕は荒野を彷徨った時代

第2幕の荒野を彷徨った時代(The Wilderness Years) は、そのトーンも気分も他とはまったく異なる。第2幕のタイトルの背景にあるのは — ジョブズがアップルを逐われた 1985 〜 1996 年の空白時代を指すのにジャーナリストやブロガーがよく使うこの呼名だが — ジョブズの全生涯において唯一有意義だったのはクパティーノで過ごした時期だという考えだ。事実この時代は、彼が生涯で最大の転機を迎えた時代であり、多分最も幸せな時代だった。彼はついに身を固め、結婚し、家庭を持った。彼は忍耐の価値を学び、そうでないときでも忍耐を装う術を学んだ。いちばん重要なことはこの間に彼が携わった2つの会社 — NeXT および Pixar — での仕事が彼の人格を変え、リーダーにし、後にアップルに復帰したとき想像もできない高みへとアップルを導くことになるのだ。

But that second act–The Wilderness Years–would be altogether different in tone and spirit. In fact, the soul of this act would undermine its title, a convenient phrase journalists and biographers use to describe his 1985 to 1996 hiatus from Apple, as if the only meaningful times in Jobs’s life were those spent in Cupertino. In fact, this middle period was the most pivotal of his life. And perhaps the happiest. He finally settled down, married, and had a family. He learned the value of patience and the ability to feign it when he lost it. Most important, his work with the two companies he led during that time, NeXT and Pixar, turned him into the kind of man, and leader, who would spur Apple to unimaginable heights upon his return.

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失われた時代の重要性

私は 1985 年以来 Fortune や The Wall Street Journal のためにスティーブ・ジョブズを取材して来た。しかし昨年秋に彼が亡くなるまでこの「失われた」歳月の重要性を十分に理解していたとはいえなかった。保管庫をくまなく探して3ダースを超えるテープをみつけた。長時間のインタビューで、なかには3時間を超えるものもある。過去25年にわたって定期的にジョブズをインタビューしたものだ。(その一部は本稿にも登場する。)その多くは自分で再生してみたこともなく、いくつかはこれまでテープ起こしされたこともない。いくつかのインタビューは子供がキッチンに飛び込んできて中断されている。ほかのものでも、後難をはばかってジョブズ自身が録音停止ボタンを押さえることもあった。今回改めて聞き直してみると、第2幕の空白の時期に行なったものが特に興味深い。

I had covered Jobs for Fortune and The Wall Street Journal since 1985, but I didn’t come to fully appreciate the importance of these “lost” years until after his death last fall. Rummaging through the storage shed, I discovered some three dozen tapes holding recordings of extended interviews–some lasting as long as three hours–that I’d conducted with him periodically over the past 25 years. (Snippets are scattered throughout this story.) Many I had never replayed–a couple hadn’t even been transcribed before now. Some were interrupted by his kids bolting into the kitchen as we talked. During others, he would hit the pause button himself before saying something he feared might come back to bite him. Listening to them again with the benefit of hindsight, the ones that took place during that interregnum jump out as especially enlightening.

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Pixar の重要性

ジョブズが設立に携わった3つの会社のうち、Pixar こそもっとも純粋な意味でジョブズの本質を企業として、組織的表現として体現したものだった。もし NeXT が恨みと悪意という苦労の成果だとすると、Pixar は愛の努力の成果だった。

Of the three companies Jobs helped create, Pixar was the purest corporate and organizational expression of his nature. If NeXT was a travail of spite and malice, Pixar was a labor of love.

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家庭的になったジョブズ

アップルに復帰したあとも、ジョブズは家族と過ごすことを特に好んだ。彼がワーカホリックではなかったという意味ではない。私たちは何年もチャット仲間(iChat buddies)だったから、彼が自宅でコンピュータに向かっているときはいつでも彼の名前が画面に出てくるものだった。当然彼はマックの前に座り、そうやって深夜遅くまで時間を過ごしていたのだ。ときにはビデオチャットをすることもあったが、夕方早い時間だと後から子供が覗き込むこともあった。

Even after he went back to Apple, there was nothing Jobs liked more than spending time at home. Not that he wasn’t a workaholic. We were iChat buddies for several years, so his name would pop up whenever he was working at his computer at home. Almost invariably, he was in front of his Mac until after midnight. We’d occasionally have a video chat, and if it took place early in the evening, I’d often see one of his children in the background looking on.

