
[それはアップルとグーグルから始まった:photo]
このところアップル系ニュースがオモシロくない。
昔はウワサ系というジャンルがあった。
大手紙・誌が取り上げないウワサを発掘してきてはそれを披露する。
まだアップル自体がマイナーだった時代にはそれが大きな情報源だった。
現役のハーバード生が13才のとき始めた「Think Secret」はバツグンの正確さとオモシロさで一世を風靡したものだ。
それがいつの間にかウワサなどには見向きもしなかった大手紙・誌まで競ってアップルのウワサを取り上げるようになった。ウワサ系までプロ化してしまった。
枯渇する泉の周りに口を揃えて、今かいまかと水が出るのを待っているようなもの。
そんななかでさすがの大手紙・誌もあまり取り上げない話題がある。
人材引き抜き防止のためにアップルとグーグルが結んだという密約の話だ。
新しいウワサがなければ、古い話を蒸し返せということかも・・・
人材を引き抜かれてアタマにきたジョブズがグーグルの Eric Schmidt 宛に書いたEメールが表に出た。この人材引き抜きを防ぐため賃金を抑えるという「密約」は当初アップルとグーグルだけのものだったが、その後アドビ、インテル、Intuit、ウォルト・ディズニー、デル、マイクロソフト、IBM、eBay、Comcast、Dreamworks など IT の大所を含む巨大カルテルになり、独禁法訴訟の対象になっているというもの。
アップル対サムスンの訴訟資料から見つけ出した PandoDaily がシリーズで追いかけている。
このニュースについて John Gruber が微妙な言い回しながら次のようにコメントしている。
Daring Fireball: “Wouldn’t Have Happened If Tim Cook Had Been in Charge” by John Gruber: 27 March 2014
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スマイリー
アップルとグーグルが始めた「人材引き抜き防止・賃上げ抑制」カルテルの話を PandoDaily が連続して取り上げている。Sergey Brin がスティーブ・ジョブズからのEメールを見せられた話には笑っちゃうよ。
Pando continues its thorough coverage of the Apple/Google-led no-poaching wage-fixing cartel case. You have to laugh at this, from Sergey Brin, after being shown an email from Steve Jobs:
「ワオ、スティーブがスマイリーを使ってる。自分は一度も使ったことないのに・・・」
Wow, Steve used a smiley. God, I never got one of those.
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紙の証拠は残したくない
しかし、これは深刻な問題だ。先週の PandoDaily の記事によれば:
But overall, this is serious business. From Pando’s report a week ago:
Schmidt の返答:
Schmidt responded:
Omid には口頭でやって欲しいと思う。後あと訴えられないように紙の証拠は残したくないと思うんだが・・・どうもよく分からん。敬具 Eric
I would prefer that Omid do it verbally since I don’t want to create a paper trail over which we can be sued later? Not sure about this.. thanks Eric
当時のグーグルの人事担当 Shona Brown はボスに同意した。E. E. Cummings スタイルの小文字で書いた返事で:
Google’s HR head at the time, Shona Brown, agreed with her boss, in lower-case ee cummings syntax:
口頭トイウノガモットモデス ワカリマシタ
makes sense to do orally. i agree.
(Eメールだって紙と同じで有罪を示す証拠になることを Schmidt が知らなかったなんて奇妙な話だと思う。検索すればもっと簡単に見つけられるから。)
(Seems bizarre to me that Schmidt wasn’t aware that an email trail is just as incriminating as a paper trail — and more easily searched.)
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Tim Cook だったら・・・
まず自分が感じたこと — もし当時 Tim Cook が担当していたら、アップルはこんなトラブルに巻き込まれずに済んだだろうと自信をもっていえる。シニカルないい方でいえば、Tim Cook ならこんなことを書き物にするなんてミスはしないだろうと。理想主義的ないい方をするなら、そもそも Cook はこんなことに組しなかっただろうと。法的にも道徳的にも間違っていると分かったハズだから。
What strikes me is that I feel confident saying Apple wouldn’t be in this trouble if Tim Cook had been in charge at the time. If I want to be cynical, I’d say that’s because Cook is too careful to put anything like this in writing. If I want to be idealistic, I’d say it’s because Cook would not have agreed to participate in the agreement in the first place — that he’d have recognized that it was both legally and morally wrong.
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何かといえばジョブズがいないせいだというな
この種の傲慢な振る舞いはジョブズ伝説の最悪の側面だ。彼の不遜さはアップルが多くの偉大な事柄を成し遂げるのに役立ちはしたけれど、法的なトラブルにアップルが巻き込まれたのはこれが初めてではない。アップルにはもはやジョブズがいないからと Tim Cook は数多くの非難に晒されているが、これは違う意味で特筆さるべきだ。傲慢な CEO なかりせばアップルはどんなによかっただろう、と・・・
This sort of imperious behavior is the worst aspect of Steve Jobs’s legacy. His hubris helped Apple achieve great things, but this is not the only time it landed the company in legal trouble. For all the scrutiny Tim Cook has faced — and will continue to face, for the remainder of his career — regarding the numerous ways that Apple misses Steve Jobs, it’s been under-remarked that in other ways, Apple is better served without an imperious CEO.
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非常に微妙ないい方だが、ジョブズの時代にも問題は起きたのだといっている。
PandoDaily の連載がどうなるか分からないが、こんな記事が出てくるのもアップルのウワサがオモシロくないことも一因だろう。
本当はこんなときこそ、ズバリ未来の展望を語るジョブズのことばを聞きたいところ・・・
★ →[原文を見る:Original Text]
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