
[Concept Cars – GM Firebird I, II and III Experimentals]
アップルの製品造りに関する興味深い記事がある。「なぜアップルはコンセプト製品(Concept Products)を造らないのか。」
Counternotions: “Why Apple doesn’t do ‘Concept Products’” by Kontra: 12 August 2008
コンセプトカー(concept car、show car)といえば、モーターショーなどで展示されるニューデザインの試作車だ。未来を思わせるデザインを見ると誰もが心ときめく。
ところが、「最も創造力に富む」といわれるアップルはコンセプトモデルを造らない。
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Real Artists Ship
そうだ。クパティーノが最後に出したコンセプトデザインがこれだ。[上掲 Knowledge Navigator 参照。]Steve Jobs が 1997 年に復帰してからはついぞない。最も創造力に富み、ビジョンを持つといわれるこのコンピュータ会社は、どうして過去10年の間ひとつとしてコンセプト製品・ビジョンを出さないのだろうか。・・・それは、(Jobs 流の言い方をすれば)「作品は存在して初めてアートになる」(real artists ship)からだ。
Yes. And that was the last such concept piece coming out of Cupertino, certainly since Steve Jobs returned to the company in 1997. Why hasn’t Apple, the most innovative and visionary company in computing, produced a single concept product or vision in over a decade? Because, to paraphrase Jobs, real artists ship.
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「real artists ship」は字義どおりいえば「真のアーティストは作品を出荷する」だが、Jobs のいう意味は「アイデア止まりではダメで、実際に製品となって初めて価値がある」ということだろう。「作品は存在して初めてアートになる」、「世に出すのが大事」と言い換えてもいい。
結局アップル(Steve Jobs)にとって意味があるのは、コンセプトモデルではなく実際の製品ということだ。
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この点について、だいぶ前になるが TIME が興味深い記事を載せている。
TIME: “How Apple Does It” by Lev Grossman: 16 October 2005
当時の側近を引き連れた Jobs がアップル社員ですら入れないデザイン現場で撮った写真も添えられていて大変珍しい。
その記事の中で、コンセプトカーについて Jobs は次のように述べている。
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コンセプトカーの寓話
[クールな製品はいったいどこから生まれるのかと]Steve Jobs に尋ねてごらん。きっと彼はためになる話をしてくれるだろう。コンセプトカーの寓話ともいうべきものだ。名門大学のキャンパスと iPod が入り交じった雰囲気の、シリコンバレーに白く輝くアップル本部、その会議室でリラックスした Jobs はこう語る。「普通の会社でみられるのはこういうことだ。コンセプトカーを知ってるだろう?とってもクールだ。でも4年後に実際に生産されたものを見るとコイツはサイテーだ。いったい何が起きたのか。確かにいいコンセプトカーだった。間違いなくそれを手中にしていたんだ。ところが、すんでのところで勝利を逃がしたというわけだ。」
Ask Apple CEO Steve Jobs about it, and he’ll tell you an instructive little story. Call it the Parable of the Concept Car. “Here’s what you find at a lot of companies,” he says, kicking back in a conference room at Apple’s gleaming white Silicon Valley headquarters, which looks something like a cross between an Ivy League university and an iPod. “You know how you see a show car, and it’s really cool, and then four years later you see the production car, and it sucks? And you go, What happened? They had it! They had it in the palm of their hands! They grabbed defeat from the jaws of victory!
「何が起きたかというと、まずデザイナーに素晴らしいアイデアがひらめいた。それをエンジニアに持っていくと、『ダメだ。我々には出来ない。不可能だ』といわれる。ひどいことになる。そこで今度は製造部門に持ち込む。すると『それは作れない』というわけだ。どんどんひどくなる。」
“What happened was, the designers came up with this really great idea. Then they take it to the engineers, and the engineers go, ‘Nah, we can’t do that. That’s impossible.’ And so it gets a lot worse. Then they take it to the manufacturing people, and they go, ‘We can’t build that!’ And it gets a lot worse.”
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コンセプトモデルに対する Jobs の不信が明確に語られている。勝負すべきは実際に出荷される製品なのだ。
同じモノ造りでも日本とは違う景色が見えるような気がする。
冒頭のコンセプトカーの記事を書いた Kontra は、つぎのように締めくくっている。
「民間会社の創造性に関する能力は、コンセプトモデルを発表したがる性癖に反比例する。」
A commercial company’s ability to innovate is inversely proportional to its proclivity to publicly release conceptual products.
