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Posts Tagged ‘Charles Duhigg’

Update:輪転機を止めろ!》


[アップルが支払う税金はごく僅か:image

Foxconn の搾取労働を扱った NY タイムズの「iEconomy シリーズ」は物議をかもしたが、またその続編が出た。

今度は税金の話だ。アップルがあの手この手を駆使して税金逃れをしているという強烈な内容だ。

米国内だけでなく香港、アムステルダム、ルクセンブルグ、シンガポール、バージンアイランドまでカバーした 4000 語近い長文記事だ。

NYTimes.com: “Apple’s Tax Strategy Aims at Low-Tax States and Nations” by Charles Duhigg and David Kocieniewski: 28 April 2012

全文を読通すのはなかなか困難だが、幸い市村佐登美氏が全体を訳出しておられるので、関心のある方はぜひどうぞ。[以下日本語は市村佐登美訳による。]

Long Tail World: “アップルの十億ドル単位の税逃れ術:How Apple Sidesteps Billions in Taxes @nytimes” by 市村佐登美: 30 April 2012

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あの手この手の税金逃れ

アップル本社はカリフォルニア州クパティーノにある。そこからわずか200マイル(322km)離れたリノ市内にオフィスを構えて企業の収益をここに集め、投資に回すことで、アップルは収益の一部にかかる州の法人税を回避しているのだ。

Apple’s headquarters are in Cupertino, Calif. By putting an office in Reno, just 200 miles away, to collect and invest the company’s profits, Apple sidesteps state income taxes on some of those gains.

カリフォルニアの法人税率は8.84%。ネバダは? ゼロ。

California’s corporate tax rate is 8.84 percent. Nevada’s? Zero.

リノに会社を置く以外にもアップルは法が許す範囲であの手この手を駆使して毎年世界中で何十億ドルという節税を行なっている。

Setting up an office in Reno is just one of many legal methods Apple uses to reduce its worldwide tax bill by billions of dollars each year.

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リノだけでなく、「世界を股にかけた税減らし」をやっており、事業収益をアイルランドの子会社、オランダ経由で(無税地帯の)カリブ諸国に移転させることで節税を行う「ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ(Double Irish With a Dutch Sandwich)」という会計テクニックまで開発したと微に入り細を穿っている。

前回の Foxconn をめぐる iEconomy シリーズが紙面に載ったのは、アップルが桁外れの歴史的決算発表をした直後だった。

今回もまた、純利益が 94% 増(前年同期比)という驚異的決算発表の後というタイミングだ。

頂点に立つ者は常に激しい風を受けるということか・・・

そういえば米司法省による電子書籍をめぐる独禁法訴訟も話題になっている。

絶好調の業績のせいでなにかと標的にされることが多くなったアップルだ・・・

★ →[原文を見る:New York Times
★ →[日本語訳:Long Tail World

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《Update》輪転機を止めろ!


[Stop the presses!:image

税金逃れという NY タイムズの記事にアップルが直ちに反論した。そのほか同記事の不正確さを指摘する反論もあってに賑やかになってきた。

この記事が取り上げられるに至った背景を Joy of Tech が想像しているのがオモシロい。

New York Times editorial meeting | The Joy of Tech

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NY タイムズの編集会議

ねえボス、悪質な多国籍企業のスゴい話があるんだけど・・・

Hey Boss, I have this great story about evil multinational corporations.

つまらん。使い古されたネタだ。

Meh, sounds like old hat.

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労働者の搾取、政府の弱い者いじめ、環境汚染についても詳しく触れて・・・

It details widespread worker abuse, the bullying of governments, and environmental pollution.

つまらん、つまらん、つまらん!

Boring. Boring. Boring!

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それに、世界を股をかけて何十億ドルも税金逃れしていることも暴いて・・・

But it includes an exposé on how these companies move money offshore to evade paying billions in taxes!

ダメ。数えきれないほど記事にしたよ。

Forget it kid. It’s been done a billion times before.

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じゃあ、「多国籍企業」じゃなく「アップル」としたらどう?

How about I change the copy from “Multinational corporations” to “Apple”?

(重大ニュースだ!)輪転機を止めろ!

STOP THE PRESSES!

