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Archive for the ‘書籍’ Category

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[非公認伝記本『Becoming Steve Jobs』: Barnes & Noble

スティーブ・ジョブズの新しい伝記本『Becoming Steve Jobs』が関心を呼んでいる。

出版キャンペーンの一環として Fast Company が内容の一部公開を始めたほか、iTunes でも一部の無料ダウンロードできるようになっている。

発売直前になって NY タイムズも同書を取り上げた。「アップルはジョブズの古い伝記本を批判し、新しい伝記本を賞賛している」と・・・

Apple Opens Up to Praise New Book on Steve Jobs, and Criticize an Old One | NYTimes.com

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アップルの幹部が推奨し始めた

スティーブ・ジョブズは在任中アップルの幹部や従業員が秘密主義を守ることを重んじた。・・・だが今や彼の副官たちは、スティーブ・ジョブズのレガシーを形作るために口を開きはじめた。

Steve Jobs prized secrecy from his executives and employees during his tenure at Apple. Now his top lieutenants are speaking out — to help shape the legacy of Steve Jobs.

アップルの高級幹部たちはインタビューやツイートを通じてアップルの共同設立者の新しい「非公認」伝記本『Becoming Steve Jobs』を全力を挙げて支援しはじめている。火曜日に発売されるこの本の中でアップルの幹部たちは、ジョブズ氏の死後 2011 年に発行された Walter Isaacson の公認伝記本『Steve Jobs』を批判のターゲットにしている。

Through interviews and tweets, Apple brass, including the chief executive, Timothy D. Cook, are throwing their weight behind a new unauthorized biography of the Apple co-founder, “Becoming Steve Jobs,” which goes on sale on Tuesday. In the book, executives take aim at another title, “Steve Jobs” by Walter Isaacson, an authorized biography published shortly after Mr. Jobs’s death in 2011.

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その例として、 Tim Cook が「Walter Isaacson の本は彼に大きな害を及ぼしたと思います」(“I thought the [Walter] Isaacson book did him a tremendous disservice.)といったことを挙げている。

このほかにも NY タイムズの記事で Brian X. Chen は、Jony Ive が New Yorker のインタビューで(同書について)「とても好意は持てません」(My regard couldn’t be any lower.)といったことや、先週 Eddy Cue がツイッターで「これまで出た本ではいちばんよく描かれている」(Best portrayal is about to be released — Becoming Steve Jobs (book). Well done and first to get it right.)と褒めたことなどについても触れている。

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アップル広報のお墨付き

「スティーブの死後長い間熟考を重ねた結果、自分たちのよく知っているスティーブについてもっと語る責任があると感じています」とアップルのスポークスマン Steve Dowling は語る。「Brent [Schlender] とスティーブの長きにわたる関係を考慮して、私たちは Brent と Rick [Tetzeli] の本に参画することにしました。そのことが彼の生涯を理解する類い稀な見方を提供できると考えるからです。この本はどの本にも増して私たちがよく知っているスティーブをよく捉えていると思います。この本に参画できてうれしく思っています。」

“After a long period of reflection following Steve’s death, we felt a sense of responsibility to say more about the Steve we knew,” Steve Dowling, an Apple spokesman, said. “We decided to participate in Brent and Rick’s book because of Brent’s long relationship with Steve, which gave him a unique perspective on Steve’s life. The book captures Steve better than anything else we’ve seen, and we are happy we decided to participate.”

Becoming Steve Jobs』でジョブズは、思いやりのあるメンター(caring mentor)として、またチームからベストを引き出せる有能なマネージャー/権限付与者として描かれている。

“Becoming Steve Jobs” paints him as a caring mentor, as well as a delegator and skillful manager who brought the best out of his team.