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次から次へヒットを出す

IT 企業としては稀なことだが、次から次へとヒットを造り出し、コンシューマデジタルハブとしてのアップルの地位をその都度強化していく、そんな組織力をジョブズは造り出した。まるでヒット作品を毎年ひとつずつ出していくアニメーションスタジオのようだ。アップルの10年以上に及ぶヒット製品の連鎖 — 大ヒットだけでも iMac、PowerBook、iPod、iTunes、iPhone、iPad などを産み出したが、それに比肩(ひけん)するものがあるとすれば、それは Pixar の出した映画群 — Toy Story、Monsters, Inc.、Finding Nemo、The Incredibles、WALL-E など大成功を収めたヒット映画だけだ。

[…] In a way that had never been done before at a technology company–but that looked a lot like an animation studio bent on delivering one great movie a year–Jobs created the organizational strength to deliver one hit after another, each an extension of Apple’s position as the consumer’s digital hub, each as strong as its predecessor. If there’s anything that parallels Apple’s decade-long string of hits–iMac, PowerBook, iPod, iTunes, iPhone, iPad, to list just the blockbusters–it’s Pixar’s string of winners, including Toy Story, Monsters, Inc., Finding Nemo, The Incredibles, WALL-E, and Up. These insanely great products could have come only from insanely great companies, and that’s what Jobs had learned to build.

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いつまでも記憶に残るのは物語だけ

ジョブズはハリウッド作品を出すことで大きい教訓を学んだ — いつまでもひとびとの記憶に残るのは製品より物語だということだ。「20年以上にわたって培ってきたテクノロジーが沈殿槽となっている」とジョブズはかつて語ったことがある。「白雪姫が 2001 年に DVD で再リリースされたとき、我々もまた 2800 万の家庭と同じようにそのコピーを買い求めた。60年前の映画なのに、息子はそれを見て、好きになった。マッキントッシュは今から60年経っても誰も打ち負かせないと思う。」

There was one other big lesson he learned from his Hollywood adventure: People remember stories more than products. “The technology we’ve been laboring on over the past 20 years becomes part of the sedimentary layer,” he told me once. “But when Snow White was re-released [on DVD, in 2001], we were one of the 28 million families that went out and bought a copy of it. This was a film that is 60 years old, and my son was watching it and loving it. I don’t think anybody’s going to be beating on a Macintosh 60 years from now.”

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空白の時代の中で、NeXT より Pixar の方を重要視している点が注目だ。John Lasseter[Toy Story の監督]や Pixar University の話も興味深い。

こんなインタビューテープが残っていたこと、そういう形でジョブズに接していたジャーナリストがいたことを感謝したい。(いずれジョブズの肉声も公開して欲しいと思う。)

大変興味深い内容なので必ずやどこかで全文が訳出されるに違いない。

なお、記事に添えられた Jorge Colombo が iPad で描いたイラストもなかなかステキだ。

★ →[原文を見る:Original Text

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[NeXT, OpenStep and the return of Steve Jobs to Apple | YouTube]

考えれば考えるほど、今日のアップルの成功の遠因は NeXT 時代にあったという気がしてくる。

この1997 年の Macworld Expo キーノートビデオはそのことを確信させてくれる。

優れたビジョナリーを指導者に持つことがこれほどまでの差異をもたらすとは・・・

精気あふれた若き日の2人の Steve も必見。

Daring Fireball: “It’s Been a Long 14 Years” by John Gruber: 07 February 2012

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なんと長い14年間だったことか・・・

It’s Been a Long 14 Years

NeXT 買収とそれに続く Steve Jobs の復帰を経てアップルがいかに遠くまでやって来たことか — 1997 年 の Macworld Expo におけるこのビデオを見るとそれを痛感させられる。当時のアップルの CEO Gil Amelio はとりとめもなく話し続ける。惨めなほど準備不足、リハーサル不足の状態で・・・。引き続き Jobs がステージに立つ。よく練られて張りつめたプレゼンテーション、具体的な計画だ。その後 Amelio に司会が戻り、アップル史上最悪かつ最もぶざまな製品発表が行なわれる。

