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Archive for the ‘シャープ’ Category

[シャープの亀山工場:photo

Horace Dediu の分析を踏まえて、Philip Elmer-DeWitt が興味深い指摘をしている

Fortune Tech: “Did Apple use $2 billion to bail out Sharp last quarter?” by Philip Elmer-DeWitt: 07 November 2012

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シャープの苦境

昨年夏、シャープは深刻な局面にいた。

FORTUNE — Sharp was in serious trouble last summer.

2012 年前半、シャープは 1030 億円(13 億ドル)の赤字を抱えていた。加えて 2013 年に満期を迎える転換社債で 2000 億円(23 億ドル)の返済があった。そして Foxconn からの緊急融資は失敗に終わった。

It had hemorrhaged 103 billion yen ($1.3 billion) in cash in the first half of 2012. It had another 200 billion yen ($2.3 billion) in convertible bonds coming due in 2013. And an emergency infusion of cash from Foxconn had just fallen through.

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アップルにとっても問題

これはアップルにとっても問題だった。なぜなら、発表を数週間後に控えた iPhone 5 のディスプレイはシャープが供給することを見込んでいたからだ。8月が到来しても、シャープのディスプレイは出荷されなかった(AWOL)。
[注:AWOL=absence without leave:無断欠勤、職務離脱]

This was a problem for Apple (AAPL), because it was counting on Sharp to supply touchscreen displays for the new iPhone 5 scheduled to launch in a few weeks. August came and went and the displays from Sharp were AWOL.

そして9月第2週になると、シャープの LCD スクリーンの大量生産が始まったと WSJ が報じた

Then, in the second week of September, the Wall Street Journal reported that mass production of Sharp’s LCD screens for Apple had finally begun.

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いったい何が起きたのか?

What happened?

asymco の Horace Dediu は次のように分析している。すなわち Dediu は水曜日の投稿で、アップルの 2012 年度の設備投資については計画額と実施額に 23 億ドルの開きがあり、そのうち 20 億ドルはキャッシュ・フロー計算書(cash flow statement)に計上されていないというのだ。

Asymco’s Horace Dediu has a theory. In a post published Wednesday he points out that there was a $2.3 billion discrepancy between what Apple said it planned to spend on capital expenditures in 2012 and what it actually spent — $2 billion of which wasn’t reported as cash flow.

「問題はこのカネが何に使われ、なぜキャッシュ・フロー計算書に計上されなかったのかということだ」と Dediu は指摘している。

“The question is,” writes Dediu, “what was it spent on and why did it not go through the cash flow statement?”

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Dediu の分析

Dediu の考えはこうだ:

His answer:

状況証拠から見て、当該資産はシャープが所有していた製造設備(あるいは製造工場そのもの)ではないかと思われる。シャープはアップル向けスクリーンの主要サプライヤーだが、財政難にあった。シャープはまた Foxconn が投資を検討していた対象でもあった。しかしこの交渉はシャープの財政悪化のため不調に終わった。私の想像では、これらの試みはシャープに対する財政支援であり、供給確保の連続性を保つとともに、他のサプライヤーであるサムスンの代りとしてサプライヤーベースの均衡を保つためのものではなかったと思う。万一シャープが何らかの形で破産することになれば、アップルの主要スクリーン製造工場(ひとつないしは複数)が「早い者勝ち」(up for grabs)で債権者の手に渡ることとなり、操業を中止するかもしれず、製造義務の有無にも関わらずアップルの製造能力が損なわれることになるかもしれなかった。期末になって予期せざる支出をしたのは、この資産をアップルが確保するためだったのではないかと私は考える。さらにこの融資は「事前発注」(pre-orders)という形で行なわれたのではないか。さらに憶測を逞しくすれば、アップルはシャープのスクリーン製造ラインを自社分に計上し、部品の事前弁済という形で「支出した」のではないだろうか。これは期限前弁済(pre-payment)であるため、オフ・バランス取引ということになるだろう。「2012 年9月29日現在でオフ・バランスシート分として、サードパーティの製造契約および部品購入契約の未払残高が 211 億ドルある」とアップルは報告している。これは従来と比べ大幅な増加であり、資産スワップをまかなう巨大な「買収資金」(slush fund)を可能にするものだ。