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如何にもさもありなんと思わせるところがミソ・・・

[via Daring Fireball, The Loop

★→[イラストを見る:Joy of Tech

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[巨人ゴリアテに立ち向かうダビデ:image

この冬は寒さがこたえる。

アップルの快進撃は寒さなぞものともしないが、少し気懸かりな点もある。

アップルに対するきびしい見方が出始めたように思えるからだ。

アップル製品はなぜ中国で作られるのか?」という NY タイムズの記事は、アメリカの製造業が技術と雇用の面でいかに空洞化したかをアップルをケーススタディとして分析した優れた記事だった。

しかしその後同紙に現れた「中国の低賃金はアップル製品に織り込み済み」という長文記事ははっきりとトーンが異なる。誰にも愛される iPad が過酷な低賃金搾取労働の象徴だというのだ。

NYTimes.com: “Apple’s iPad and the Human Costs for Workers in China” by Charles Duhigg and David Barboza: 25 January 2012
TechCrunch Japan: “汚れた金か?―ニューヨーク・タイムズのApple記事を考える” by Devin Coldewey: 26 January 2012[滑川海彦 訳]

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同じ NY タイムズで何が変わったのか。この2つの記事の間に何があったのか。

先週1月24日にアップルから発表された最新の業績発表はすべてのひとの度肝を抜くものだった。その桁外れの業績が NY タイムズ報道に影響しているのではないかという気がしてならない。

アップル: “Apple、第1四半期の業績を発表” [Press Info]: 24 January 2012
Apple: “Conference Call – 2012 Financial Results, Quarter 1“: 24 January 2012
Seeking Alpha: “Apple’s CEO Discusses Q1 2012 Results – Earnings Call Transcript“: 24 January 2012

企業の業績は1年毎ではなく今や四半期(Quarter)という短いベースで評価される。その結果にウォール街は一喜一憂する。

クリスマスという絶好調期を含んだ四半期だったとはいえ、アップルが叩き出した利益は予想どおり桁外れのものだった。

アメリカ企業にとって過去最大の当期純利益は ExxonMobil が 2008 年末に石油価格の高騰のさなかに叩き出した 148 億ドルだ。すべての業種にわたってこれが歴史上過去最高の記録だ。

CNNMoneyTech: “The Second-Most-Profitable Quarter in Any Company’s History” by David Goldman: 24 January 2012

今回の130 億ドルというアップルの純利益はこれに次ぐ歴史上2番目の記録だ。1兆円を超える純利益が 2011 年10月〜12月の3か月で叩き出されたことになる。歴史的記録と呼ぶにふさわしい桁外れの額なのだ。

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マイクロソフトという大きな壁の前で消えてしまうかに見えたか弱いアップルが、ライバルコンピュータメーカーだけでなく、すべての IT 企業、すべてのアメリカ企業と比べてもそれをはるかに凌駕する存在になってしまった。

製造業など過去のもの、未来は金融工学の錬金術にあるとつい最近まで狂奔した経済が金融危機以降すべて呻吟する中で、唯一アップルだけがこの偉業を成し遂げたのだからすさまじいというほかない。

アップルの成功は少品種大量生産の典型だ。しかもその勢い止まるところを知らない。

まるでゴリアテの前のダビデのようにマイクロソフトにどうしても敵わなかったアップルが、気がつけば誰よりも大きい怪物のような存在になっている・・・

いったいアップルとは何なのか、なぜ成功したのかという分析は、アップルにとってのみならずアメリカ経済にとっても重大な関心事とならざるを得ない。

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しかし同時に気懸かりな点もここから始まる。

トップの座にあるものに対してはこれまでより厳しい視線が注がれる。

とくにアメリカではそうだ。マイクロソフトを独禁法違反事件が襲ったのもマイクロソフトが絶頂期にあるかに見えたときだった。

そこまでいかずとも、アップルの舵取りは今後大変むずかしくなると思われる。

製品戦略のちょっとした判断ミス、サプライチェーンで起きる問題などがこれまで以上にアップルに大きな影響を及ぼすことになるだろう。

NY タイムズのアップル批判記事もそういう背景から出てきたのではないか。

Steve Jobs というビジョナリーを失ってもなおこのような偉業を達成したのは驚くべきことだ。

Tim Cook の新しい指導体制のもと、アップルの動向には今後とも目が離せそうにない・・・

★ →[NY タイムズの批判記事:New York Times

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Update 2:中国側から見ると・・・》
Update:iPhone 経済》


[履歴書を持って Foxconn に殺到する応募者:photo

すばらしい報道・分析記事が NY タイムズに載っている。

製造拠点を海外に移した米国の問題点をアップルを例にしてまとめたものだ。

John Gruber がその一部を抜粋、引用している。

Daring Fireball: “Why Apple Products Are Manufactured in China” by John Gruber: 21 January 2012

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なぜアップル製品は中国で作られるのか?