If you want a visceral sense of just how far Apple has come since the NeXT acquisition and Steve Jobs’s return, you’ll do no better than watching this video from Macworld Expo 1997. Then-CEO Gil Amelio rambles on and on, woefully unprepared and unrehearsed. Then, Jobs takes the stage, with a tight presentation and an actual plan. Then Amelio returns to preside over what must be the worst and most awkward product introduction in company history.

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古きアップル(Amelio の Rhapsody)とまさに変わらんとするアップル(Jobs の OpenStep)とのこれほどまでの違い・・・

20周年記念 Mac[Twentieth Anniversary Macintosh、TAM]の発表と併せ行なわれたこのキーノートは、その内容と登場人物の故にいまや歴史的価値を持つのではないか。

改めて Jobs を失ったことの大きさが痛感させられる・・・

★→[ビデオを見る:Macworld Expo 1997

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Steve Jobs tribute from mlfilms.com Memory & Imagination | YouTube]

ニューヨークでの新年早々のメディアイベントが話題となっている。

Jobs の遺志をついだ教育プロジェクトと関係あるのではないかという予想も多い。[9to5MacArs TechnicaClayton Morris

教育と聞いてすぐ思い浮かんだのがこのビデオだ。

TNW: “Steve Jobs on video games as the future of learning [Video]” by Matthew Panzarino: 22 December 2011

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未来の学習方法としてのビデオゲーム

Steve Jobs が米国議会図書館について語った 1990 年のこのビデオは短いけれどすばらしい。Jobs は、ビデオゲームがいずれ未来の学習方法になるかもしれない、議会図書館に集積された情報にアクセスするシミュレーションゲームという形をとるかもしれないということについて語っている。

This is a great, if short, video from 1990, where Steve Jobs discusses the future of the Library of Congress. In it, he talks about how video games could eventually be the future of learning, taking the form of simulations that could access the accumulated information contained in the Library.

Jobs のビジョンは残念ながら未だ実現していない。いくつかコンピュータシミュレーションが教育で使われた例はあるが、可能性の限界まで試されたことはまだない。

Unfortunately, Jobs’ vision has yet to come true. Although there are some ways that computer simulations are being used in teaching, it’s not being done nearly to the extent that it could be.

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コンピュータは心の自転車

このビデオには Jobs の「コンピュータは心の自転車」論も含まれている。高等霊長類と人間の違いが移動効率や道具作りにあることを説明する。引用される機会の多いこのビデオは是非とも見るべきだ。

It also contains a version of his ‘bicycle of the mind’ analogy, in which he compares the computer to said locomotive device and says that tool building is what separates us from the primates. It’s a great little watch for some choice quotes.

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教育に関する Jobs の視点がゲーム感覚で知識を学ぶという点にあるのは興味深い。

有名な「コンピュータは心の自転車」論のビデオの前半にこの話があることはさらに興味深い。

Jobs の夢がどういう形で実って行くのかこれからも目が離せない。

アップル成功の秘密はどうやら Jobs がアップルから追放されていたネクスト時代にあったのではないかという気がする。

そういう意味でネクスト時代の歴史的ビデオが少しずつ明らかになってくるのはうれしい。

ところで、いずれ公共の資料を利用しながら学ぶということになると、みんなが資料を共有できるかどうかは大きな問題になる。

学術資料だけでなく一般電子書籍という形での文献や映像などのメディアが自由に扱えるかという問題だ。

教育の面でもいずれ日本では著作権の問題を避けて通れないのではないか。

折角見つけた映像が「著作隣接権」への配慮から使えなかったり、ボカシの入った顔ぼけだったりしたら話にもならない・・・

★ →[原文を見る:Original Text

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Bertrand Serlet – Mac OS X の父

