[スティーブ・ジョブズの秘密主義:image]
アップルの秘密主義といえばスティーブ・ジョブズとは切っても切り離せないと考えられがちだが、あながちそうではなかったという Ken Rosen のエピソードが Quora に載っている。
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すべてがオープンだった NeXT 時代
私は[Ken Rosen]6年間 NeXT にいたが、その間秘密主義については大きな変化があった。
I was at NeXT for six years. During that period, we went through a profound transition about secrecy.
初めのころはすべてが誰にとってもオープンだった。みんなの給与表のバインダーが CFO[最高財務責任者]の部屋に置いてあり、いつでも見ていいと言われた。そんなことをした者はほとんどいなかったけれど・・・。「NeXT の内部ではすべてがオープンだ。その代わり NeXT の外では何も語らない」とスティーブ・ジョブズはいった。「誰かがリークするまではこれを続ける。秘密が守れないと分かったら、すぐさま他の会社と同じやり方に戻す」と彼らしいいい方でつけ加えた。オープンさというガチョウを殺したいとは誰も思わなかった。[注]
[注]kill the goose that lays the golden eggs:金の卵を産むガチョウを持っていた男が一度にたくさんの金を手に入れようとガチョウを殺してしまったというイソップ物語から、目前の利益に目がくらんで将来の利益を犠牲にすることの意。
In the early days, everything was open to everyone. There was even a binder in the CFO’s office with everyone’s salary. We were told we could go check it out any time. Few cared to. Steve told us, “Inside NeXT, everything is open. Outside NeXT, we say nothing.” In wonderful Steve fashion, he added, “This will continue until the first leak. As soon as we prove we can’t keep a secret, we go back to being like every other company.” No one wanted to be the one to kill the open goose.
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シロウトめ
記者たちはしつこく駐車場まで追いかけまわすものだった。そんなひとりを無視したとき、歩き去る自分に向かってそいつがこういったのを覚えている。「ワオ、お前たちはジョブズがそんなに怖いんだな」と。このシロウトめ。
Reporters would stalk the parking lot outside. After blowing off one guy, I remember him trying to goad me as I walked away with the line, “Wow, he really has you guys scared, hmm?” Amateur.
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最後の審判
もちろん最後の審判の日はやって来た。たぶん NeXT 以外のひとならリークの何たるかはちゃんと心得ていたのだろうけれど・・・。スティーブが NeXT とは比べものにならないほど大きなアップルに復帰したとき、同じことをしようとはこれっぽちも考えなかった。
The day of reckoning came, of course. Maybe someone else from NeXT remembers exactly what that leak was. I’m sure Steve never considered for a moment trying the same thing when he re-entered the monumentally larger Apple.
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秘密主義と連帯感
秘密を共有したことで我々の連帯感は一層高まったのだと思う。もちろんそれが続いた間はの話だけれど・・・
I believe the shared secrecy worked as an additional bond…for as long as it lasted.
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秘密主義といっても昨今のものとはだいぶ雰囲気が異なっていたようだ。
他にも Quora ではアップルの秘密主義に関わる興味深いエピソードをいろいろ載せている。
その最たるものは前にも紹介した「Marklar:MacOS X はこうして生まれた・・・」だろう。これには「Mac 互換機の『VAIO』が生まれていたかもしれなかった」という後日譚までついている。
[…] スティーブ・ジョブズの秘密主義:番外編 | maclalala2 […]