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いくら推奨しても

もちろんアップルの幹部たちが推奨するからといってこの本が売れるとは限らない。『Becoming Steve Jobs』もまた故パイオニアのミステリーを解き明かそうとする無数の試みに加わった本のひとつに過ぎないのだから・・・

Of course, endorsements from corporate executives hardly ensure that the book will be popular. “Becoming Steve Jobs” is the latest entry to a crowded subgenre of breathless technology books aiming to unravel the mysteries of the late pioneer […]

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発売前にコピーをもらった数人のブロガーやライターも好意的な感想を述べている。John GruberPhilip Elmer-DeWitt がそうだ。

アップルに今日の成功をもたらした秘密がジョブズがアップルを逐われていた時代にあったことはよく知られているが、公認伝記本ではあまり取り上げられなかった。(その意味では伝記映画『Steve Jobsも同じではないかと懸念される。)

たしかにアップルの幹部たちが推奨しているという点では異例かもしれないが、これまで陽の当たることの少なかった時代を取り上げることによって、ジョブズの実像に迫る本になるのではないかと期待しているのだが・・・

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[Tim Cook と Steve Jobs:Fast Company

3月24日に発売される新しいスティーブ・ジョブズの伝記本『Becoming Steve Jobs』の一部が公開されている。

The Steve Jobs You Didn’t Know: Kind, Patient, And Human | Fast Company

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亡くなる一週間前

ティム・クックを CEO にするとジョブズが話した8週間後、容態は急激に悪化へと向かった。「亡くなる一週間前の金曜日、彼といっしょに映画を見ました。『タイタンズを忘れない』[Remember The Titans]を見たのです。弱小フットボールチームを扱った感傷的な映画です。そんな映画を見たいというので驚きました。『よろしいのですか?』と尋ねたくらいです。スティーブはスポーツにはまったく興味がなかったからです。いっしょに映画を見て、いろんなことについて話をしました。今日はとても楽しそうだったと思いながら帰りました。その週末を境に容態は突然悪化したのです。」

Eight weeks after Steve told Cook he was making him CEO, things took a sudden turn for the worse. “I watched a movie with him the Friday before he passed away,” Cook remembers. “We watched Remember the Titans [a sentimental football story about an underdog]. I was so surprised he wanted to watch that movie. I was like, ‘Are you sure?’ Steve was not interested in sports at all. And we watched and we talked about a number of things and I left thinking that he was pretty happy. And then all of a sudden things went to hell that weekend.”

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最後まで身近で接していたひとのことばで語られているところが本物だという感じを与える。

血液型が合致したクックが申し出た肝臓提供をジョブズが即座に断ったこと、ある日自宅に呼び出されて後継者の話をされたこと、家族を大切にしたこと、モルヒネで痛みを抑えながら仕事に向かったことなど、身近で接したひとでないと知り得ない様子が描かれている。

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ジョブズの理解されていない側面

「彼の人間味溢れる側面はよく理解されていません」とクックはいう。「Walter Isaacson の本は彼に大きな害を及ぼしたと思います。この本はすでに書かれたことの焼き直しで、彼のひととなりについてはほんの少ししか触れていません。スティーブは貪欲で、身勝手なジコチューとして描かれています。彼のひととなりをうまく伝えていません。そこに描かれたような人物だったらこれほど長い間いっしょに仕事をしようなどとは思わなかったでしょう。人生はあまりに短すぎるのです。」

“This picture of him isn’t understood,” says Cook. “I thought the [Walter] Isaacson book did him a tremendous disservice. It was just a rehash of a bunch of stuff that had already been written, and focused on small parts of his personality. You get the feeling that [Steve’s] a greedy, selfish egomaniac. It didn’t capture the person. The person I read about there is somebody I would never have wanted to work with over all this time. Life is too short.

「スティーブには思いやりがありました」とクックは続ける。「物事に対する深い思いやりがありました。たしかに彼は物事に対して激しい情熱を示しましたし、完璧主義でした。それこそが彼の偉大さなのです。その情熱を多くのひとが傲慢と取り違えました。彼は聖人ではありませんでした。私も、私たちの誰もそういっているのではないのです。しかし彼が偉大な人間ではなかったというのは断じて間違いだったといいたいのです。その点はまったく理解されていません。」

“Steve cared,” Cook continues. “He cared deeply about things. Yes, he was very passionate about things, and he wanted things to be perfect. And that was what was great about him. A lot of people mistook that passion for arrogance. He wasn’t a saint. I’m not saying that. None of us are. But it’s emphatically untrue that he wasn’t a great human being, and that is totally not understood.