Update:元部下からみた Serlet》

NeXT の時代から終始 Mac OS X に携わってきた Bertrand Serlet がアップルを去る。

AllThingsD: “Mac Daddy Serlet’s Surprise Departure More of a Planned Transition” by John Paczkowski: 23 March 2011

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なぜ今の時期に

Mac ソフトウェアエンジニアリングの上級副社長 Bertrand Serlet がアップルを去る。この10年間彼は Mac OS X の何たるかを定義し、それを見直し、繰り返しアップデートしてきた。しかし今の時期に去るのはなぜか?

So Bertrand Serlet, senior vice president of Mac software engineering and the guy who spent the past decade defining, redefining and iterating Mac OS X, is leaving Apple. Why now?

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計画的禅譲

アップルの公式説明は「彼が製品よりサイエンスにより注力したいから」というものだ。Serlet のマッドサイエンティスト的雰囲気や Xerox PARC および NeXT での経歴を考えればもっともらしく聞こえる。しかし OS X の次期バージョン Lion の登場を控えているこの時期の発表というタイミングはいささか妙に思える。しかしほんとのことをいえば、これは計画的禅譲なのだ。

The party line says he’s decided “to focus less on products and more on science.” That’s a plausible explanation, given Serlet’s mad scientist airs and background, which includes stints at Xerox PARC and NeXT. And while the timing of the announcement might seem odd–Apple is ramping up for the release of Lion, the next iteration of OS X–the truth of the matter is that this is a planned transition.

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前触れはあった

昨年 Serlet の代わりに Craig Federighi が Lion のプレビューデモをやったのにはわけがある。Serlet が最近アップル株を手放したのにもわけがある。二人ともこの日のために準備していたのだ。複数の情報筋によれば、アップルにとって OS X の重要性がが小さくなったとか、これからの戦略について見解の相違があったからということではまったくない。

There’s a reason Craig Federighi, who is to take over Serlet’s role, handled demo duties for Apple’s Lion preview demo last year (see video below). And there’s a reason Serlet has been selling off Apple shares recently. They’ve been preparing for this day, which sources tell me is not at all the result of a spat over differences in strategic direction or the diminishment of OS X’s importance to Apple.

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単なる役員交代

「とげとげしい関係なんてない」とアップルに近い情報筋のひとりは語る。「Bertrand はアップルを去る時期がきたと考え、Avie Tevanian(ソフトウェアエンジニアリングの前上級副社長)が彼に譲ったように、今度は彼が Craig に譲るだけの話だ。単なる役員交代というわけだ。」

“There’s no acrimony there,” one source close to the company told me. “Bertrand’s just decided it’s his time to move on. Avie (Tevanian, former senior vice president of software engineering) handed off to him and now he’s handing off to Craig. It’s just a changing of the guard.”

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金字塔としての Lion

いいかえれば、ある意味 OS X が iOS に取り込まれ、スターとしての Serlet の地位に陰りが出始めたから去るのではない。彼が去るのは今がその時期であり、アップルにおける彼のレガシーの金字塔として Lion がふさわしいと考えるからこそ去るのだ。

In other words, Serlet isn’t leaving because because Lion heralds some subsuming of OS X to iOS and the setting of his star at Apple. He’s leaving because he feels it’s time and likely because Lion seems a perfect monument to his legacy at Apple.