Why Apple Products Are Manufactured in China

Charles Duhigg と Keith Bradsher によって書かれた NY タイムズの記事。よくリサーチされた素晴しい記事だ。アップルを例に引いて、なぜ中国が製造拠点として台頭してきたのか、米国中産階級の雇用にいかなる影響を与えたかをまとめている。初代 iPhone のディスプレイを土壇場でプラスチックからガラスに変えた知られざるエピソード(少なくとも自分にとっては)も含まれる。

Fascinating well-researched investigative report by Charles Duhigg and Keith Bradsher for the New York Times, on the rise of China as a manufacturing power and the corresponding effect on middle class jobs in the U.S., with Apple as the case study. Includes this heretofore unknown (to me, at least) story on the original iPhone’s last-minute change from a plastic to glass display:

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「キズがつくようなモノを売ろうとは思わない」

iPhone が 2007 年に店頭に並ぶひと月ほど前のこと、Jobs 氏はひと握りの副官たちをオフィスに招き入れた。この数週間、彼は iPhone のプロトタイプをポケットに入れて持ち歩いていたのだ。

In 2007, a little over a month before the iPhone was scheduled to appear in stores, Mr. Jobs beckoned a handful of lieutenants into an office. For weeks, he had been carrying a prototype of the device in his pocket.

Jobs 氏は怒りをあらわにして iPhone がみんなの目に見えるように差し出した。プラスチックスクリーンの表面には無数の小さな引っかきキズが見えた、とその場にいた人間のひとりは語る。それから彼はジーンズのポケットからキーを取り出した。

Mr. Jobs angrily held up his iPhone, angling it so everyone could see the dozens of tiny scratches marring its plastic screen, according to someone who attended the meeting. He then pulled his keys from his jeans.

この電話は誰もがポケットに入れて持ち運ぶようになるのだと彼はいった。ポケットにはキーも入っている。「キズがつくようなモノを売ろうとは思わない」とピリピリした声で彼はいった。唯一の解決策はキズのつかないガラスを使うことしかない。「ガラスのスクリーンにすべきだ。6週間でやれ!」

People will carry this phone in their pocket, he said. People also carry their keys in their pocket. “I won’t sell a product that gets scratched,” he said tensely. The only solution was using unscratchable glass instead. “I want a glass screen, and I want it perfect in six weeks.”

ひとりの幹部がその場を後にした。そして中国深圳へのフライトを予約した。完璧にしろと Jobs 氏がいうのなら、中国に向かうしかないのだ。

After one executive left that meeting, he booked a flight to Shenzhen, China. If Mr. Jobs wanted perfect, there was nowhere else to go.

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一夜にして 3000 人を雇える

NY タイムズは、元幹部および現幹部たち(後者はもちろん匿名希望)から同じような話を引用している。すなわち、中国は単に安価な製造拠点なのではないのだ、何より重要なのはより機敏で、より柔軟、より対応が早いという点なのだと。

The Times has quotes from former and present (unnamed in the latter case, of course) executives who all paint the same picture: that Chinese manufacturing isn’t merely cheaper, but also perhaps even more importantly, nimbler, more flexible, and faster:

「彼らなら一夜にして 3000 人を雇える」と2010 年までアップルの世界サプライマネージャだった Jennifer Rigoni は(仕事の細部については触れなかったが)語った。「米国の工場で一夜にして 3000 人を雇い、従業員を寮に泊めることを納得させられるそんな工場がアメリカのどこにあるだろうか?」

“They could hire 3,000 people overnight,” said Jennifer Rigoni, who was Apple’s worldwide supply demand manager until 2010, but declined to discuss specifics of her work. “What U.S. plant can find 3,000 people overnight and convince them to live in dorms?”

