Feeds:
投稿
コメント

Posts Tagged ‘David Carr’

watch-6

[プッシュ通知:image

昨年9月のイベントで Apple Watch が登場したときはあまりに時計然としているのを見て正直ガッカリした。いくらなんでも「時計」では芸がなさ過ぎると思ったからだ。

その後も聞こえてくるのはもっぱらファッションアイテムとしての「高級腕時計」の話がほとんど。

それなのに Jony Ive や Tim Cook の自信がどこからくるのかよく分からない。どうもピンとこないのだ。

そんな中で「アプリが姿を消す」という MG Siegler の視点が非常に興味深かった。

Push It Real Good | ParisLemon

     *     *     *

「プッシュ型デバイス」

時刻を調べるのが Apple Watch のメインの使い方でないことは明らかだ。時刻を調べるのは「プル型デバイス」のやり方だ。Apple Watch は「プッシュ型デバイス」(push device)だ。時計との主たる接点はプッシュ通知なのだ。

In fact, it seems quite likely that checking the time will not be the main way people interact with the device. Checking the time is a pull thing. This is a push device. The main point of contact will be push notifications.

     *     *     *

プッシュ通知

Apple Watch では iPhone に比べてプッシュ通知(push notification)がはるかに重要になる。電話ではもっぱらアプリに誘導するのが役目だ。たしかに通知の動作が少し便利になってはいるもののやはり限定的だ。アプリを開くにはもうワンクリックすることが必要だ。だったらいっそのことアプリを開いてしまったら?

On the Watch, the push notification will be far more important than with the phone. With the phone, they mainly serve to get you back into the app. Yes, it’s slightly more convenient to use rich actions in the notification, but they’re limited. The app is just a click away. Why not just open it?

Apple Watch ではアプリを使うのに電話を取り出して、ロックを外し、アプリが起動するのを待つ。Apple Watch ではこの一連の動作をスムーズにやるだろう。しかしそもそも電話を取り出さずに済むのであればどんなに早くて、便利だろうか?

With the Watch, getting to the app means pulling out your phone, unlocking it, and waitng for the app to load. Apple Watch allows you a way to seamlessly do this, but it will be so much faster and better not to have to pull out your phone.

     *     *     *

姿を消すアプリ

かくて通知はレベルアップしようとしているのだ。これはすごいことだ。そんな力を引き出せるように開発者は細心の注意を払って頭を働かさねばならない。手首にスパムを放ったりするようではアプリが削除されるのがオチだ。

So notifications are about to get elevated, big time. And developers will have to be both smart and cautious about how they wield such power. Spam someone’s wrist and your app is as good as deleted.

それとも新しいタイプの、アーリーアダプターにとって必須不可欠のアプリを作るか。ほんとに姿を消してしまうアプリを・・・

Or, create a new kind of app that early adopters can’t live without. An app that may actually disappear.

     *     *     *

インタラクションパラダイム

Apple Watch のプッシュ通知をよりベターかつハイレベルでコントロールする方法をアップルが作ってくれるものと思いたいし、そう願っている。アップルがこの新しくレベルアップしたインタラクションパラダイム(interaction paradigm)をどうアプリに反映させるのか — それを見るのが待ち遠しい!

I have to assume – and hope – Apple will come up with a better, more granular way to control push notifications that go to Apple Watch. And I can’t wait to see how apps will use this newly elevated interaction paradigm.

     *     *     *

アプリを開かずに済む、したがって「アプリそのものは姿を消す」という点に注目したのは MG Siegler が初めてではないかと思う。

ガジェットが姿を消す」という点に初めて着目したのは David Carr だった。iPad を使っていると、ハードそのものはどこか意識の外へ姿を消して気にならなくなり、あとはソフトそのものに没頭できるのだと。

これはまさに iOS デバイスの本質を衝く視点だと思う。マックのマルチウインドウと違って、iPhone や iPad ではシングルウインドウがアプリそのものであり、どんなアプリに変化できるかを示すのがホームスクリーンだ。

MG Siegler は手首をタップするプッシュ通知こそ Apple Watch の本質だと捉える。そのプッシュ通知が iPhone のときよりいかに進化するかがカギだと・・・

彼がこの点に注目したのは Apple Watch が登場する前、WUT というアプリが登場したときだった。

There Is No App | Medium

     *     *     *

通知はメッセージである

WUT のいちばん興味深い側面を見落としていると思う。それは通知がメッセージであるという点だ。

[…] But I think it overlooks the truly interesting aspect of Wut: the notification is the message.