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Jobs との確執とは無関係という John Paczkowski の指摘はそのとおりかもしれない。

そうだとしても、ひとつの時代の終わりという感じは否めない。

NeXT から来たベテラントリオ(Avads “Avie” Tevanian、Bertrand Serlet、Scott Forstall の3人組)の上にも確実に時は過ぎているようだ。

Serlet がウインドウズ Vista を皮肉るビデオを改めて見ると、なかなかおもしろい人物だったように思われる。

★ →[原文を見る:Original Text

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《Update》元部下からみた Serlet(3月25日)

Bertrand Serlet の下で仕事をしたことのある David Cásseres がなかなかいい文章を書いている。

web.mac.com: “Bertrand Serlet Leaves Apple” by David Cásseres: 24 March 2011

 
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最も重要なボス

アップルで働いた数年間、Bertrand は最も重要なボスだった。その後 2003 年にクビになった。多分彼のさしがねだろう。

For several years Bertrand was the most important manager in my life at Apple, before I was laid off in 2003, probably as a result of a decision he made.

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目を白黒させた

Bertrand の最初の印象といえば、彼がしゃべるたび頭痛がしたことだ。98〜99 年頃だったと思うが、彼は次期 Mac OS はハードディスクを持たないコンピュータでも動くシンクライアント OS[thin client OS]になるだろうという話をしたものだ。みんなは目を白黒させた。

My first observation about him was that every time I had to hear him talk, I got a headache. That was back when he was telling us (around ’98-’99, maybe) that the next Mac OS was likely to be a thin client OS on a computer that had no hard disk. We rolled our eyes.

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カルチャー戦争真っ最中

その後間もなく、経験を積んだアップルのソフトウェアエンジニアを前にして、間違いを犯さないでコードをカット&ペーストする方法について講義してくれたものだ。自分のエンジニアとしての全キャリアの中で、このときほどバカにされたと感じたことはなかった。NeXT とアップルのカルチャー戦争は真っ盛りだっだ。

Pretty soon he was standing up in front of seasoned Apple software engineers and lecturing us on how not to make mistakes when cutting and pasting code. I said at that time that I had never felt so thoroughly disrespected as an engineer in my entire career. The NeXT/Apple culture wars were at their height.

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嫌なヤツ

[その後 Bertrand とは直接に話をするのを避けるようになった。]いいたいことは、自分の目から見て、彼が一緒に仕事することなど考えられない嫌なヤツに思えたことだ。OS X の仕事を数年したが、2003 年にはクビになった。・・・

What I’m saying, from my point of view, he was an absolute bitch to work for.

And in 2003 after working with OS X for a few years, I was laid off. […]

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Snow Leopard

その後、Snow Leopard のことを耳にしたときだった、Bertrand がやろうとしていたのはこれだったのかとやっと分かった。システムが本来必要とするもの(ユーザー機能ではなく)をリリースすることだ。Steve Jobs を納得させてその気にさせるには大論争が必要だったに違いない。ともかく Jobs は納得した。Snow Leopard の内部に隠された Grand Central Dispatch のような機能こそ、OS やアプリケーションのフレームワークにとって大きな飛躍だった。その時になって Bertrand に対して大きな敬意を感じたものだ。

And then, when I started hearing about Snow Leopard, I realized that this was what Bertrand had been aiming at all along: the release where the system — not the user features — really got what it needed. I suspect he had to win a big argument with Steve Jobs to get to that point. And he got there. Snow Leopard’s under-the-hood features, such as Grand Central Dispatch, were huge leaps forward in operating system and application frameworks technology. I gained a great deal of respect for Bertrand at that point.

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今考えれば・・・

今になってみれば、素晴しい技術的洞察力をもちながら、NeXT より大きなグループを管理した経験をほとんど持たない比較的若い青年が、アップルと NeXT の陰謀と裏切りの中で、まだ不完全なビジョンを抱えて必死になっていたのだと思う。ほとんど知識のないアップルという会社にとって、なんとか真に重要な OS 技術をもたらそうとして・・・

With hindsight, I can look back at a relatively young man with brilliant technical insight and very little experience managing a group larger than the one at NeXT, clambering upward through the thicket of Apple/NeXT intrigues and of half-baked visions for Apple — a company he knew very little about — to find his way to do something really significant for OS technology at Apple.

今後の健勝を祈りたい。

I wish him well.

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