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Jobs の命を受けて直ちに中国に発つエピソードは前に読んだものと重なる。

Foxconn がガラスへの変更要求を受けて従業員を真夜中に叩き起こし、急遽生産ラインを変更、96時間後には大量生産にこぎ着ける下りもすさまじい。

大変長文だがエピソード満載の記事なので、ぜひとも全訳を読みたいところだ。

Mike Daisey の突撃取材のときはあまり注目されなかった。NY タイムズのこんな記事を読むとジャーナリズムはまだ健在なのだなあと思う。

未曾有の大惨事の後も何ら変わらないように見える原発政策だが、どこぞのジャーナリストにこんな記事をぜひとも書いてもらいたいものだ・・・

★ →[原文を見る:Original Text

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《Update》iPhone 経済(1月23日)


The iPhone Economy | NYTimes.com]

Steve Jobs の強烈なエピソードだけについ目がいってしまい勝ちだが、NY タイムズの記事は海外移転による国内製造業の技術と雇用の空洞化をあつかったものだ。

その意味で記事に添えられた上のビデオがよくまとまっている。

また、こちらのブログも参考になる。

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《Update 2》中国側から見ると・・・(1月24日)


[Foxconn の郭台铭会長:image

中国が世界の「タコ部屋」と思われないようにすることは中国にとっても喫緊の課題のようだ。

M.I.C. Gadget: “Foxconn CEO: Manage One Million Workers Gives Me A Headache That Kills” by Chris Chang: 19 January 2012[中国語

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100万人の労務管理は頭痛のタネ

Foxconn の郭台铭(Terry Gou)会長が工場設備のロボット化を口にして以来、いずれ同社の労働者は職を失う日がくるだろうと思った。Foxconn は組み立てラインの反復作業をやれるロボットを3年計画で増やして行く計画だが、同社の100万人の労務管理は頭痛のタネだと郭会長は語っている。

Ever since Foxconn CEO Terry Gou told people that the robots are coming, we think the Foxconn workers will go jobless someday. As Foxconn is going to boost the number of robots doing those repetitive tasks on its assembly line in 3 years time, the Foxconn chairman recently talked about the workforce of the company, saying that the management of one million workers gives him headaches.

Foxconn 会長郭台铭(Terry Gou)は「毎日100万人の工員を管理するのは死ぬほどの苦痛だ」と台北で行なわれた一周年記念式で述べた。

“每天管理100万员工,头痛得要死。”1月15日,在台北市一次年会活动上说。

“To manage one million workers every day gives me a headache that kills,” said Terry Gou at an activity in Taipei on Jan 15th.

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ロボット化の導入

そんな発言を聞くのは悲しいことだ。Foxconn は中国最大の民間部門で100万人を超える従業員を抱えている。しかし同社は、高騰する労賃および従業員の自殺に関する批判的報道からくる大きなプレシャーにさらされている。Foxconn の創業者にして会長の郭台铭は中国本土の工場で生じるあらゆる問題に対応しなければならない。労働者の自殺が注目を浴びているため、Foxconn としては労働環境の改善を図る必要があるが、それと同時に圧倒的人気のアップルデバイスに対する巨大な需要にも対応しなければならない。だから Foxconn がタコ部屋と呼ばれるのを避けるためには、同社の100万人の労働力の一部をロボット化するのが効果的な方策なのだ。それこそ郭会長が望んでいることなのだ。

It’s pretty sad to hear that. Foxconn is currently the largest private-sector employer in China with over one million employees, but the company is pressured by the stresses of rising labor costs and negative media attention over employee suicides. Being the founder and chairman of the company, Gou needs to solve any problems coming out from the factories in mainland China. As everyone is paying attention on the lives of Foxconn workers, Gou must take care the workers, but at the same time, being able to cope with the huge demand of Apple’s super-popular devices. So, the effective solution to stop people calling Foxconn as a sweatshop is to partially replace the company’s human workforce with one million robots, and here’s what Gou was hoping for,

「将来はより人間の知恵に近いプログラムをエンジニアがロボットの頭脳に組み込めることを希望している。人間でいえばほぼ18歳の知恵に匹敵するものを。」

未来,我们希望设计师能将更多的人间智慧写成程式,转化成机器人的头脑,使其智慧等同于18岁的人类。”郭台铭说。

“In the future, we hope designers are able to encode human intelligence into programs, converting the programs into robots’ software brains to match the intelligence of a 18-year-old human,”

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低賃金、低スキルの「タコ部屋」と見るだけでは、中国のすさまじいまでの変化を見落としてしまう恐れがある・・・

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