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Joe_Nocera

[NY タイムズ Joe Nocera 記者:photo

Tim Cook の議会証言の後、追い討ちをかけるように NY タイムズの Joe Nocera 記者が Cook は嘘つきだと書いている。

たまりかねた Philip Elmer-DeWitt が事実に反すると反論。「Joe Nocera がまたやった」と・・・

Fortune Tech: “Joe Nocera does it again” by Philip Elmer-DeWitt: 23 May 2013

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嘘つき

NY タイムズの Op-Ed 欄で、Joe Nocera は Cook のことを嘘つき呼ばわりしている

On the New York Times Op-Ed page he calls Apple CEO Tim Cook a liar.

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「大ウソ」・「真っ赤なウソ」

アップルに関する Nocera のいちばん新しいコラムで特筆すべきは、彼が Tim Cook のことを嘘つきと呼んだことだ。宣誓にも関わらず Cook が「大ウソ」(whopper)や「真っ赤なウソ」(flat-out lie)をついたと非難している。

But what will be remembered about Nocera’s latest Apple column is that he called Tim Cook a liar — accusing him of telling, under oath, a “whopper” and a “flat-out lie.”

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Cook 証言をほんとに見たのか

そう非難するのは Cook の証言を見た後であることを、Nocera は明言しないまでも暗に匂わせている。

Nocera implies, but doesn’t actually say, that he makes those charges after watching Cook’s testimony.

私も Cook の証言を見た、それも2度も。Nocera がほんとに見たとはとても信じられない。彼が引用している書類や記事も読んだが、事実関係で彼が Cook と違うのは、むしろ Nocera の方が間違っているのではないかと思う。

I watched Cook’s testimony — twice. I find it hard to believe that Nocera saw any of it. And having read the documents and news articles he cites, I believe that on the points with which he has factual disagreements with Cook, he’s provably wrong.

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事実関係の誤りを指摘した後、Elmer-DeWitt は次のようにまとめる。

Nocera 自身の大ウソ

先にも触れたように Nocera がアップルをフォローした経歴は長い。その中には — 彼の弁護のためにいえば — 「真っ赤なウソ」も含まれている。最大の大ウソは、ジョブズがガンではないと断言したという2008 年の Nocera の記事だろう。

As I say, Nocera has a long history with Apple — a history, in his defense, that includes being told some flat-out lies. The biggest whopper was probably the one Steve Jobs told him in 2008 when, according to Nocera, Jobs assured him that he didn’t have cancer.

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「インチキ野郎」

ジョブズからの電話についてまとめた 2008年の記事で、ジョブズと Nocera の関係が彼自身のことばでよく捉えられている。

It was Nocera’s 2008 account of that phone call with Jobs that captured, in two sentences, the essence of their relationship:

「こちらは Steve Jobs だが」と彼は切り出した。「キミはボクのことを傲慢な****(4文字罵り言葉)野郎で、自分のことを超法規的存在と考えているヤツだとでも思っているのだろう。キミはインチキ野郎(slime bucket)で、書いていることはほとんど間違いだと思う。」

“This is Steve Jobs,” [Jobs] began. “You think I’m an arrogant [expletive] who thinks he’s above the law, and I think you’re a slime bucket who gets most of his facts wrong.”

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sen_carl_levin

[米上院常設調査小委員会委員長 Carl Levin 上院議員:photo

Cook の議会証言について第一印象を書いたときはまだ証言ビデオを見ていなかった。

その後 C-SPAN ビデオで詳しく見ることができた。NY タイムズのライブブログでは分からない細かいニュアンスがよく分かる。

Offshore Profit Sharing, Panel 2 | C-SPAN Video Library

老練な政治家が大企業トップをギリギリ絞り上げる様子がよく見て取れる。Cook とそのチームは誠実かつ真摯に対応していると思う。

米上院常設調査小委員会の追求のポイントは、アップルが本来収めるべき税金をアイルランドの子会社という隠れ蓑を使って不当に隠したという点にある。

tim_cook_testimony

[真摯に答える Tim Cook:photo

Cook チームはなんら税法に違反するところはないと何度も繰り返し主張する。小委員会は最後までそれを崩せない。

一時休憩にはいるまでの20分間はなかなかの見ものだ。

Nocera 記者の記事は米上院小委の側に立って書いているとしか思えない。[追記:というか、同小委がアップルの脱税疑惑をとりあげるキッカケになったのは NY タイムズの記事だったともいわれる。]