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一部公開された内容から見てもたいへん興味深い本であることが分かる。

文章には要約では分からない力がある。

Becoming Steve Jobs』はぜひとも全編をとおして読みたいと思う。

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Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart into a Visionary Leader by Brent Schlender | Barnes & Noble

スティーブ・ジョブズの新しい本が出た。Brent Schlender および Rick Tetzeli 共著の『Becoming Steve Jobs』だ。

めずらしく John Gruber がその書評を書いている。

‘Becoming Steve Jobs’ — New Book by Brent Schlender and Rick Tetzeli | Daring Fireball

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執筆者にひとを得た

ひとことでいえばこの本は世界が待っていたスティーブ・ジョブズの本だ。ジョブズがいないのにどうしてそんな本が書けるのかといぶかしく思うかもしれない。しかし実のところ彼もちゃんと作業に加わっているのだ。Brent Schlender は WSJ や Fortune の記者だった25年の間に、仕事で数えきれないほど広範囲にわたってジョブズのインタビューを行なった。1991 年のジョブズとビル・ゲイツの共同インタビューを覚えているだろうか。あれは Schlender の仕事だった。この本を読めば分かるように Schlender とジョブズは非常に親密な関係を築いていた。

It is, in short, the book about Steve Jobs that the world deserves. You might wonder how such a book could be written without Jobs’s participation, but effectively, he did participate. Schlender, in his work as a reporter for The Wall Street Journal and Fortune, interviewed Jobs extensively numerous times spanning 25 years. Remember the 1991 joint interview with Jobs and Bill Gates? That was Schlender. As the book makes clear, Jobs and Schlender had a very personal relationship.

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ジョブズをよく知るひとたちの協力

Becoming Steve Jobs』はスマートで正確、情報と洞察に富み、そしてときに胸に迫る。Schlender と Tetzeli は人間としてのジョブズを生き生きと描いている。彼らはジョブズが仕事をしたハイテク業界を熟知している。さらにまた、ジョブズを最もよく知るひとびとから驚くべき協力を得ている。アップルやピクサーの現在および過去の同僚たち — とくに Tim Cook — やジョブズ未亡人の Laurene Powell Jobs がそうだ。

The book is smart, accurate, informative, insightful, and at times, utterly heartbreaking. Schlender and Tetzeli paint a vivid picture of Jobs the man, and also clearly understand the industry in which he worked. They also got an astonishing amount of cooperation from the people who knew Jobs best: colleagues past and present from Apple and Pixar — particularly Tim Cook — and his widow, Laurene Powell Jobs.

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不可欠の参考資料

この本は、よく知られたジョブズの生涯とキャリアを改めて正確かつ魅力的に語り直したものだ。もちろん新しい内容も含まれている。あっと驚く話もあるがいまは触れないでといわれている。・・『Becoming Steve Jobs』は今後何十年にもわたって必須不可欠の参考資料となるだろう。

The book is an accurate, engaging retelling of the known history of Jobs’s life and career, but also contains a significant amount of new reporting. There are stories in this book that are going to be sensational. (I’ve promised to keep them to myself for now.) […] Becoming Steve Jobs is going to be an essential reference for decades to come.

