[アップル対サムスンの裁判:image]
アジアのサプライヤー筋からリークされた正体不明の情報がアップル系ニュースを闊歩(かっぽ)してきた。
アップルが厳重な箝口令(かんこうれい)を敷いているうえに、メディアイベントや決算発表は年に数回しか行なわれないのだから、その間はウワサでつなぐしかない。
ところがアップル対サムスンの裁判で、大きく様相が変わったように思える。
アップルの人間の、それも真の中枢にいるひとたちが語ることばだから、これほど情報源として確かなものはない。
一般メディアもアップル系メディアも、一斉にカバーし始めたのも頷ける。
「裁判で明らかになったアップルの秘密」[日本語]というワケだ。
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アップル対サムスン裁判は、法廷劇としての要素も加わってますます興味津々だ。
しかし、法廷劇であるだけに一筋縄ではいかない。
何に力点をおくかで如何様にでも報道できることは、アップル仕立てのメディアイベントで証明済みだ。
内容の濃い材料をどう料理するかは料理人の腕次第というワケ。
しかし、元ネタが如何に美味しくても、法廷劇であるからにはなかなか一筋縄ではいかない。証拠書類の量も圧倒的に多いのだ。
法廷での証言だから、迂闊なことはしゃべれない。自らを有利に導き、相手側を利することがあってはならない。
報道するメディアの腕の見せ所もそこにあるのだろう。
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これまでの登場人物だけでも、Phil Schiller、Scott Forstall、Christopher Stringer など錚々たるメンバーだからおもしろくないワケがない。
とりあえずの筆者の関心は次の2つ。
・Scott Forstall の証言
Scott Forstall describes iOS development, challenges in Samsung trial | AppleInsider
・7インチ iPad
Eddy Cue Worked to Convince Steve Jobs of Need for 7-Inch iPad in Early 2011 | MacRumors
この点で、ウワサ系から出発したメディア MacRumors や AppleInsider もよく健闘していると思う。
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個人的にはひとつ感慨を禁じ得ないことがある。
9月12日のアップルイベント — iPhone 5 および iPad mini の登場 — は各紙の報道ぶりからまず確実だと思われるが、もしこのニュースがこの裁判から出ていたらどうなっただろうか?
多分そのことだけで話が盛り上がって、裁判の本質は影がくすんでしまったに違いない。
この法廷劇から見えてくるものをどう料理するかでメディアの実力が問われるのだろう。
なにはともあれ、これが稀有の機会であることは間違いない。
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