NY タイムズ自身が、「ライオンの巣窟」に入ったが最後には 「Cook に手なずけられた」と書いたも関わらず、更に尚 Cook は嘘つきだと追い討ちをかけたのはなぜなのか。そこに何らかの意図を感じずにはいられない。

Nocera の記事を批判したのは Elmer-DeWitt だけではない。TUAW もさらに詳しくその間違いを追求している。

ひと昔前なら大新聞の記者が書けばそれでまかり通った。

しかしあまりにヒドすぎる内容は大新聞といえどもみんなが見過ごさなくなった。

大新聞に比べればマイナーなブロガーたちも今や黙ってはいない・・・今回の顛末を見てそんなことを考えた。

★ →[原文を見る:Original Text

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tim_cook_testimony

[米議会で証言する Tim Cook:photo

アップルがどのように「血祭り」にあげられるのか、Tim Cook がどのように防戦できるのか、米議会公聴会での証言にみんなの関心集まった。

大企業の巨悪を暴く米上院常設調査小委員会がヒヤリングするからには、血祭りにあげられると誰もが興味津々だったのも無理からぬところだ。

同委員会議長の Carl Levin がアップルは租税回避企業だと事前に指摘すれば、アップル側は冒頭陳述を公開するなど、ヒアリング以前にすでに前哨戦が始まっていた。

議会証言の様子は、NY タイムズのライブブログで読んだ。(ビデオはいずれも Flash Player が必要で、筆者のマックでは見れなかった。)

NYTimes.com: “Live Blog: Apple and Corporate Taxes“: 21 May 2013

以下はその第一印象・・・

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Osmar_Schindler_David_und_Goliath

[巨人ゴリアテに立ち向かうダビデ:image

巨大企業に変身したアップル

巨人ゴリアテに立ち向かうか弱きダビデの時代からアップルを見てきたものとしては、アップルの成長ぶりを改めて印象づけられた思いがする。

クールですばらしい製品を次から次へと生み出したジョブズのアップルは、連戦連勝を遂げるうちに押しも押されぬ巨大多国籍企業へと変身していた。

グローバルなサプライチェーンを取り仕切る Tim Cook がアップルの手綱を握って以来、グローバルメーカーとしてのイメージが定着してきた。(サプライヤーに対してタフなことはよく耳にする。)

しかし巨大化、多国籍化したのはオペレーションだけではなかった。

膨大な収益を扱ううちにカネの面でも巨大多国籍企業に変化していたのだ。

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山頂に吹く風は強い

史上空前の利益を上げた 2011 年クリスマスの時点で、完全にアップルは変質した。アメリカ最大のメーカーにとどまらず、グローバルな巨大企業になったのだ。

NY タイムズが iEconomy シリーズでアップル批判に踏み切ったのもその時期と重なる。

山頂に吹く風は強い。

もはや目立たずには済まされない。

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もはや目立たずには済まされない

Tim Cook はオバマ大統領の2月の一般教書演説で初めて議会にお目見えしたが、それに続き今回また議会に呼ばれることになった。もはやワシントンでこの iPhone メーカーが目立たずに済むことは不可能になったのだ。スティーブ・ジョブズのときはそうできたが・・・

His congressional debut, following an appearance at President Barack Obama’s State of the Union address in February, shows the iPhone maker can no longer afford to keep the low profile in Washington that co-founder Steve Jobs maintained.