Circumstantial evidence points to the asset being production equipment (or even a plant) previously owned by Sharp. Sharp is a key supplier of screens to Apple but is also in financial distress. Sharp has also been the object of an intended investment by Foxconn. That deal fell through as Sharp’s finances deteriorated. My guess is that these attempts to shore up Sharp are directed by Apple to ensure both continuity of supply and a balanced supplier base (offsetting Samsung, another supplier.) If Sharp were to enter into some form of bankruptcy, the key plant(s) used in producing screens for Apple might be “up for grabs” by creditors and they might be taken off-line, jeopardizing Apple’s production capacity, irrespective of contractual obligations. I believe that Apple’s late and unprecedented expenditure was to secure this asset. I further believe that the financing for this deal was done through a swap of “pre-orders”. Stepping even further into the hypothesis: Apple arranged to move a Sharp screen production line onto its books and “paid” for it through a pre-payment of components. This being a pre-payment it would be in the form of an “off balance sheet” commitment. Apple reported that “As of September 29, 2012, the Company had outstanding off-balance sheet third-party manufacturing commitments and component purchase commitments of $21.1billion” [my emphasis]. This is a significant increase from earlier years and allows for a huge “slush fund” to cover asset swaps.

アップルの 2012 年度および 2013 年度の設備投資に関する奇妙な点について」という Dediu の記事はこちら。

Dediu’s post is titled “ReCapEx: The curious case of Apple’s 2012 and 2013 Capital Expenditures” and you can read it here.

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アップルの数字を丹念に追うことによって、日本国内では見えない動きをあぶり出す手法はさすがだ。数字の達人 Horace Dediu の面目躍如というところか。

鴻海(Hon Hai)の郭台铭(Terry Gou)会長のシャープ堺工場訪問、その直後の突然の帰国など一連の出来事こちらも)と併せ考えると非常に興味深い。

あの時点で「妄想」として触れたが、iPhone 5 の量産体制にはいれるかどうかはやはり大きな問題だったのではないか・・・

不調に終わった鴻海との提携交渉にも、背後に大きな流れがあったのではないかという気がする。

いかに優れた技術があっても、顧客がなければ生かしようがない。

日本のエレクトロニクス産業の命運が、サプライチェーンの役割を果たせるかどうかで左右されるなんて、すさまじいまでの変化には圧倒される思いがする・・・

★ →[原文を見る:Original Text]

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[iPhone Screen Production Delayed at Sharp | WSJ Video

いよいよ次世代 iPhone 発表の直前となったが、香港の Juro Osawa 記者[WSJ]が興味深いニュースを伝えている。

WSJ.com: “Production of iPhone Screens Delayed at Sharp” by Juro Osawa: 31 August 2012

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シャープの iPhone スクリーンが遅れている

日本のシャープは、次世代 iPhone スクリーンの量産をまだ開始していないと、複数の情報筋が金曜日に明らかにした。このため、次世代 iPhone の需要に見合う十分な部品をアップルが確保できるかどうか疑問が生じてきたという。

Japan’s Sharp Corp. 6753.TO -12.78% hasn’t started mass producing screens for Apple Inc.’s AAPL +0.21% next iPhone, people with knowledge of the situation said Friday, raising questions about whether the U.S. company will have enough components to meet demand for the new smartphone.

アップルの LCD ディスプレイの主要サプライヤーであるシャープは、8月末までに iPhone スクリーンを出荷する計画だったが、製造上の問題もあって量産の開始が遅れていると情報筋はいう。同社が LCD パネルの出荷をいつ開始ができるかは不明だと情報筋のひとりはいう。

Sharp, a major supplier of liquid crystal displays to Apple, had planned to start shipping iPhone screens by the end of August, the people said, but mass production has been delayed in part by manufacturing difficulties. It remains unclear when the company can start shipping the LCD panels, one of the people said.