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Walter Isaacson のジョブズ伝記本には不満だった John Gruber がたいへん気に入ったようだ。

執筆者にひとを得たこと、情報ソースの質の高さが大きいと思われる。

調べてみたかぎり、書評を書いたのはいまのところ Gruber だけのようだ。

自分の興味を引いたのはタイトル、とくに「いかにして向こう見ずの成り上がり者が明確なビジョンを持つリーダーに進化したか」(The Evolution of a Reckless Upstart into a Visionary Leader)というサブタイトルだ。

ジョブズの成功のカギはアップルを逐われた時代にあったと長年感じてきた。公認伝記本ではあまり取り上げられなかった視点だが、この新しい本はその時代に光をあててジョブズの実像に肉迫してくれるのではないかと期待が持てる。

この『Becoming Steve Jobs』といい、先日の『Jonathan Ive and the Future of Apple』といい、従来のウワサ本、伝説本とは異なる著作物が出始めたことは注目に値する。

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日本経済の実態は、ピケティのモデルとは異なる|ダイヤモンド・オンライン

トマ・ピケティは『21世紀の資本』(みすず書房)で、所得格差に関する新しい見方を示した。これまで所得格差は、税制をはじめとする制度的な要因によって大きく影響されると考えられてきたのだが、ピケティは格差拡大のメカニズムは簡単なマクロ経済的関係で説明できるとした。このため、彼の著作は大きな話題を呼んだ。

しかし、彼の所論は、日本の場合には当てはまらない。これを以下に示そう。

ピケティの主張は欧米に対して検証したもので日本経済には当てはまらない|ダイヤモンド・オンライン

トマ・ピケティは、『21世紀の資本』において、格差の拡大が、簡単なマクロ変数で説明できるとした。前回は、そのようなマクロ経済の姿は日本では観察されないことを、GDPデータを用いて示した。以下では、同じことを法人企業統計のデータを用いて示そう。

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Thomas-Piketty

トマ・ピケティについては:

Thomas Piketty, the Economist Behind ‘Capital in the Twenty-First Century’ Is the Latest Overnight Intellectual Sensation | NYTimes.com

Mr. Piketty is by no means the first intellectual to have attained celebrity. But he may be the first to see his ideas — and his headshot — go viral. There was (must it be said?) no Twitter in 1964…

And what of Mr. Piketty? The ingredients of superstardom are all there. His big argument, made in surprisingly digestible prose, that “the rich get richer” is no mere throwaway line in the have-nots’ lyric of resentment but an iron law of the free-market system. His warning of calamitous “drift toward oligarchy” comes at a time when income inequality has begun to dominate public discussion and when the “war on poverty,” now 50 years old, has brought back memories of an activist government unafraid to address grave social ills.

If Mr. Piketty’s forthrightness suits the moment, so does his appetite for data. In the age of the cool-geek statistical wizardry of Ezra Klein and Nate Silver, Mr. Piketty has outdone them all, with his 15 years of research covering 30 countries (and counting). At the same time, his decision to spare readers the details of mathematical “modeling” (he directs readers to a website) shows a savvy awareness of 21st-century attention spans.

On Inequality Denial | NYTimes.com [Paul Krugman]

Piketty findings undercut by errors | FT.com

ピケティ『21世紀の資本論』はなぜ論争を呼んでいるのか | nikkei BPnet

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どこに視点をおくか・・・

日経BP社刊「ジョナサン・アイブ」読了と危惧すること | Apple/Macテクノロジー研究所

なにしろCEOのティム・クックでさえジョニーに口だしできないというしオペレーション担当のある重役は「アップルを支配しているのはIDgだ」といっているそうだ…。

これではジョニーという存在はアップルを次のレベルに引き上げる起爆剤と同時に一歩間違えば誤爆する可能性も否めない。どのような組織でも社長やらCEOはともかく、1人に権限が集中することはトラブルの元とは幾多の歴史が証明していることではないか。これはジョニーがいかに謙虚で賢い人物だったとしてもだ…。

アップルのファンとしてはジョニーがアップルの地雷源にならないよう願うばかりだ。

Jony Ive: The Genius Behind Apple’s Greatest Products, by Leander Kahney | FT.com

Kahney is a journalist but also an Apple geek (he has written three other books on Apple as well as a blog) and the combination of that enthusiasm and a clammed-up corporation is not particularly successful. Ive remains, at the end of this book, as unknown a quantity as he is at the beginning: a popular, un­assuming person who likes to listen to techno music while he works.