Apple CEO Cook Talks to Congress as Steve Jobs Never Did | Bloomberg

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21bits-apple-swearing

[Peter Oppenheimer, Timothy Cook, and Phillip Bullock:photo

卒なくこなした Cook

ヒアリングに登場した面々が興味深い。デザイン、ハードウェア、オペレーションなどを仕切るチームと並んで、カネの面を取り仕切る3人組の面々が明らかになった。

Tim Cook と Peter Oppenheimer は決算発表ですでにお馴染みだが、税金担当の Phillip Bullock は初耳だ。

Cook のチームが卒なくこなす様はなかなかのものだ。

もしジョブスが呼ばれていたらこうはいかなかっただろう。

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「あなたはスマートだ」

McCain 上院議員:
「あなた[Tim Cook]は実にスマートだ。それにタフだ。褒め言葉としていっているのだが・・・」 

Senator John McCain:
“You have to be a pretty smart guy and a pretty tough guy, too, and I say that in a complimentary way,” he added.

C.E.O. Denies That Apple Is Avoiding Taxes | NYTimes.com

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NY タイムズの締めくくりが興味深い。

ライオンの巣窟

Tim Cook が連邦議会のライオンの巣窟にやってきた。かの有名なるアップルが何十億ドルもの税金を回避しているという証拠で怒り狂った議員たちと対決するためだ。Cook 氏が委員会室を出たときは、上院委員会のライオンたちは事実上彼のいいなりになっていた。

WASHINGTON — Tim Cook came to the lion’s den on Capitol Hill on Tuesday, prepared to face down lawmakers furious over evidence that Apple, the famous company he runs, had avoided paying billions in taxes. By the time Mr. Cook walked out, the big cats on a Senate committee were practically eating out of his hand.

C.E.O. Denies That Apple Is Avoiding Taxes | NYTimes.com

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租税回避か?

今回問題視されたのは租税回避という点だ。

税金をごまかせばアル・カポネですら逮捕される。

安価な労働力を求めて中国に製造拠点を移し、米本土の空洞化を招いたと iEconomy シリーズでアップルを糾弾した NY タイムズが、税金逃れについてもまたアップル批判の急先鋒だ。

今回は非合法と糾弾されるところまではいかなかったものの、カネの面を通じて浮かび上がってくるアップル像は、これまでのアップルのイメージからはほど遠い。

アイルランドの複数の子会社を使って、世界中の利益を還流させ、米本土に持ち帰れば 30.5% の税金を払うところを、アイルランドの 2% の税金で済ますところなど、押しも押されぬグローバルな金融企業だ。

子会社のひとつ Apple Operations International(A.O.I.)はなんと iPod や iPhone、Mac が登場する遥か昔、1980 年に作られているというのだからその深謀遠慮ぶりには驚かされる。カネだけでなく知的所有権までも扱うというのだから尚更だ。

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はるか昔1980 年に

なぜ Apple Operations International(A.O.I.)が存在するのかと聞かれた Cook 氏は、iPod や iPhone、Mac が登場する以前の 1980 年に作られたものだと答えた。

Mr. Cook is asked why Apple Operations International exists, and he replies that it was created in 1980, before the days of the iPod, iPhone and Mac.

Live Blog: Apple and Corporate Taxes | NYTimes.com

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なぜアップルだけ?

ひとつだけ気に懸かった点:なぜアップルだけが?

安い労働力を求めて海外に拠点を移したのはアップルだけではない。アメリカの全産業が海外に拠点を移したから製造業の空洞化が起きた。それがグローバリゼーションだったハズだ。

タックス・ヘイヴンが多国籍企業の租税回避策になっているのはよく知られている。ケイマン諸島の名前は誰でも知っている。

他のハイテク企業はどうなのか? マイクロソフト、グーグル、フェイスブックなど他のハイテク企業と比較するとどうなのか?

NY タイムズはじめ大手ニュースサイトの取り上げ方をみても、アップルを狙い撃ちしている感は否めない。

その意味でも、今後の展開は注目される・・・

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