     *     *     *

最初のアプリ

自分の知るかぎり WUT が最初のアプリだ。もっぱらアプリ自体が開かないで使われるという意味で。WUT が伝えるすべてのメッセージはプッシュ通知としてのみ存在する。唯一アプリを開くのは WUT を送りたいときだけだ。

What I mean by that is simple: WUT is the first app I recall seeing where the majority of usage occurs without opening the app itself at all. Every single message exists only as a push notification. The only reason to open the app is if you want to send a WUT (or to mute someone, or now to WUT WUT).

     *     *     *

開かずにすむアプリ

これは非常に興味深いことだと思う。我々の日常はますますメッセージアプリで溢れかえっている。アプリを差別化するのはスピードだ。WUT も Taptalk も、それに Yo  ですらひたすらスピード、スピードを求めている。使うのに開くことさえ不必要になればこれ以上早いアプリなんてあるだろうか?

I find this fascinating. We live in an era increasingly inundated with messaging apps, so one key differentiating factor is speed. WUT, Taptalk, and yes, even Yo — speed, speed, speed. And what’s faster than an app you don’t even have to open to use?

     *     *     *

通知レイヤーだけの存在

いいかえれば、アプリを使うのに開くことさえ不要になる時代がもうすぐやってくるということだ。たしかにアプリ自体はデバイスに搭載されている。だがそのインターフェイスは電話のトップレイヤー、すなわち通知レイヤーに存在するだけなのだ。

In other words, very soon, you may not need to open an app at all in order to interact with it. It still lives on your devices, but its interface entirely resides on the layer on top of your phone: the notification layer.

もしアプリが存在しても、開かなくてもよくなるとしたら・・・

If an app seems to exist but you never have to open it…

     *     *     *

McLuhan ばりの「通知はメッセージである」がキモだろう。

開かずにすむアプリ、「アプリが姿を消す」という視点は注目すべきだと思う。

Read Full Post »

DavidCarr024.TIF

David Carr が亡くなった。まだ58歳だった。

David Carr, Times Critic and Champion of Media, Dies at 58 | NYTimes.com

NY タイムズの編集室で倒れ、そのまま帰らぬ人となった。

つい先日、彼の記事を取り上げたばかりだった。

ハッカー攻撃を受けたソニー映画『The Interview』をめぐる空騒ぎを卑小で偽善的と断じた記事だ。

的確なことばで核心を突く彼の文章は後になって読み返しても色褪せることがない。

     *     *     *

David Carr に強い印象を受けたのは、発売されたばかりの iPad についてこう語ったときだった。

「このガジェット[iPad のこと]については、ひとつ理解しておかねばならないことがある。ガジェットがすぐ姿を消してしまうことだ。目に見えるのは純粋にソフトウェアだけになる。」

iPad を使っていると、ハードそのものはどこか意識の外へ姿を消して気にならなくなり、あとはソフトそのものに没頭できるのだと。

これほど iPad の本質を衝いた指摘にはその後もお目にかかれない。

Charlie Rose のインタビューでの発言だっただけに鮮やかに覚えている。

痩身嗄れ声の姿は一度見たら決して忘れない・・・

     *     *     *

David Carr が大きく脚光を浴びたのは NY タイムズのドキュメンタリー『Page One: Inside the New York Times』だろう。

デジタル時代に苦悩する新聞の姿を NY タイムズに1年近く密着して内部から描いた作品だ。

ソーシャルメディアに翻弄される中で、伝統的ジャーナリズムを代表する Carr の厳しい目と容赦ない発言が強く印象に残った。

しかし厳しい目は自分に対しても向けられた。

麻薬中毒に苦しんだ自分の暗い過去に厳しい目を向けたのが自伝の『The Night of the Gun』だった。

     *     *     *

突然の死に多くの追悼記事がよせられている。

交遊の多さだけでなく、それだけ多くのひとにとって大きな存在だったのだろう。彼のことばは多くの場面で引用されている。

John GruberMG Siegler ようなギークにとってもそれは同じだ。

古き良き時代の典型的ジャーナリストがまたひとり逝った。

合掌

Read Full Post »

carrjump-articleLarge-v3

[上映中止になったソニー映画:NYTimes.com

ソニー映画The Interview』をめぐる空騒ぎのなかで、David Carr の書いたものがいちばん腑に落ちるような気がする。

「ホラー映画並みになってしまったソニー映画ハッキングの顛末。」

How the Hacking at Sony Over ‘The Interview’ Became a Horror Movie | NYTimes.com

     *     *     *

いつ果てるとも知れぬ論議

まさにそれは際立って、方向を見失わせる事態だ。どの映画なら見ることができ、どの映画ならそうではないのかを自国民に判断させる術(すべ)を欠いた卑小で、不手際な状態だ。攻撃された映画業界は傍観者のように無言で見守り、米大統領が低級なコメディによって引き起こされた国際的な衝突に敢えて踏み込まざるを得ないと感じるような事態だ。