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他の2社はすでに出荷開始

シャープは次世代 iPhone のための LCD パネルのサプライヤー3社のひとつだが、残りの2社 — Japan Display Inc. および韓国の LG Display Co. — はすでにアップルへのスクリーン出荷を開始していると、事情に詳しい別の情報筋(複数)は語る。

Sharp is one of three suppliers of LCD panels for the next iPhone. The other two suppliers—Japan Display Inc. and South Korea’s LG Display Co. 034220.SE -1.14% —have already started shipping the screens to Apple, according to other people familiar with the situation.

シャープは今年のはじめにもアップル最新の iPad スクリーン出荷が遅れた。しかしこのときは部品供給の不足は表面上は見られなかった。

Earlier this year, Sharp also delayed shipments of screens for Apple’s latest iPad, but there were no apparent supply shortages of the tablet computers.

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このニュースが出たのが、Foxconn を傘下に持つ鴻海(Hon Hai)の郭台铭(Terry Gou)会長がシャープの堺工場を訪問した直後であることが注目される。

WSJ.com: “For Sharp and Hon Hai, Twist Marks Talks” by Daisuke Wakabayashi: 30 August 2012

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創立100周年

堺発 — 台湾の億万長者郭台铭(Terry Gou)は、最近行なったばかりの投資案件[堺工場]のチェックに向かう新幹線の一等席で、苦闘する日本のエレクトロニクスメーカー「シャープ」について考えにふけった。折しもシャープは9月で創立100周年を迎える。

SAKAI, Japan—Resting in the first-class car on a bullet train en route to checking out his latest investment, Taiwanese billionaire Terry Gou mused about the strengths—and weaknesses—of struggling Japanese electronics company Sharp Corp., 6753.TO -12.78% which will celebrate the 100th anniversary of its founding in September.

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IT の変化はとてもはやい

「100年も続く会社がいったい幾つあるだろうか? それほど長く続くこと自体が資産なのだ」と、シャツの袖をまくり上げた郭氏は語った。水曜日の夜、新幹線で短い会話をひとりの記者と交わしたあと、彼はこう付け加えた。「しかし、最近の情報技術の動きはとてもはやい。とても難しいのだ」と。

“How many companies can say they’ve lasted 100 years? Lasting that long is an asset,” said Mr. Gou, his shirt sleeves rolled up. “But these days with information technology moving so fast, it’s hard,” he added in a brief conversation with a reporter aboard the train Wednesday night.

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滅多に日本のメディアの前に姿を見せない郭会長だが、堺工場に向かう新幹線の中で語ったということばは非常に興味深い。

堺工場を見学したあと、郭会長は、シャープとの提携交渉も、記者発表も行なうことなく、突如帰国した

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以下は、筆者の妄想だ。

Foxconn を率いる鴻海(Hon Hai)の総帥として、郭会長の最大の関心事がアップルの次期 iPhone に向けた量産体制にあったとしたらどうだろうか。

かつての技術大国も今やサプライチェーンの一角に組み込まれた存在となった。

いかに優れた技術があろうとも、顧客がなければ技術の生かしようがない。

Foxconn というアップル最大のサプライチェーンで喫緊の課題といえば、9月12日発表、21日発売とウワサされる次期 iPhone の納期に間に合うかどうかということではないか。

郭会長の関心が、提携交渉より堺工場が実際に量産体制にはいれるかどうかの確証をつかむことにあったとしたら・・・

その状況しだいでは、急遽アップルとの打ち合わせも必要となる。

ニュースを見ながら、筆者の脳裏をよぎったのはそんな妄想だった。

いずれにせよ、東京地裁の判決といい、こんどの突然の帰国といい、日本では独特の時間が流れているのでなければいいがと願う・・・

★ →[原文を見る:Original Text

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[鴻海がシャープを買収:image

シャープが新型液晶パネル「IGZO(イグゾー)」の量産開始を発表した日、アジア発の興味深い動きがあった。

ひとつはシンガポールの「聯合早報」に載った鴻海のシャープ買収に関する社説。

中国網日本語版(チャイナネット): “シャープが鴻海に「身売り」 :日本企業の脱「ガラパゴス」“: 13 April 2012

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シャープが鴻海に「身売り」 :日本企業の脱「ガラパゴス」