★ →[原文を見る]
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[参考]
・Counternotions: “Why Apple doesn’t do ‘Concept Products’” by Kontra: 12 August 2008
・TIME: “How Apple Does It” by Lev Grossman: 16 October 2005
・Daring Fireball: “Why Apple Doesn’t Do ‘Concept Products’” by John Gruber: 12 August 2008
・Daring Firebal: “Steve Jobs on ‘Concept Cars’” by John Gruber: 12 August 2008
Technorati Tags: Apple, Concept Car, Design, Steve Jobs


とても考えさせられるテーマです。
デザイン先行型と言われるAppleにあっても、どんなにデザインが美しくて人気があっても、実用性の低い物は容赦なく切り捨てる、中身のないものは作らない、そんな経営陣、特にJobsの一貫した姿勢を看取できます。
シローさんが引用された原文の中で、著者も、”Constraints have a wonderful way of focusing the mind on the fundamentals, whereas concept products can often have the opposite affect.”と述べて、実用性という絶対的な壁が工業製品の出発点で、それがあってこそ基本に忠実な優れた作品も出来る、とされていますね。
個人的にこの例に於いて思うのは、自分の愛用マシンPBTiです。Iveは17″PBG4発表時のヴィデオで、これからはデザインはReal Designでなければならないと明言し、それ迄人気のあったTi型デザインを切り捨てています。自分は今もこのTiが大好きなのですが、繊細なデザインのヒンジが脆く、過去二度も単なる開閉時に破断しています。また、チタンの筐体は手触りは良くても、放熱が悪く、1Ghz以上の性能向上は頭打ちのモデルでした。まぁ、それでも、これが好きなんですが。笑
そのあたりが、Appleでの、多分にコンセプトモデル的なデザインと、その反面の厳しい実用性との微妙な分水嶺だったな、と実感しております。
そんな事も想起させてくれた、この素晴らしい記事を有り難うございました。
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Great Artical. I translated it to English with the thanks of Google. I think that this is a great approach to pure industrial design, but think that true product innovations concepts can be usufll. Currently the form of apple computers are imaculate, but I don’t see that Apple are currently expanding the concept of what a computer is, and what it can be… I’m not sure if the future will just have notebooks and desktops. What will apples role be in a ubiquitous computing market?
とてもおもしろい記事でした。ありがとうざいます。
感想を書いてみたので、よかったら読んでみて下さい。
アップルはなぜコンセプトモデルを必要とする組織を作らないか
http://d.hatena.ne.jp/miurror/20080818
Knowledge Navigatorを挙げといて,「アップルはコンセプトモデルを造らない」っていわれてもな。。。。業界見てもコンセプトモデルを作るところのほうが珍しいだろ? なにを見えない敵と戦ってるんだか。
基礎技術を作ってるところは製品がないのでコンセプトモデル出すけど,製品を作ってるところはあまりそういうことはしない。当たり前の話。
自動車なんかは開発に時間かかるから,バグだらけでもあとでパッチ当てりゃいいやって考えが通用する業界と一緒にしてはいけない。
maclalala復活、待っておりましたよ。
Appleに関しては、「アップルデザイン―アップルインダストリアルデザイングループの軌跡 」という本がありましたね。
Appleで試作jされたり考えられたりしたものの、結局おもてに出ることなく使われることのなかったデザインたちのことを扱った本ですが、なかなか見ごたえがあります。
Appleは、コンセプトモデルをそのまま発表する事はないし、「アップルデザイン」のように使われなかったデザインを公開することもめったにないわけですけど、それはまた自信の表れであり、かつ「自らの手のうちを読まれないようにするため」、でもあるように思います。
Appleが他社に与える影響ということを考えると、Appleの出す製品そのもの、あるいはAppleのやっていることの方向性自体が、他社にとってのコンセプトモデルみたいなものじゃないかな、と感じます。
なぜかトラックバックが反映されないようですが。
Appleの特異性は、家電製品でありながらアーティスティックな感性を保持し続けることでしょうね。ジョブズ的な感性は継承しにくい物かもしれませんが、その息吹を体感した世代が後代に伝承していければ、本田宗一郎亡き後のHONDAのように、スピリットは受け継げるのではないかと、楽観的に思っています。
パソコンのコンセプトとか、そんなに斬新ではなくても、基本的なところを抑えつつ“チャップリンのステッキ”が提示できれば、やっていけるもんだとも思っていますしね。
>Knowledge Navigatorを挙げといて,「アップルはコンセプトモデルを造らない」っていわれてもな
Knowledge NavigatorはJobsが居なかった頃の話でしょ。
だからこそ今は違うという話しなのでは。
スカリーの頃は凄かったね。ハンディ両替機とかありえない物のコンセプトモデルまで作っててびっくりした。当時の特集記事が載ってるAXISは今でもだいじに取ってあるよ。
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