It was a remarkable and disorienting turn of events: a tiny, failing state that lacks the wherewithal to feed its own people was deciding which movies we can and cannot see, while the industry it had attacked watched silently from the sidelines, and the president of the United States felt compelled to step into an international confrontation catalyzed by a lowbrow comedy. […]

脅迫とそれに続く上映キャンセルは今後悪夢として長いこと尾を引くだろう。文化的論議がオンライン脅迫のテーマになったことから、いつ果てるやも知れなくなった。ニュースや情報獲得の手段としてますます重要になっているドキュメンタリーが突如として危機に瀕することになるのだ。

The threats and subsequent cancellation will become a nightmare with a very long tail. Now that cultural discourse has become the subject of online blackmail, it is hard to imagine where it will end. Documentaries, which have become increasingly important sources of news and information, could suddenly be in jeopardy. […]

     *     *     *

ソニーに問題はなかったのか

2011 年にソニーの PlayStation がセキュリティ攻撃に晒されたとき、当時 CEO だった Howard Stringer と話す機会があったが、3日間の間彼は蜂の巣箱に身を隠しているように思えた。そのソニーがハッカー攻撃のターゲットにされないような何らかの有効な方策をその後講じなかったことは不可解だ。

Sony I happened to be with Howard Stringer, then chief executive of Sony, during a vast security attack on its PlayStation platform in 2011 — he looked as if he had been living inside a beehive for three days. That Sony did not harden as a target in a meaningful way afterward is inexplicable.

大胆で独創的なアイデアは歓迎だが、それにしても実際に現存する主権国家の支配者がおバカな暗殺者に吹き飛ばされるコメディなんてほんとうに重要な意味があるのだろうか? 無慈悲な支配者を風刺するのであれば、いくらでも方法はある。チャーリー・チャップリンが『独裁者』(The Great Dictator)でヒットラーを余すところなく(名指しにはしないで)やっつけたように・・・

And while I am all for bold creative choices, was it really important that the head being blown up in a comedy about bungling assassins be that of an actual sitting ruler of a sovereign state? If you want to satirize a lawless leader, there are plenty of ways to skin that cat, as Charlie Chaplin demonstrated with “The Great Dictator,” which skewered Hitler in everything but name.

     *     *     *

正しい対応策とは

じゃあ正しい対応策とは何なのか? — アメリカ人はソファに座ってあらゆる事象を見るのが得意だ。だからその衝動を抑えつけなければいいのだ。

So what is the right response? Americans are good at sitting on a couch and watching all kinds of stuff, so why not harness that impulse? […]

The Interview』を Hulu で公開すればいい。iTunes でも、Google Play でも、NBC やあらゆる放送網で、そして Showtime などあらゆるケーブルテレビで・・・あらゆるところで誰でもボタンひとつで「同時に」見れるようにすればいい。そうすればみんなが見るので、誰をターゲットにしていいか分からなくなり、検閲への決め手となり得るのだ。

[…] Put “The Interview” on Hulu, on iTunes, on Google Play, on Netflix, on NBC and all the broadcast networks, on Showtime and all the cable stations, put it anywhere and everywhere that people can push a button and watch at the same time. Ubiquity and the lack of a discernible target would trump censorship.

映画さえ見れるようにすればいい・・・

Play the movie.

     *     *     *

本質を衝いた David Carr の視点にはいつも頷かされる。

発表当初さまざまな疑問が提示された iPad について、「姿を消すガジェット」としての本質を見事に言い得たのが彼だった。

The Interview』ハッキングについての様々な偽善的論議を David Carr は厳しく糾弾する。

被害に遭ったソニーだけでなく、傍観するだけのハリウッドや、流出した私的情報を垂れ流しにするメディアについても容赦なく批判の目を向ける。

こんな記者の存在こそが NY タイムズのような大手メディアの強みだろう・・・

なお The Globe and Mail 紙の David Carr 論もたいへん興味深い。

Read Full Post »

Mark_Zuckerberg

メディアがフェイスブックを恐れる理由:Why Publishers Are Scared of Facebook | Long Tail World

ニュース発行人にとってフェイスブックは、公園で自分目がけて突進してくる大型犬のようなものだ。こっちを遊び相手と思ってるのか、餌と思ってるのか、全然わからない。

Facebook Offers Life Raft, but Publishers Are Wary | NYTimes.com

For publishers, Facebook is a bit like that big dog galloping toward you in the park. More often than not, it’s hard to tell whether he wants to play with you or eat you.