・韓国の「朝鮮日報」東京特派員である車学峰氏は、日本を代表する家電メーカーのシャープに対し、台湾の鴻海が救いの手を差し伸べたと形容。

・シャープは自尊心を捨てて鴻海と提携を結んだ。苦渋の選択であるとともに、戦略転換の意図もそこにはある。つまり「ガラパゴス化」からの脱却であり、アジア回帰を素早く行い、成長するアジアの列車に乗り送れないようにするのだ。



・日本の家電産業はすでに衰退期に入っており、日本のお家芸である「垂直統合」を何度も行っても挽回することができなくなった。



・このような「垂直統合」方式は、淘汰される企業を救うことができたが、競争の原理を排除し、商品の自由選択を消費者から奪うものでもあった。

・日本のIT製品は、携帯からパソコンまで技術的には一流であったが、海外で通用するユニバーサルな機能がないことが致命傷となった。


・日本企業には豊かな技術の蓄積があるかも知れないが、経営方針はすでに遅れたものとなっている。加えて世界市場はめまぐるしく変化しており、異なる国家の資本や人材、技術を結び付け、共に発展しなければならなくなっている。

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もうひとつは、中国のトレードショーを契機に明らかになった、シャープ買収はアップルの方が先に考えていたという話。

AppleInsider: “Apple considered buying stake in Sharp to aid development of television – report” by Neil Hughes: 13 April 2012

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アップルもシャープ買収を検討

Brian White[Topeka Capital Markets のアナリスト]によれば、Foxconn[注:正確には鴻海]がシャープへの資本参加を考える以前に、アップルが同社の買収を検討していたという。

But before Foxconn stepped in and invested in Sharp, Apple considered buying a stake in the company, according to analyst Brian White with Topeka Capital Markets.

今週中国での技術トレードショーに参加した White は、金曜日にこの情報を投資家向けノートで明らかにした。アップルは「当初 LCD マーケットに投資すべきかどうか検討した」が、最終的には投資しないことを決めたという。

White was relayed the information while attending a technology trade show in China this week, and he revealed it in a note issued to investors on Friday. He said Apple “originally debated” whether it should invest in the LCD market, but ultimately decided against it.

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シャープをおいて他に考えられない

もしアップルがサプライチェーンに投資して将来重要になる分野に影響力を行使したいと考えたのなら、そんな企業は他にはなかったというのが我々の意見だ」と White はいう。

“In our view, if Apple was willing to consider investing in the supply chain to exert influence in an area deemed important to the company’s future, we wonder what else the company might consider,” White said.

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明らかになったタイミング

アップルがシャープ買収を検討していたらしいというニュースは、シャープが世界で初めて IGZO 技術を利用した LCD パネルの製造開始を発表した金曜日に明らかになった。IGZO ディスプレイによってシャープは更に薄く、消費電力の低い LCD を生産することが可能になる。

The news that Apple apparently considered investing in Sharp comes as the company announced on Friday that it has begun production of the world’s first LCD panels incorporating IGZO technology. IGZO displays will allow Sharp to produce thinner and more power efficient LCDs.

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アップル自身がシャープ買収を検討していたという話は初耳だ。

どちらのニュースもアジアから聞こえてくるところに時代の流れを感じる。

企業自身の命運も世界の流れの中で決まらざるを得ないということか・・・

これはまた日本が海外からどう見えるかという例でもある。

その前後日本ではもうひとつの垂直統合が話題になっていた。

★ →[原文を見る:中国網日本語版
★ →[原文を見る:AppleInsider

✂ →[本記事の短縮 URL]http://wp.me/pfXBS-1RT

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