Review: Jony Ive by Leander Kahney | Asymco

The book mostly follows Ive’s career with chapters covering most significant episodes chronologically, however there are deep dives into the “how” rather than just the “what” happened. There is a hint of causality rather than correlation between events and outcomes.

For example, there is a mesmerizing description of the actual Apple design studio even though it has never been depicted in any public photo or video or diagram. There is a great attention paid to manufacturing and materials, as indeed there should be if talking about Apple design (but not necessarily if talking solely about design in general.)

There is an amazing revelation of the existence of the “ANPP” or the Apple New Product Process. This process directs the “extreme detail [for] every stage of product development”. The presence of such a “giant checklist” implies a degree of process and rigor which is in contrast to the “heroic” effort that prevails in popular folklore about how Apple develops its products.

アップルは「怠けたデザイン」を許さない | 日経ビジネスオンライン

旧記事から:

Leander Kahney の書いたジョニー・アイブ本 | maclalala2

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ロシアの支配構造を分析した Karen Dawisha

ロシアの富の35%を110人の個人が支配する・・・

Russia: Band of brothers | The Economist

When Mr Putin became president he was seen as a pro-Western, economic liberal. He pledged to clamp down on the oligarchs who wielded power in the 1990s, and to restore the role of the state as chief arbiter. Instead, Ms Dawisha writes, he transformed “an oligarchy independent of and more powerful than the state into a corporatist structure in which oligarchs served at the pleasure of state officials, who themselves gained and exercised economic control…both for the state and for themselves.” The result is that 110 individuals control 35% of Russia’s wealth, according to Ms Dawisha.

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Haunted-Empire

[”Haunted Empire”:image

まもなく出版される Yukari Iwatani Kane の『Haunted Empire』(亡霊につきまとわれた帝国)から、Tim Cook の性格描写の部分・・・

WSJ.com: “The Job After Steve Jobs: Tim Cook and Apple” by Yukari Iwatani Kane: 28 February, 2014

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Cook の二面性

一部のひとにとって Cook はマシンみたいだが、他のひとにとっては魅惑的な存在だ。部下の心に恐怖を打ち込むこともできれば、ひとこと賞賛のことばをかけるだけ夜明けから深夜まで働く気を起こさせることもできる。

To some, Cook was a machine; to others, he was riveting. He could strike terror in the hearts of his subordinates, but he could also motivate them to toil from dawn to midnight for just a word of praise.

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「キミの数字を見ると窓から飛び出したくなる」

ジョブズ時代のアップルはジェットコースターみたいだった。しかし Cook が支配するオペレーションの世界は整頓され、規律が行きわたっていた。Cook はオペレーションのプロセスのあらゆる部分まで詳細に知っていた。毎週行なわれるオペレーションミーティングは、個別の項目まで彼がすべてつぶしていくので5〜6時間かかることもあった。部下たちはミーティングで彼に対応するには、試験の詰め込み勉強みたいに準備する必要があることをすぐに学んだ。何百というユニットのたったひとつのミスでさえ細かいチェックを受けた。「キミの数字を見ると窓から飛び出したくなる」と彼からぴしゃりとわれたのを思い出す立案者もいる。

Apple under Jobs was a roller coaster, but Cook’s operations fief was orderly and disciplined. Cook knew every detail in every step of the operations processes. Weekly operations meetings could last five to six hours as he ground through every single item. His subordinates soon learned to plan for meetings with him as if they were cramming for an exam. Even a small miss of a couple of hundred units was examined closely. “Your numbers,” one planner recalled him saying flatly, “make me want to jump out that window over there.”

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在庫のアッティラ大王

Cook は決ってアップルの巨大な在庫を取り上げた。それは基本的に悪だと彼は考えていた。彼は自分のことを「在庫のアッティラ大王」と呼んでいた。

Cook had made a particular point of tackling Apple’s monstrous inventory, which he considered fundamentally evil. He called himself the “Attila the Hun of inventory.”