フェイスブックの人気サイトランキングはツイッターとこんなに違う:Facebook’s Most Shared Sites vs. Twitter’s Most Tweeted Sites | Long Tail World

Read Full Post »

Charlie Rose Show | YouTube]

インタビューの名手 Charlie Rose が iPad を取り上げている。テレビの「Charlie Rose ショー」だ。

出演した NY タイムズの David Carr が語ったことばがたいへん興味深い。

iPad について述べた次の下りだが、iPad の、ひいてはアップルユーザーインターフェイスの核心を衝いているのではないかと思う。

     *     *     *

ガジェットが姿を消してしまう

「このガジェット[iPad のこと]については、ひとつ理解しておかねばならないことがある。ガジェットがすぐ姿を消してしまうことだ。目に見えるのは純粋にソフトウェアだけになる。」[4:00 分ごろ]

“One thing you have to understand about this gadget is that the gadget disappears pretty quickly. You’re looking into pure software.”

     *     *     *

Charlie Rose ショー今回の話題は iPad だ。

お馴染み Walt Mossberg(WSJ)と Michael Arrington(TechCrunch)に加えて、NY タイムズから David Carr が参加している。

技術界の大物たちも Charlie Rose の前ではいささか神妙にふる舞っているのが印象的だが、それぞれ iPad の実機に触れたあとなのでなかなか見応えがあるやりとりになっている。23 分にも及ぶ全容はこちらでご覧ください。

Charlie Rose on The iPad, With David Carr, Michael Arrington and Walter Mossberg | YouTube]

今回特におもしろかったのが上に引用した David Carr の発言。

iPad を使っていると、ハードそのものはどこか意識の外へ姿を消して気にならなくなり、あとはソフトそのものに没頭できるというのだ。

まさにこの点に関して、John Gruber が次のようにコメントしている。

Daring Fireball: “‘The Gadget Disappears’” by John Gruber: 08 February 2010

     *     *     *

Android OS iPhone OS の決定的相違

参加した Carr が技術レポーターでなくビジネスレポーターだったのは偶然ではないと思う。彼は木を見ずに森を見る。じつに鋭いと思う。この数週間私は Nexus One Android フォーンを使ってみた。Carr の指摘は Android OS と iPhone OS の決定的違いを衝いていると思う。iPhone ではいったんアプリが動きだすと、あとはスクリーンとタッチだけになる。全てがそうだ。スクリーン以外はアプリを終了するホームボタンと電源を切るスリープボタンだけだ。ところが Android では、たしかに多くのことがスクリーンとタッチで可能だが、そうでないものもたくさんある。スクリーンからハードとしてのバック、メニュー、ホームボタンなどへ移動しなければならないことがしばしばだ。テキストの選択や編集にいたっては手間のかかるトラックボールが必要になる。Android ではガジェットが姿を消すことは決してない。

I don’t think it’s a coincidence that Carr is a business reporter, not a tech reporter. He sees the forest, not the trees. But this is really astute. I’ve been using a Nexus One Android phone for the last few weeks, and Carr’s quote summarizes the fundamental difference between Android and iPhone OS. On the iPhone, once you’re in an app, everything happens on-screen, with touch. Everything. You go outside the screen to the home button to leave the app or the sleep button to turn off the device. On Android, many things happens on screen with touch, but many other things don’t, and you’re often leaving the screen for the hardware Back, Menu, and Home buttons, and text selection and editing requires the use of the fiddly trackball. An Android gadget never disappears.

     *     *     *

これこそアップル製品の使いやすさの核心ではないかと思う。

iPad もまちがいなくアップル製品の本質的特徴を備えている・・・

ビデオを見る:Charlie Rose Show
原文を見る:John Gruber

     *     *     *

追記:iPad のプロモーションビデオでも触れられていた

iPad のプロモーションビデオ[2:50 ごろ]で Scott Forstall が、iPad では他のことを気にせずにコンテンツに集中できると語っている。[Thanks: taruto

Technorati Tags: , , , , , , , , ,

Read Full Post »