[AAPL $500.00:image]
iPhone 販売が伸び悩んでいるため液晶パネルの発注を半分に削減したというニュースは大きな話題になった。
この日経/WSJ の記事に対する疑念や、テクニカルライターたちの反応もまだ記憶に新しいところだ。
気になったのは「アップル株を買うなら1月18日に買いなさい」という John Gruber が指摘した記事だ。
なにやら機関投資家が絡んでいるらしいこと、1月19日にはコールオプションが失効することぐらいしかシロウトの筆者には分からなかった。(1月19日にはマーケットが閉まってしまう。)
その後米国時間の1月18日に Gruber はまた次のように書いている。
Daring Fireball: “AAPL: $500.00” by John Gruber: 18 January 2013
* * *
ぴったしカンカン
今週初めにリンクを貼った記事を覚えているだろうか。Joe Springer は(ずっと前の11月に)次のような指摘をした。もし今日アップル株が 500 ドルないしはそれ以下で引ければ、この夏にアップル株の大量オプションを売った機関投資家が莫大な利益を手にすることになる、と。今日の引け値は 500.00 ドルぴったしだった。
Remember the piece I linked to earlier this week, wherein Joe Springer pointed out (all the way back in November) that large institutional investors who’d sold options on Apple’s stock back in the summer stood to profit by billions if AAPL closed today at $500 or under? It closed at $500.00.
これでも何か人為的な不正が仕組まれたと考えないのなら、そんなひとのために「橋売ります」の張り紙[注]はまだとってある。
[注]I have a bridge to sell you. から
I still have that bridge to sell you if you don’t think the fix was in on this.
* * *
500.00 ドルぴったしというのはどう考えても出来過ぎのような気がするが、株の話というのはサッパリ要領を得ず分からない。
その意味でデータの達人 Horace Dediu のポッドキャストが大変オモシロかった。
iPhone ディスプレイの発注量が半分に削減されたという例のニュースに関するもので、証拠もないまま取り上げたのは「悪趣味だ」(distasteful)としている。
→ The Critical Path #71: Max Headroom | 5by5
* * *
極端な主張には特別な証拠が必要
・元になったのは12月のアナリストの記事、しかもこのアナリストはアップル製品に詳しいアナリストではなかった
・その話を1月になって、信頼すべきと思われている日経と WSJ が取り上げた
・部品発注と製品需要は即直結してはおらず、その間に検討すべき要因がたくさんある
・たとえば iPhone の場合はイールド[yield:出来高、歩留まり]も大きな問題(新製品であるスクリーンはイールドが低いため発注量は大きくなるが、技術の習得につれてイールドは下がる)
・科学的知識の原則は、極端な主張には特別な証拠が必要だということだ。バリューチェーンの遥か下流の日本の匿名のソースが、世界市場の消費動向について知っているという主張をサポートするものは何もない。[12:30 分ごろ]
The rule of science is extraordinary claim require extraordinary evidence. And there’s nothing extraordinary about an unnamed sources in Japan far down in the value chain claiming that the knowledge about what’s happening in the global market in terms of consumption.
・事実のチェックが必要
・はっきりとした証拠がないままアップルの株価が激減した
・これはアップルがマーケットで非常に敏感になっていることで何か間違っていると思う
・そんなウワサを取り上げるのは趣味のいいことではない(distasteful)
例によってこのほかにも多くの興味深い指摘があるので、ぜひともご自分で全体をお聞きください。
* * *
じつは1月18日にはもうひとつ大きなニュースがあった。
Reuters: “Exclusive: Japan’s Sharp cuts iPad screen output” by Reiji Murai and Miyoung Kim: 18 January 2013
生産をほぼ停止
シャープはアップル iPad 用の 9.7 インチスクリーンの生産をほぼ停止したと2つのソースが語っている。需要が小型の iPad mini に移ったためではないかと思われる。
Sharp Corp has nearly halted production of 9.7-inch screens for Apple Inc’s iPad, two sources said, possibly as demand shifts to its smaller iPad mini.
* * *
これまた例の日経ニュースを伝えたのと同じロイターによるもので、東京/ソウル発になっている。
今回は「半分に削減」などではなく、「生産をほぼ停止」というのだからそのインパクトは非常に大きい。
Dediu に従えば「極端な主張には特別な証拠が必要」ということだろう。
1月19日という日付が何を意味するのか、1月23日の決算発表を経てアップルの株価がどう変化するのか、門外漢としてはその推移を見守るしかない・・・
2011の新製品ラッシュで人々を狂わせたのか、麻痺させたのか、世間がアップルに異常なまでに感心を持ち、世界的なギャンブルである株式市場の格好の的になったということですかね…
長崎街角写真 でリブログ.
そもそもiPad 4thって igzoなの?って話ですよね?
それにこの話が事実だったとしても、受注停止はシャープの怠慢のようにも受け取れますが…
[…] ぴったしカンカン « maclalala2 […]
1月24日(日本)にアップルの業績が発表され、史上最高の利益にもかかわず株価は下落。アナリストの期待値とズレが生じている、との話題ですね。
まさに、オプション取引の“妙”なんですが、株主・金融資本主義というアメリカがめざし、世界にひろめたいその内容を示していますね。大もうけした投資家とコール・オプションの権利放棄を迫られた一般投資の姿が目に浮かんできます。
日本経済新聞の果たした役割(6500万台から3500万台へ受注減報道)をどのように評価するのでしょうね。マーケットでは。あの報道により少なくとも2012年1月19日に1株$550.00を超えることにはならないと機関投資は予想したのではないでしょうか。
[…] 参考:ぴったしカンカン « maclalala2 […]