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満足するまで質問

Cook とのミーティングは恐ろしい結果になることもあった。禅僧のような静けさを彼は発散し、ムダなことばは発しない。「数字を挙げなさい。スプレッドシートを開きなさい」と炭酸飲料の Mountain Dew を飲みながら彼はいったものだ。(スタッフの中には彼がカフェインを飲んでもなぜハイにならないのか[注:食前酒の国 / 食前茶の国 氏のコメント参照]訝るものもいた。)Cook が誰かに注意を向けると、満足できるまで質問を投げかけた。「それはどうして?」、「どういう意味?」、「理解できない。どうしてもっとハッキリできないのか?」。彼はまったく同じ質問を続けて10回もすることで有名だった。

Meetings with Cook could be terrifying. He exuded a Zenlike calm and didn’t waste words. “Talk about your numbers. Put your spreadsheet up,” he’d say as he nursed a Mountain Dew. (Some staffers wondered why he wasn’t bouncing off the walls from the caffeine.) When Cook turned the spotlight on someone, he hammered them with questions until he was satisfied. “Why is that?” “What do you mean?” “I don’t understand. Why are you not making it clear?” He was known to ask the same exact question 10 times in a row.

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ひとことも発せずに座って

Cook は沈黙の力も知っていた。ジョブズが軽蔑的なことばを投げつける以上のことを彼は沈黙でやってのけることができた。誰かが答えに詰まると、Cook はひとことも発せずに座っていた。その間みんなはテーブルに目を伏せ、イスで身じろぎした。その沈黙は強烈で、居心地の悪いものだったので、同室したものは誰もが尻込みしたくなった。落ち着き払った Cook は指一本動かさずもぞもぞする彼の獲物に目を据えた。時には回答を待つ間、エネルギーバーをポケットから取り出したが、静けさを破るのは包み紙を破く音だけだった。

Cook also knew the power of silence. He could do more with a pause than Jobs ever could with an epithet. When someone was unable to answer a question, Cook would sit without a word while people stared at the table and shifted in their seats. The silence would be so intense and uncomfortable that everyone in the room wanted to back away. Unperturbed, Cook didn’t move a finger as he focused his eyes on his squirming target. Sometimes he would take an energy bar from his pocket while he waited for an answer, and the hush would be broken only by the crackling of the wrapper.

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ひと際苛酷なもの

アップルの厳しいカルチャーの中でも、Cook とのミーティングはひと際苛酷なものだった。あるとき同室していた他のグループのマネージャーが「その数字は間違っている。出て行け」と Cook が部下にいうのを聞いてショックを受けた。

Even in Apple’s unrelenting culture, Cook’s meetings stood out as harsh. On one occasion, a manager from another group who was sitting in was shocked to hear Cook tell an underling, “That number is wrong. Get out of here.”

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ギシギシしごく

Cook の四半期レビューは特に痛みを伴うものだった。Cook が黄色の付箋紙を使って、巧くいったものとそうでなかったものに分類しながら些細な点までギシギシしごくからだ。マネージャーたちは無傷で済みますようにと祈るものだった。「群れの最後尾でないかぎり[?]安心だ」と彼らはいい合ったものだ。

Cook’s quarterly reviews were especially torturous because Cook would grind through the minutiae as he categorized what worked and what didn’t, using yellow Post-its. His managers crossed their fingers in the hopes of emerging unscathed. “We’re safe as long as we’re not at the back of the pack,” they would say to each other.

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Cook の苛酷な側面をじつに鮮やかに描写している。

黙ったまま相手をじっと見つめて不安にさせるクセ」(Yukari Iwatani Kane の同僚の Nick Wingfield)とか「部下をズタズタにする」(Adam Lashinsky)ところはこれまでも取り上げられたことがある。

しかし CEO になってからの彼の様子をみるかぎり、正直いってこういう話には違和感がある。

ゴールドマン・サックスの会議のときや、米議会の公聴会に引っ張りだされたときの様子を見ても、非常に落ちついた対応に終始しているからだ。

まあ、ひとの本質は外見では分からないのかもしれないが・・・

いずれにせよ Cook のエピソードがまたひとつ加わった。

★ →[原文を見る:Original Text]

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